国内最大の淡水魚から黒潮のスプリンターまで……「MGX-∞S」と過ごす関東の週末。

こんにちは、怪魚ポエマーの古田です。

先日製品ページが公開になりました「MGX-∞S」について、今回は飛行機での遠征ではなく、居住地・関東地区での活躍に絞ってレポートします。


前回のコンセプト紹介レポート以後、遠征の隙間を縫う形で居住する関東圏での週末釣行でもテストと実績を重ねています。

まずは日本に生息する淡水魚としては最大級(170cmオーバー)に成長するアオウオ。

ユーラシア大陸由来の巨大魚で、関東平野を流れる利根川水系で生息が確認されており、3月の週末は、ほぼ全てこの大魚に捧げた。

仲の良い藤田テスター(以下、健ちゃん)や田山テスター(以下、ターザン)と河川敷でキャンプ。


北海道在住の健ちゃんは、アフリカ遠征から帰国後、春遠征の後半戦として利根川水系の河川敷で2週間の泊まり込み。


遙かなるアフリカ大地溝帯、タンガニーカ湖を旅した「MGX-∞S」は、その熱量ままに関東平野でその時を待つ……。

口火を切った最初の“GIGAS”(巨大魚)は、このアオウオでした。


詳しくは、健ちゃんのレポートに紹介されていますので、そちらで。

北海道在住の健ちゃんにとって“関東遠征”、飛行域移動でまとまった時間を用意して挑むの相手。

一方、関東在住のぼくとターザンにとっては“週末の浪漫”……同じ魚に、異なるアングルから向き合った、両スタイルの着地点が「MGX-∞S」でした。


健ちゃんが北海道に帰った後も、ぼくとターザンの“アオ春”は終わらない……都合1か月間、毎週末通い続けたある日、ぼくにもその瞬間が訪れました。

春の温かい雨が降って川が増水したタイミングで姿を現したのは、堂々の150cmオーバー。


群れの移動にあたったか、蘇生中に別の竿にもヒット。

背っぱりのヤバすぎる、140センチほどの個体も追加。


長さは無いものの、体型(背筋)が印象的な個体でした。

シーズン前から健ちゃんと川を見て周り、「ここぞ」と感じた場所は、周囲に障害物が沈む難所。

Dear Monster 最長モデルの8フィート7インチの「MX-9S」ですらも足りない、もっとレングスが欲しいと思った。

MX-9S」のブランク(左)に「MGX-∞S」のベリー部〜グリップ(右)を合わせ、全セクション並継7pc構造(50cm仕舞)で全長約300cm、約10フィート……いわば“MX-10S”とでも呼びたいセッティング。

菅野テスター(菅ちゃん)もニュージーランドの磯からキングフィッシュ相手に試してくれました。

“長い”という強さと安心感……印籠継ぎ無しでこのセッティングを可能にする、ベリーで互換するMGXのアイディアは、 Dear Monster ならではの互換機能特性をさらに飛躍させる気がしています。


そんなこんなでこの春は、アオウオのダブルキャッチという、人生で2度と無いかもしれない経験をさせてもらいました。

ターザンも念願のアオウオをキャッチ。


……こうして淡水・ぶっ込み釣りに費やした“アオ春”はひと段落、都会にも夏の足音が。

続いて関東で「MGX-∞S」が“旬”を迎える釣りは、相模湾のキハダ・キャスティング。


キハダ釣行は、「MGX-∞S」のキャスティングロッドとしての性能を確認する意味で、大変意義ある釣行になりました。

オフショア遠征に限って話せば、お見せできるプロトを手にしてからだけでも、国内では玄界灘や沖縄・奄美大島、海外ではインドネシア・コモド島で、オフショアキャスティングの頂点・GT(ジャイアントトレバリー)相手に試行錯誤を行ってきました。

そんな自らの体験、先輩アングラー諸氏との出会い・アドバイスを「MGX-∞S」の開発にフィードバック、ロッド全体的に軽量化を図る一方で、キャスト時の糸抜けを考慮してトップガイドをPMNST-12からPMNST-16に大径化。


