アフリカ・ラテス旅Season4(前編)。ナイルパーチを実釣22日間で102本釣ってみて。

こんにちは、テスターの藤田です!

少し時間が空いてしまいましたが、今年2025年の冬季遠征の報告を。

1月~3月半ばまでナイルパーチを狙ってケニアのトゥルカナ湖に滞在してきました。

ケニアの首都ナイロビから入って、順調にいけば4か国を巡る予定だったのですが……なかなか目標サイズのナイルパーチに辿り着けず、結局全日程2か月半をトゥルカナでの滞在に割くこととなりました。

タイミングや資金を考慮しつつ、組んだ実釣日数はトータル22日、手にしたナイルパーチは102本。

それだけ釣って怪物は現れたのか……?

これまでの経験をもとに全力でぶつかった今回のトゥルカナ釣行記、前半後半の2部作でお送りします!

さて、まずは怪物ナイルパーチを追う旅に至るまでの経緯を紹介させてください。

今回のトゥルカナ地域への訪問は2回目で、初挑戦は6年前。

とにかくトラブル続きで、目標には届かず敗北した苦い思い出があります。

その際は1週間釣りをして7、8本程キャッチ、103㎝が最大魚でした。

ロッドは「MX-8+」にて。

アカメと同じラテス属で最大種のナイルパーチ。

ネットで検索すると、各国の釣り紳士たちが巨大なナイルパーチを抱えて微笑む写真がたくさん出てきます。

でも、そのピークは15~20年以上前の話でしょうか(主に、エジプトのアスワンハイダム)。

現代で一般旅行者がリアル・マンサイズを狙えるウガンダのマーチソン滝は例外として、近年では遠征者が特大サイズを手にしたという事は聞かなくなりました。

6年前2019年当時、自分の周りには巨大なナイルパーチを手にしている人達が数人いましたが、実際に挑んでみて、やはり現実はそう甘くはないことを痛感。

トゥルカナでのアベレージサイズは60~70㎝あたりの印象で、初回挑戦では目標としていた40㎏(だいたい140㎝)超どころか、メーターオーバーを釣ることさえ難しく、悔しい思いの中で釣行を終えることとなったのでした。

その翌2020年はまた別のラテスを求めて、タンガニーカ湖のタンザニア領とザンビア領へ。

この旅から魚探を持ち込み、水深と地形を把握し、ボートマンに進行方向・スピードを指示しながらのセルフトローリングにトライ。

タンガニーカパーチ(現地名PANBA)を追う日々を送りました。

最初に入ったタンザニアでは完全ボウズ、その後のザンビアで初めての一匹を手にした時の感動は今も強く記憶に残っています。

アカメやナイルパーチと違い、目が深い緑色をしているのが印象的でした。

ロッドは「MX-7」にて。

「どういう地形の、どれぐらいの水深にアタリをつけて流せば効率が良いんだな」とか「活性化する時間帯」とか、「長期僻地での体調の保ち方」とか「現地民たちとの信頼関係の築き方」etc……

経験することで徐々に視野が広がっていき、アフリカのラテス・トローリングの釣りを掴めてきたと実感できたのがこの旅でした。

最終的にタンガニーカパーチは98㎝までを釣獲することができ(ナイルパーチに比べて、大型個体のハードルは更に上がる印象)、納得のいく旅となりました。

ロッドは旧「MV-65」(現「MX-65」)にて。

その後コロナ禍を終えたタイミング、2023年にタンガニーカ湖を再訪。

初回遠征で出会えなかったフォークテールラテス(現地名INYUNFI)を狙って、17日間僻地に籠りました。

タンガニーカパーチと性質が異なり、トローリングで攻められる浅場に回遊してくることが少ないのか、17日間で巡ってきたのはたったのワンチャンス。

それをモノにすることができ、ハンドランディングして魚を船内に放り込み咆哮、号泣。

一生忘れられない一匹となりました。

ロッドは「MX-9S」にて。

この旅ではタンガニーカパーチのサイズアップも狙いましたが、これは達成できず。

予想に反して反応がかなり少なく、何がいけないのか日々考察。

これも非常に良い勉強になりました。

ロッドは「MX-9S」「MGX-∞S」にて。

……と、自分はそんな感じで、「突撃して、いきなり大物(目標サイズ)釣れたぞ!!」というような経験はあまりなく、場数を踏んで経験して学んでいくことが、目標達成までに必須となってくることが多いです。

過去のトゥルカナ×1回、タンガニーカ×2回の経験から自信はつきました。

そこで今回、満を持してトゥルカナの巨大ナイルパーチに再挑戦してきたというワケです。

……前置きが長くなりましたが、今回の旅の話に入っていきましょう!

