こんにちは。怪魚ポエマーの古田です。
モンスターキスから2023年発売予定の新製情報には目を通していただいたでしょうか?
どの竿も魅力的ですが、今年の目玉となるのはパワーロッド達。
中でも僕が担当するのは「DearMonster MGX-∞S」です。
50センチアンダー仕舞寸法という“規格”にこだわり続けてきたモンスターキス、だからこそできる“マルチピースロッドならでは”を存分に詰め込みました。
今回のレポートでは「Dear Monster MGX-∞S」のトリセツ事初め、このロッド単体で見た時に特殊な構造である“替え穂”についてをメインに紹介したいと思います。
以下、まずはスペックをご覧ください。
Length:7’10”ft/8’3”ft(替え穂付属)
Action:ファーストorレギュラー
Lure capa:~300g
Line capa:~PE10号
Leader capa:~200lb
自重:未定(400g台)
継数:6
仕舞寸法:50cm
トップガイド:16mm
リールフット以下:50cm
同じロッドと穂先だけ変えて、2本並べて撮影してます。
なぜ「Dear Monster MGX-∞S」を作りたいと思うに至ったか……。
その経緯は別の機会に熱苦しく書くとして、オフショアでの使用も想定した竿をデザインするにあたり、目指しているのは、野生という才能に立ち向かえるだけの性能。
そして、あくまでも“Dear Monster“であること。
仕舞寸法50cm以内というDear Monster“らしさ”を捨てないという選択にこだわりました。
「M“G”X-∞S」の“G”、由来の1つは「GIGAS」(ギガス)の“G”です。
Dear Monsterの、GIGASシリーズ、という立ち位置ですね。
正直なところ“ディアモンであること”(仕舞寸法50cm以下)にこだわらなければ、もっと進行は早かったと思います。
グリップ(だいたい70cm前後)脱着式が主流となるオフショアロッドの世界で、遠征用ロッドとて、グリップ長を制限要因にブランクも70cmあれば必要充分……なのかい?と。
“常識”を疑ってみることに、突破口がありました。
ディアモンであること(=仕舞50cmアンダー)にこだわったことで、新しいアイディア(後述)が閃いた。
わかりやすいのが、レングスについてです。
スペックが示す通り、2つのパターンがあります。
これは、多セクション構造のモバイルロッドだからこそできるギミックでしょう。
大口径ポッパーをパワーロスなく引き続けられる硬めのショートティップと、荒れた波の中でもダイビングペンシルをエラーなく動かすための柔軟かつ長めに設定したティップ。
状況に合わせた2つの選択肢を1本の竿で選べるようになっています。
ショートティップはGTのポッピングゲームに特化したパワー感で。
テストでの初GTを手にしたのも、このショートティップ仕様(7フィート10インチ)でした。
僕の場合、波が高いときや潮が早くダイビングペンシルを動かしづらいときは、水をよく噛んで泡と音でアピールできるポッパーを多用します。
ポッパーのデメリットは、大口径故に引き抵抗が非常に大きいこと。
使うルアーの大きさにもよりますが、柔らかいティップでは竿が力を吸収するため、ルアーが動くまでにパワーロスが発生し、疲労に繋がります。
それを極力抑えるためのレングスとパワー感で、現在最終調整中です。
そのテストでは、フック込みで160g前後のルアーをメインに使用していました。
お次はロングティップ(8フィート3インチ仕様)。
ダイビングペンシルの使用を想定したこのバージョンは、オフショアでのメインターゲットとなるヒラマサ、GT、キハダマグロなど幅広い魚種を想定しています。
テーマは大小様々な大きさと重さのダイビングペンシルをエラー(不自然に水面から飛び出してしまうこと)無く動かしながら、ヒットの際は魚の泳ぎを柔軟に受け止めて、身体への負担を減らしながらバットの力で魚を浮かすことができること。
2月の玄界灘遠征では、3日間を通して目まぐるしく潮と風が変わったため、状況に合わせて様々な種類のダイビングペンシルをローテーションしながら、ヒラマサに口を使わせる必要がありました。
同行した田山テスターには15キロを超えるヒラマサがヒット。
この魚特有の大きな首振りを竿の曲がりで受け止め、キャッチに繋げていましたね。
……ここまできて、今一度「Dear Monster MGX-∞S」の全景を見てみましょう。
この竿が“Dear Monster”である以上、海外での使用も想定したものでなければなりません。
今回はサラっと書くにとどめますが、先の池尻テスターのタイ遠征レポートでも紹介されましたので、簡潔に。
赤く指差されたセクション(♯3)がディアモンスターと共通径となっており、既存モデルのグリップや、オプションパーツ各種と組み替えて使用できます。
従来のDear Monsterではリールシートセクションに互換径を設計していましたが、新設されたM“G”Xシリーズでは、よりベリーセクションに互換径を設計。
みなさんお手持ちのDear Monsterシリーズとの互換で、可能性は更に広がります。
……そのあたりの検証もぬかりなく、テスターの皆さんが力を貸してくれています。
長く続いたコロナ禍もひと段落、今後も世界各地の遠征に「Dear Monster MGX-∞S」が旅立っていくことでしょう!
池尻テスターはDear Monsterの真骨頂ともいえるブランクの互換性を最大限に利用して、「Dear Monster MX-9S」(グリップ)+「MGX-∞S」(ブランク)のセッティングでタイのメコンオオナマズをキャッチ。
小塚代表も、同セッティングにてアマゾンでのぶっこみ釣りで様々……。
これまでベイトリールがメインだった淡水の“怪魚”(バックパッカースタイル)にも、仕舞50cmアンダーの「MGX-∞S」の登場で“パワースピン”という選択肢が生まれるかもしれません(ベイトキャスティングが苦手で、荷物量を気にしない欧米の遠征アングラーの間では、既にパワースピンの釣りは一般的です)
マルチピースロッドの必然、継ぎ目の多さなどから「折れやすいのでは?」という不安は、テストをしっかりと行ったことで完全に払拭されました。
確かに、モバイルロッドが1ピースロッドや1&ハーフ、2ピースロッド廉価版の位置付けで、折れやすかった時代があったと聞きますが……30手前の僕は知らない世代です。
技術や素材が進化した現代、詰まるところ各種コストをどこまでかけられか(そこについてきてくれる仲間・ユーザーさんがどれだけいてくださるか)、要は“熱量”だと思っています。
2012年、3万円台のモバイルロッドすらほぼ無かった時代、4万円台を飛び越え、5万円台の(当時としては)ハイエンド価格帯でDear Monsterが“常識”に一石を投じて早10年……現在の淡水の海外遠征では、少なくとも日本人旅人にはモバイルロッドの方が“新常識”になりました(ちなみに、僕が1人目の購入者です笑)
ディアモンを手に世界を飛び回った学生時代、仕舞50cmアンダーが“当たり前”の僕ら世代が、今度は作る側の立場で、オフショアの世界にも新しい風を吹かせられたら。
従来のプロダクトで語られがちだったマイナスイメージを覆すオフショアロッドを目指し、更なる改善を重ねていきます!
「限られた荷物で、限りない可能性を。」
すべては旅から得られた想いを、1本の竿に込めて。
<関連ページ・レポート>