左が変更前の12mm径、右が変更後の16mm径。

数字にすればわずか4mmですが、実際の印象は写真のようになります。

16mmあればリーダーをカットせずとも先端のスイベルやリングが通るので、タックルセッティング&後片付けがラク……というオフショアの先輩諸氏の経験則を反映。

一方この仕様変更は、糸抜けは良くなるが、重くもなるわけで……その他、気になる部分も合わせてブラッシュアップ。

修正サンプルが仕上がって、「さて、どれだけ変わったかな?」と近所の相模湾に出撃しました。


キハダ釣りは、キャスティング精度がなにより大事。

ナブラにつけてからの1キャスト、2キャストが勝負。

そこでトラブっていたらお話にならない。

ポイントについてナブラを探しているとすぐに進行方向の100mほど先で魚が跳ねだしているのを発見。

50mぐらいまで距離を詰めてアゲインスト(向かい風)でキャスト。

ガイドセッティングの大型化に併せブランクに少々張りを持たせたことで、ライナー気味のキャストが更にやりやすくなりました。

ナブラをしっかり打ち抜いて早々にヒット。

マグロ特有の真下への突っ込みをいなしながら、5分ほどで上がってきたのは25キロほどのキハダ。


今年からオフショアを始めたターザンと、ダブルキャッチ。


「ルアーのサイズは大きくても問題ない」との船長のアドバイスで、21cm100g程度のルアーをメインにを選択しました。

キハダ釣りにはやや大きめのルアーセレクトですが、「MGX-∞S」で気持ちよく投げられるサイズ感です。


「この竿が初めて握ったオフショア系パワースピン……重いか軽いかもわかりませんが、パワーや耐久性に不安は無く、キャストもアクションもつけやすい。

釣り後半の疲れた時でも、軽い動作でルアーを投げられる印象です」

オフショアはビギナーのターザン(田山テスター)、固定観念が全く無い彼の直感的なコメントは、今後オフショアキャスティングを始めようとする方の使用感を代弁してくれているのではないでしょうか?


キハダはダブルヒットだったので、ファイトシーンの写真は以前ヒラマサ釣行の際のものですが、継ぎ上がった「MGX-∞S」は、6ピースのマルチピースロッドであることを感じさせない綺麗な曲がりをします。


よく心配されるセクション緩みによる破損や、潮噛み(塩分による固着)は、今のところありません。

とはいえ、あらゆるリスクを想定し、小塚さんとも相談しながらマルチピースだからこその、新しいオフショア釣行のノウハウを蓄積中ですから、この辺りは何かしら見えた段階でレポートしたいと思います(下写真は分かりやすく青いテープを用いてみた、試行錯誤の一例)。


フロントグリップの長さ等も数センチ短縮、逆にリールフット以下を数センチ伸ばしてバランスを整えるなど……細かな調整と検証、この辺りは陽を浴び潮を浴び、疲れ果てるまで投げ倒してみないとわかりません

疑念はフィールでしか消えません。

先の「ガイドの大型化に伴う、糸抜けは良くなるが重くなる」……というジレンマに関しても、現在「キャスタビリティ向上」というメリットの増大だけを感じられるに至っています。


良い意味での何でもアリ、使い手の自由を制限しないマイルドさが、10年以上 Dear Monster を使ってきて大きな長所だと感じていることです。

海外での応用力の高さはもとより、国内の釣りも、MGXシリーズの登場によりディアモンで完結できる嬉しさ。

“G.T.Gorilla”とサブネームを銘打った「MGX-∞S」ですが、Dear Monster である以上、GTのみならずキハダマグロやヒラマサ、さらには世界中に生息するド級の淡水魚を相手にしても動じない竿であってほしい。

いや、そうでならなければならない。


人生一度の場所で人生最大級の魚に挑むとき、この竿を握っていてほしい。

これこそが“GIGAS”と名付ける所以。

ぼく自身もさらにこの竿と向き合っていきます。


……というわけで、今回のレポートでは近所の週末釣行、関東圏での活躍にフォーカスして「MGX-∞S」を紹介させていただきました。

遠征だけがモバイルロッドの活躍の場ではありません。

駐車スペースの関係上、仲間と誘い合わせて1台で動きたい。

最終的なポイントへは車移動であっても、待ち合わせ場所までは電車で移動することで渋滞を回避できる、など……いかなる釣りであっても携行性があるに越したことはない、関東の釣り事情。

一方、空港まで近い、便数が多く融通が効く点は、関東の良いところ。

いよいよコロナ禍も明け、海外も遠征の選択肢に入ってきました。


次回レポートでは、満を辞して「MGX-∞S」の本領発揮、携行性を活かした海外遠征・インドネシア/コモド島へのGT釣行記をお届けしたいと思います。


<関連ページ・レポート>

高校時代に小塚の著書「怪物狩り」を読み、それきっかけに大学進学後は南米アマゾンのジャングルや、アフリカの大地溝帯、果ては中東イスラム圏まで、計7ヵ国を旅する。学生時代の9回の釣り旅はすべて、行き当たりばったりの“旅的”スタイル(個人釣行)にこだわった。大学卒業後は一般企業に就職。ライフスタイルの変化に対応し、オフショアに目を向け、GTやヒラマサのキャスティングゲームに没頭。直感的に行動した結果、報われてこなかった半生を反省し、「感じるな、考えるんだ」と竿を振る。