日本を出国したのが1月8日、ケニアの首都ナイロビの国際空港に到着したのが1月9日未明

ナイロビには一日だけ滞在して、翌朝、早速トゥルカナ地方へ移動します。

治安は良くないとされるナイロビ。

陸路移動も考えましたが、旅の初っ端で大きな額の米ドル現金を持っていたこともあり、リスク回避で国内線を使うことにしました。

やってきたのは過去にも滞在した田舎町。

この時期はほぼ雨が降らず、毎日気温は40度近くまで上がり、カラカラに乾燥している砂漠のような気候。

ラクダもいます。

田舎と言えど人は多く、少しでも町を歩けば「チャイナ!」「チンチャンチョン!」とお決まりの中国人イジリや、「アイムハングリー、ギブミー、バイミー、アシストミー」(訳・腹減った、なんかくれ、買ってくれ、アシストしてくれ……。アシストって何なんだよ笑)攻撃が降り注ぎます。

まぁ、悪気ない人が殆どなんですけどね。

冬季の北海道からやって来た僕は、町の煩さと気候の差にやられたのか、いきなり体調不良でダウンすることに……。

1週間まともに動けない日々を過ごして、中々回復しないので病院でマラリアの検査もして、薬をもらって、回復の兆しが見え、ようやく気候に体が慣れてきたところでトゥルカナ湖畔の町まで移動することができました。

町から町への移動はプロボックスに10人乗り。

以前は未舗装だった一本道がアスファルトになり、道路状況は格段に良くなっていましたが、このスシ詰めプロボックスで爆走するのは相変わらず。

運転席にも2人乗りの発想は、良くも悪くも流石アフリカです。

事前情報として、「ここ2年程でトゥルカナ湖の水位が急激に上がり、湖畔の集落が沈んで住民たちが住む場所を追われている」というネットニュースがありました。

砂漠の中の湖で、なぜそんな事態に?と思って記事を読んでいましたが、実際に湖畔までやってきてみて、その光景を見て、実感。

水辺でダベっていた人達に「6年前、湖岸はもっと向こうだったよね?」と尋ねると、「その当時から見たら、今は5㎞以上が水浸しだ」との事。

後日ボートで湖上へ出てこの目で確認しましたが、懐かしい風景が丸々湖に飲み込まれていたりして、「周囲5㎞以上水没」というのは決して大げさではないと感じました。

「エチオピアのダムが~」とか「流入河川の上流での異常気象が~」とか彼らは言っていましたが、真相は不明です。

住む場を失った人たちには災難でしたが、元々は年々水位が下がり続け「消えゆく湖」とされていたトゥルカナ湖。

この水位上昇は湖の魚達、そしてナイルパーチにとっては諸々プラスなのでは……?

トゥルカナの新しい光景を前にして、単純な釣り旅人である僕はワクワクしていました。

その後湖畔での現地住民たちとの交渉を経て、4人の隊員を選抜。

まずは1週間の釣りに出ることにしました。

ガソリン・食料・水を買い込み、ボートと15馬力の船外機をレンタルして、いざ出陣。

今回の戦略は、MX-∞」を2本出してのトローリング一本勝負。

シャロールアーを20ⅿラインを出した状態で引っ張る(根掛かりのリスクが低い)方を隊員に持ってもらい(ヒットしたら竿を受け取る)、自分は〜50mラインを出して、状況に応じてルアーセレクトしていきます。

タックルセッティングは、ラインシステムがバリバスのSi-X8号(キャパは150m)にオーシャンレコードショックリーダー140~180lbを3.5~6ヒロで使い分け。

リールはエランスーパーワイドパワー2台に、予備でコンクエスト400を1台持ち込み。

釣行7日目でエラン1台が故障してハンドルが回らなくなったため、それ以降はコンクエストもメインで使用しました。

ルアーはラパラ各種をローテーション。

そして、トローリング作戦の要になるのが魚探。

水深と底質、地形がザックリと分かれば十分なので、僻地でも手に入れやすい単三電池対応のリーズナブルな物を持ち込みました。

振動子を現地で切り出した木の棒の先端に細工して取り付け、トローリング中は魚探担当の隊員にホールドしてもらいます。

船で僻地に入った初日、キャンプ地に荷物を降ろし、見張り番(密漁者が多く、荷物を残しておくと確実に盗まれる)の青年隊員ひとりを残して、早速釣りに出ました。

小さな島の周辺からトローリング開始。

すると5分もしない内に、隊員の握る竿がズドンっと曲がった!

