古代湖パワースピニングの旅。ザンビア・タンガニーカ湖2023(前半・パンバー編)

テスターの藤田です。

タンガニーカ湖固有種のラテスを狙って、1/12~2/21の日程でザンビア共和国を旅してきました。

レポートでは前半と後半にわけ、その模様をお届けしたいと思います。

海外遠征は丸3年ぶり。

いつも旅の前にやってくる「行きたい、けど、行きたくねぇー……」という矛盾した感情が、久しぶりです。

事前準備は出来る事をできる限りやって出国。

日本を発ってから28時間後、ザンビアの首都ルサカに到着しました。

空港近くのバックパッカー宿に滞在して、まずはタンガニーカ湖畔の町までのバスチケットを手配します。

バスターミナルの客引き達の暑苦しさに触れて、久しぶりのアフリカを改めて実感。

ガソリンが高騰しているため、運賃は日々変動しているようです。

バスは30分ほど遅れて出発。

珍しくトラブルなく17時間の長旅を終えて、目的の町に到着しました。

まず最初のステップは、3年前に世話になった現地協力者たちに再会すること(今回、2度目の訪問になります)。

翌朝、人が集まる湖畔の市場で、彼らの写真を見せて聞き込みを始めました。

「彼なら町のパン屋さんで働いているわ!」とマダムに教えられて、「え?仕事してなかったはずだよね」と困惑しながら向かってみると、本当に働いていました。

「アーユーケンゴー!!ウワァァァーー!!」

よかった、おじさん、ちゃんと生きてた(笑)。

初めての地をゆく旅のドキドキ感はゼッタイですが、再会の旅も良いものです。

今は職を得て、日曜以外はここでバイトしているというおじさん。

その場でパン屋のBOSSに直談判して、彼の長期休暇をゲット。

旅に同行してくれることになりました。

「そのかわり、俺たちのために、ドライフィッシュをたくさんも持ってきてくれよ!!」とシャチョーさん。

アフリカは自由です。

その後もう一人の協力者とも再会し、屈強な身体を見込んで若者をひとり新規採用。

ボートドライバー、トローリング時にサブロッドをホールドする係、飯炊き&力仕事役の3人に、自分を含め4人で、今回のチームを結成しました。

他には、食料や日用品の買い出し、ガソリンとエンジンオイルの確保、船探し&持ち主との交渉など。

ここで重要なのは、全て自分の目で見て確認すること、現地人たちだけで判断させないこと。

今回は2週間の僻地(人が居住していないエリア)滞在となるため、ガソリンは3ドラム分、約650リットルを一気に購入しました。

まずは、プラ製のドラム容器を調達するところから……。

ガソリン650リットルの内訳としては、町から釣り場までの往復で200リットル、日々の釣りで30リットル×14日間=420リットル、予備で30リットル、の計算。

結果的に過不足なく、ほぼ使い切りました。

ちなみに、ガソリンは日本より高いです……。

船は一日2000円くらいでレンタル。

船外機40馬力込み。

僻地への出発前に一日時間を割いて、町近郊でテスト走行します。

修理用の工具も、ボートドライバーが欲しがるがままに購入しました(といっても、数百円程度)。

他、細かな持ち物は、子供の遠足前のお母さんの気持ちで、隊員たちに「○○は準備した?」「××は大丈夫?」と思いつく限り、ひとつひとつ確認していきます。

長期で僻地に籠もるため、事前準備にはかなり気をつかいます。

何かトラブルがあったら、釣りに大きく影響してくるので(それでも、まぁ、だいたい何か起こってしまうんですが……)。

そんなこんなで、釣りをするための許可取り等も全て済ませて、湖上に走り出せたのは、日本を出てから2週間後。

釣りする前から疲れた(笑)。

いざ、出発!

さて今回の狙いはLates angustifrons、いわゆる“タンガニーカパーチ”の巨大サイズ。

現地名「パンバー」。

下写真が、2020年に手にした自己最大魚。

MV-65」での魚でした。

そしてもう一種の固有ラテス(アカメ属)、現地名は「ニュンフィ」。

前回、恐らくこの種であろう幼魚は釣っているのですが、今回は種の特徴がはっきり見て取れる大型個体を手にしたい。

前回幼魚と思わしき魚を釣った時は「MX-1」のリールモードでした(過去レポート参照)

