フィールドワーカー・酒巻的オススメ遠征先・有明海(とその周辺地域)〜大陸を感じる泥の海〜

遠征準備はいつも直前でバタバタ、フィールドテスター酒巻です(写真は初めて食べたムツゴロウ)。

夏の大型遠征2連発にを前に、絶対忘れ物する気配しかない!

準備やなんやで忙しく、今回は過去何年も通ってきたオススメのフィールドの総括を書きたいと思います!

国内で素晴らしいフィールドといえば、北海道の釧路湿原や、滋賀県の琵琶湖、高知県の四万十川などなどあげだしたらキリがないのですが、今回は何故か知名度が低い有明海をご紹介。

めちゃくちゃマニアックですがとても魅力的なフィールドなので遠征先の候補にしてもらえたら嬉しいです。

有明海とは九州北部の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県に跨がる「泥干潟」の海。

有名なところだとムツゴロウがいる海ですね。

特徴としては濁った海で、これは干潟が泥干潟であることに由来します。

また潮の干満の差が国内最大で、潮が引くと目の前から海水が消え、広大な泥干潟が顔を出すのも有明海ならではの景色。行くたびに異質すぎて感動します。

僕が初めて行ったのは2014年の年末年始。通りがけに憧れだった有明海に寄ったのですが…全く生命感がなくて驚きました。

ムツゴロウやカニがウジャウジャいるイメージだったので、行けば見れるんだろうなあと勝手に思っていたのですが、実は彼らは冬場は冬眠するのです。

そんな事も知らずに勝手に有明海に絶望したのもいい思い出です(笑)。

翌年秋に半ズボンで行って寒さで死にそうになり、そりゃあ冬は冬眠もするわと思った図。

当時、九州なら暖かいだろと思っていた無知な自分を殴りたい(笑)。

そんな有明海、景色もそうですが、住んでいる生き物達も大変個性的です。

有明海固有種である生き物も結構いるので、ここに行かないと会えなかったりもします。固有種、アツいですよね!

・ムツゴロウ

言わずも知れた有名種であり、有明海といえばこの種を連想する人も多いのではないでしょうか。

現地ではガタスキーという板に乗り込み、のべ竿で引っ掛けて釣るというムツかけという伝統漁法があります。

トビハゼよりもだいぶ大きく、背鰭が美しいです。

釣ってしげしげと観察するのも良いですが、潮の引いた干潟で活動する魚なので、体の水分を保つために体を転がす仕草やお互いの縄張りを主張して喧嘩する姿など、様々な行動を観察できるのも楽しいです。

・エツ

初見で、こんな魚が国内にいたんすか!?!?と大変興奮した魚です。

形もそうだし体色も綺麗ですよね。

口のギミックとかも訳が分からないし、どうしても生で見てみたくて友人にお願いして漁に参加させてもらいました。

現地ではスーパー等でも流通するそうですが、他県に流通する事はほぼないようで、見たり、食べりしたければ現地に行くか送ってもらうしかないという難易度。

でもそれがまた良いですよね。

釣りで狙って釣ったような話は聞いたことがないので、いつかやってみたいなと有明海へ行く理由として残しています。

・ワラスボ

エイリアンなんて呼ばれたりもしますが、熱帯魚飼育勢だった僕は南米ドラゴンフィッシュ(調べてみてください)にそっくりで、こんなに似た種類が国内にいたのか!!とビックリした魚。

こんな見た目でガブガブ噛んできたりするのもポイントが高いです。

意外にも釣りで狙えるターゲットで、形も動きも面白いので是非実物を見に行ってみてほしいです。

・ハゼクチ

冒頭に書いた通り有明海の生き物は殆どの種が冬眠する中、冬場でも動いているのがこのハゼクチ

基本的に一年で世代交代をする魚で、冬場には大型の個体が釣れるようになります。

なんと長さは国内最大で60cmを越える個体もとれたことがあるそう。

実際に竿を出してみると40cmが壁だなという感じで、僕もいつかそんな大型個体を見てみたいなと憧れている魚です。

MX-7」での投げ釣りで。

・ヤマノカミ

日本の淡水性カジカの仲間で最も南に生息している種。

ウナギやアユカケのように淡水で育ち産卵の為に海へ移動し、オスは卵を守るというイクメンっぷりを発揮するそうです。

鰓のオレンジが綺麗で、威嚇で鰓を広げると鮮やかな色が美しいです。

カジカの仲間を手にした時の特別感ってなんなんでしょうね?