6年ぶりに再会したナイルパーチはメーターに届かないサイズ。

目標サイズには全然及びませんが、幸先良い展開に皆笑顔になります。

その後小型を2本追加して初日こそは3本キャッチでしたが、翌日以降、釣果はどんどん伸びていきました。

ダブルヒットが何度もあり、13、14キャッチなんて日も。

結果を先に言ってしまうと、初回遠征7日間ではキャッチ数67本という釣れっぷり。

何らかの要因でナイルパーチ達のテンションが爆上がりしている可能性もありますが……これまで積み上げた経験が、この釣果に繋がっていることは間違いないでしょう!

ザックリ言うと、シャローエリアの高活性の個体に的を絞って拾っていく釣り。

そういう魚は皆、コンディションが凄く良い。

ただ、連日10本前後のナイルパーチを手にしていながらも、やっぱりメーターを越えてくる魚は多くありませんでした。

この7日間67本キャッチの内、100~108㎝までが4本程度といった感じ。

ある日の夕マズメ。

船の進行方向を変え、スピードが少し落ちたところで、ラパラのCDSR14に「ドンッ!」という、一撃で吸い込んだような強いアタリ。

船べりまで寄せて姿を見せたのは110㎝クラスの良型でしたが、口の中にスッポリ収まっていたルアーがポーンっと抜けて帰ってきました。

全く同じルアー、シチュエーションで6年前も120㎝クラスをバラしていて(下がその時の写真。強烈な一撃のアタリで、ルアー丸のみ。リーダーが歯でザラザラに)、その原因を考察……。

町から釣りに出る前、ちょうど漁師が40㎏クラス(内臓抜いて約38㎏)のナイルパーチを捕ってきていて、その口の中を観察していたのですが、「ルアー釣りで、このゴッツイ口に針を刺すのって相当大変だぞ」と思いました。

フック、竿、ドラグ。

巨大魚と対峙する時はいつでもそうですが、タックルの総合バランスは本当に大事。

今回持ちこんだフック、少々オーバースペックだったかも……。

このバラシ以降、リーダーの長さや太さ、ドラグパワーなどを再度見直し、試しながら釣果を重ねていき、隊員たちとの団結力も日々上がっていきました。

そしてあっという間に迎えた初回遠征の最終日、7日目の夕方。

6mエリアを曳いてくると、ズンっと重みが乗りました。

一瞬密漁者が捨てた延縄のロープを引っかけたのかと思いましたが、ゆっくりと動き出し、一気に緊張モードに。

ロッドを水中に突っ込んでエラアライを完封しつつ、船下から魚をグルグルと弧を描かせながら浮かせて、捕り込みました。

隊員たちとグータッチ!

撮影のため近くの岩場に入水。

メジャーを当てると、この時点での自己新記録、126㎝!

口がバケツのように大きく、迫力のある魚でした。

この魚の後にも数本追加して、第一遠征の7日間でのキャッチ数は67本となったのでした。

内、メーターオーバーは、この126を含めて5本程度。

この大物率の低さは……。

ルールもマナーもモラルも欠けているこの世界で、現地民達が容赦なく獲り続けているとなると、そりゃそうなるよな.…..というのが僕の感想。

今のトゥルカナの現状……ナイルパーチストック業者が現地民に船や道具を貸し与えて密漁を促進、その結果国立公園内で乱獲が蔓延るも、それを管轄するKWS(ケニアワイルドサービス)は賄賂、ワイロで腐っていて、機能していない。

6年前は全く見かけなかった密漁者たちが国立公園内に勝手に住み着いているし、延縄や刺し網が次々絡まってきて釣りにならないエリアもありました。

当時も物凄い数を捕っているのを確認していたけど、今回再訪してみて、拍車をかけて“終わって”いってるのを実感……。

「トゥルカナのナイルパーチも、こうやって“過去”になっていくんだなぁ」

……いつも旅先で出会って行動を共にするのは、刹那的に生きる現地民たち。

そんな彼らに、ただの旅人である僕のエゴを押し付けることはまずありません。

最終日に鮮度の良い巨大なナイルパーチを手に入れて、隊員たちは大喜び。

エア抜きしないとリリースできない状態だったこともあり、126㎝のナイルパーチは彼らの家族へのお土産として船に積み込み、帰路に着いたのでした。

……以上、7日間の記録はここで一区切り、後半では残り15日分の釣行記をお送りします。

後半レポートではナイルパーチ・トローリング以降のアナザーストーリー(某魚を狙う延縄作戦)まで話が脱線していくので、ここで最後にナイルパーチの使用タックルについて今一度ご紹介!