狙い方は主にトローリングになります。

今回のテーマは「アフリカ・パワースピニングの旅」。

メインロッドは「MGX-∞S」(プロト)と「MX-9S」。

リールはステラ10000と8000(借り物)。

ラインはそれぞれバリバスsmpの8号と6号を150m入れました。

リーダーは100~140lbを使い分けて、3ヒロ半。

初回(前回コロナ禍前)の旅で見つけていたトローリングパターンがありました。

前回とシーズンも同じだし、きっとイケる。

2週間もやり続ければパンバーの大型個体に当たるはず。

……と思っていたものの、そのストロング(だった)パターンが見事に崩壊していました。

一日やって、小型が1、2回当るかどうか。

ボウズの日も普通にあるレベルです。

持ち込んだルアーの中で最大のCDマグナム22で通せばサイズを選べるかな?と思ったのですが、50㎝程の小型パンバーがヒット。

MGX-∞S」だと、“水上スキー”ファイトで捕り込めます。

その後もCDマグナム22を引き続けますが、やはりデカいルアーだとアタリがさらに遠くなります。

やっと来ても、可愛いサイズ。

一方、おじさんが握る竿にアタリが集中(と言っても、一日トータル2バイトまでといった感じですが)。

MX-9S」にCDマグナム18の組み合わせ。

ルアー単体でのトローリングで攻められる水深は10mまでと考えています。

シャローでのトローリングでは手も足も出ない状況が続いたため、一段深場でバーチカルな釣りに挑戦してみることにしました。

いわゆる「ノマセサビキ」仕掛けを20mエリアに沈めて、空バリにシクリッドを乗せます。

そのまま泳がせて探っていくと「グイーーン」と竿先が入っていきました。

初挑戦時に思いついた(けど、装備がなくて試せていなかった)この作戦、やっぱりすぐに来た!

ロッドは「MX-7」です。

このノマセサビキ作戦が結構強力で、サイズは出ないものの、多くのパンバーを手にすることができました。

数本釣ったところで、少し良さそうな魚がヒット。

思いっきり竿が入ったところで渾身のアワセを入れましたが、フックオフ。

MX-7」はコンクエスト300にPE4号、というタックルだったのですが、想定よりもデカいのが食ってくる可能性を感じたため(そもそもコレ、また別種の小型ラテスを想定したセッティングだった)、「MX-9S」のPE6号タックルに持ち変えました。

「細かく探ってシクリッドを針に乗せる」点において、ここでは「MGX-∞S」よりも「MX-9S」がベターでした。

隊員たちにパドルで漕いでもらって探りますが、船が風に押されて、すぐに水深20mエリアから離れてショアサイドに寄ってしまいます。

仕方なくそのまま探っていくと、水深7mエリアでも次々と反応が出始めました。

ルアーを何度も流して、ほぼ反応のなかったストレッチで……。

「そこにいるけど、トローリングのルアーに反応していないんだ。何故……?」

トローリングでの反応の薄さから、魚自体シャローに入ってきていないものだと思い込んでいたため、コレは意外でした。

その後も毎日色んな事を思いついては試して、トライ&エラーを繰り返し、結局巨大なパンバーは手にすることができなかったのですが……今回の経験から、その答えは予想がつきました。

でも、まぁ、一番大きな理由として、単純に大型個体の数自体少ないんだろうなぁと。

50センチに満たないような個体でも抱卵していました(複数確認)。

今回のパンバーの最大魚は85センチ。

MGX-∞S」にルアーはCDマグナム22。

スローなトローリングで「ドゥン!」ときました。

パンバーは体色がシルバーとブラックの2タイプいて、コイツは完全白銀。

回遊個体だと思われます。

サイズ感も雰囲気もシーバスみたいだ(笑)。

MGX-∞S」はCDマグナム22専用機となっていました。

たまたま最大魚を引き当ててくれましたが、∞Sで捕った魚は上の85センチと、50センチほどの小型の計2本のみ。

大型ルアーには反応が悪く、CDマグナム18以下を多用することとなり、それらを低速で引いてルアーアクションの変化を感じ続けたかったため、今回は「MX-9S」がメインロッドとなりました。

「CDマグナム22やXRAPマグナム40以上の大型ルアーのみ、PE8号+リーダー140lb~、シャローのトローリング一本勝負」という状況なら、「MGX-∞S」がハマってくるだろうと思います。

それは、タンガニーカのラテスよりも、ナイルパーチ。

自分の経験からの話をすると、ケニアのツルカナ湖で使ってみたいですね。

その「安心感」は抜群で(PE8号~でベストマッチ。大型スピニングだから、太糸を巻ける。糸巻量も気にしなくて良い)、有名なマーチソンフォールにもマッチしそう。

……というわけで、巨大なパンバーを追う旅は持ち越しとなりました。

苦しんだ分収穫はあった。次は、必ずや……!

レポートは後編に続きます。

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幼少期から魚類に興味を持ち、6才で釣りを始める。バス釣りに熱中していた中学時代に小塚と武石が開設していたホームページと出会い、“怪魚”の世界に強い憧れを抱く。大学進学を機に北海道に移住、稚内から与那国島まで、アジアからアフリカまで、国内外を釣り歩いた。サクラマスの研究で大学院を修了、その後も北海道に残り、トラウトやロックフィッシュなど北の大地の釣りを楽しみながら、世界への旅を軸に据えた生活を送っている。