・ヤベガワモチ

この造形美に唸る人が日本に何人いるのか分かりませんが(笑)、個人的には有明海周辺の生き物でもトップクラスに好きな生き物です。

釣りのターゲットにはなりませんが、こんな生き物がひっそりと生きているのはたまりません。

2枚目の小さい方はセンベイアワモチという別種。よくこんな姿に進化したものだなと興奮しますよね。

・アリアケスズキ

僕は小型個体しか釣った事がありませんが、ルアーフィッシングのターゲットとして魅力的なのは本種ではないでしょうか。

最近、津田テスターが老成魚釣ってて興味深かったのがこの魚!

結構ロマンのある魚で、かつて日本が大陸と繋がっていた頃の名残りとして残ったタイリクスズキと国内のマルスズキとがどこかの時代で合わさったのではないかと言われています。

黒点の数もまばらで、成魚になっても黒点がクッキリ残った個体をいつか狙いに行かねばと思っています。

……他にも魅力的な生き物はたくさんいますが、メインどころはこの辺でしょうか。

有明海そのものも面白いですが、生息している生き物達も個性的な面々ですよね。

泥干潟に住んでいるとなると、食べてみたらヘドロみたいな臭さがあるんじゃないの?と言われたりもしますが、全く臭みもなく普通に美味しいです。

泥とヘドロは全く別物なのだなと感じましたし、実際に有明海自体もヘドロ臭さは一切ありませんでした。

あの有名なムツゴロウの味、気になりませんか?

ちなみに、有明海への流入河川は、マニア曰く“日本最後のタナゴの楽園”。

MX-0」が輝きます。

普通種のヤリタナゴも、平均サイズがでかい!

2022年現在、残念ながら釣り禁止になってしまったセボシタビラと出会えたのも良き思い出。

周辺地域にまで足を伸ばせば……「MX-6」でコウライオヤニラミ(外来種)。

この時はオオニベ狙いの九州遠征でしたが、同時期に釣りしていた野村テスターは本命ゲット。

自分は浮気してしまい、「MX-6」がいつもの“スーパーサブ”ロッドっぷりをいかんなく発揮して終了……。

コイツはコイツで嬉しかったんですが、ア行(アオウオ、ウケクチウグイ、オオニベ)の呪い、九州通いは今後も続くでしょう(汗)

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さてさて。

最後に、僕が偶然発見の場に立ち会えた話として、友人が14年ぶりに再発見したヒメモクズガニの画像を添えて終わりにしようと思います。

最後の確認から14年間も発見されていなかったので、もう絶滅したのでは……と言われていた種類なのですが、情熱でこう言うのを引き寄せる人間もいます(笑)

幻とはなんなのか、改めて考えさせられました。

……と言うわけで、今回は個性的な海・有明海の紹介でした!

お盆休みも間近、みなさま良い釣り&良い旅を!!!!

関東地方在住。生物飼育好きの引きこもりだったが、小塚が熱帯魚雑誌に寄せたムベンガの釣行記を読んでフィールドワークに開眼、ディアモンスターを手に日本各地を回るようになる。際限がなくなる海外はあえて手をつけず、国内にこだわり、その深みを追求。一般企業の会社員として週末限定ながら、自家用車の年間走行距離は毎年4万kmを超え、定点観測的に訪れる都道府県は毎年30以上。魚の大小問わず、魚以外も両生類や爬虫類などいずれも1匹との感動を大切にして、山頂から深海まで、金曜の夜から月曜の朝まで、フィールドをウロウロしている。