ロッド「Dear Monster MX-∞

リール:エランスーパーワイドパワー・カルカッタコンクエスト400

ライン:バリバス Si-X 8号(150mキャパ)+オーシャンレコードショックリーダー140・150・180lb3.5~6ヒロ

ルアー:ラパラ各種(CDSR14、CDMAG14・18・22、XRAPMAG20・30・40)

フック:ローンディアブロ

その他接続パーツ・楕円リング、ボールベアリングスイベル

まずロッドについて。

102本釣ってみて、ナイルパーチのトローリングではMX-∞“も”正解だと思いました。

というのも、小型ナイルパーチの激しいエラアライ、水中での不意なヘッドシェイクにはオーバーパワーで追従せず、バラシに繋がった感が何度かあったから。

その分大型ナイルパーチにはハマっていて、体重のある大型個体はパワフルではあるけれど悠々としたファイトが主、そこにMX-∞」のパワー感で真正面からぶつかっていくのが心地よかったです。

船べりでのエラアライを、ロッドを水中に突き刺してその「強さ」にモノをいわせ封じ込みやすい、という気づきもありました。

また、船からのセルフランディングを考えるとMX-∞の長すぎないレングスがベスト。

取り回しよく、全身使ったファイトができたのもその恩恵かと。

今回は持ち込んでおらず試せませんでしたが、船べりでの大型個体とのフレキシブルな攻防を考えて、グリップを「MX-8+」と互換して使いたいとも思いました。(下画像の魚、後半レポートで出てきます)。

フックはBKKのローンディアブロ(シングルフック)を使用して特に問題なかったのですが、ここまでの太軸フックまでは必要ないと感じました。

シングルフックを使った理由は、荷物のカサ減らしと、過去のラテス・トローリングの経験から、シングルで(トレブルフックと比較して)捕れる魚の数が減ったりミスが増えたりすることはないと言い切れるから。

岩礁エリアでの使用がメインとなるため研ぎやすいモノを選ぶ事も重要です。

(下写真、実際に使用してしこたま釣ったCDSR14。長時間トローリングする上での各アイの削れ防止対策や、テールの正しい補強チューンなど、新しい学びがありました。)

リーダーは150lb以上、180lbでも良いかと。

根ズレ対策として最低3ヒロ半は入れたいところ。

岩場での釣りなので傷みやすく、50m巻きを1週間の釣りで余裕で使い切る感じで、いつもの感覚でチェック&カットを繰り返すとキリがなくなって、釣りする時間が大幅に減るレベル。

オーバースペックの180lbをメインで使って多少の傷はそのままスルーする(ラインチェックはマメにして、判断して、これなら大丈夫と思えるレベルはスルーする)、と言うのがひとつの正解だと思いました。

(下写真、旅先への持ち込む際はボビンから抜いてジップロックに収納)

ラインキャパは150ⅿで十分、それ相応のリールを。

ラインはPE8号一択。

僕の釣り方ではだいたい水深10mまでしか狙わず、このメインラインの太さでもルアーによっては8ⅿラインまで潜行させられたため、8号より細くするメリットはありませんでした。

今回使用したバリバスのSi-X、常にラインチェックして随時カットはしていましたが、本当に中々致命的な傷が入らない。

メーターオーバーとのファイトで何度か岩に擦られましたが、流石のバリバスクオリティでラインブレイクは一度もありませんでした。

(下写真、カルコン400にSi-X8号をギッチリ150m巻いて使用……メインラインを巻き替えることなく、全日程の釣りを終えました)

もしもう一度、ナイルパーチを狙ってトローリングをやるのであれば、シングルフックを精査して(ローンディアブロよりもほんの少し軸の細いモノがあればベストかな)、他システムはそのまま、ロッドは同じく「MX-∞」(グリップを「MX-8+」に互換も検討)でも良いし「HT-∞∞」も大いにありだな、という感想です。

過去に同じくトゥルカナで奮闘した川合テスターもこの2機種を使って良型のナイルパーチを捕っていました。

もしナイルパーチに挑戦するユーザーさんがおられましたら(なかなかいないか?笑)、そちらのレポートも是非チェックしてみてくださいね。

そして僕と入れ違いでトゥルカナ弾丸遠征を決行した田山テスターも、同2機種使用で結果を出してきたようです。

申し合わせたようなロッドセレクト被り、この2本(「MX-∞」と「HT-∞∞」)がナイルパーチのトローリングにベストマッチ!と言い切って良いでしょう。

彼のレポートも、そのうちアップされるかな?

それでは、トゥルカナ・ナイルパーチ釣行記、「後半レポート」に続きます!

<関連ページ・レポート>

幼少期から魚類に興味を持ち、6才で釣りを始める。バス釣りに熱中していた中学時代に小塚と武石が開設していたホームページと出会い、“怪魚”の世界に強い憧れを抱く。大学進学を機に北海道に移住、稚内から与那国島まで、アジアからアフリカまで、国内外を釣り歩いた。サクラマスの研究で大学院を修了、その後も北海道に残り、トラウトやロックフィッシュなど北の大地の釣りを楽しみながら、世界への旅を軸に据えた生活を送っている。