「Make Progress 2023」新作オプションパーツについて、お節介にならない程度のトリセツ。

モンスターキス代表の小塚です。

PRODUCTページを更新、オプションパーツの選択肢を増やしました。


まず強調させていただきたいのは、上記オプションパーツは「公式オンラインストア限定商品」である点です。

大変申し訳ございませんが、一般の小売店様(直営セレクトショップ「Monster BASE」を含む)ではお求めいただくことができませんので、その点まず最初にご了承ください。

……さてさて。

(ほぼ)全てのオプションパーツの紹介文に「自由な発想で、ディアモンスターの可能性を広げていきましょう。」と結びました。

実際、その通りなのですが、お節介にならない程度に少しだけ補足説明させてください(“ネタバレ”が嫌いな方は、読まないで色々お試しください笑)

“Make Progress 2023”(一歩前へ進もう)を株式会社モンスターキスのスローガンに参考ページ、小塚個人としてはディアモンスターの覚醒年と考えている2023年。


その象徴である「MX-PROGRESS」シリーズのご好評に背中を押していただく形で、この度「MX-FG」シリーズ(Front Grip)と、「MX-RG」シリーズ(Rear Grip)を展開させていただきます。

元々、管理上の都合から「MX-Grip(Spinning/Casting)」として過去にはFGとRGの組み合わせをセット販売してきましたが、「別々に販売してほしい」との多くのご要望をいただき、構造等を再設計・アップグレードのうえ、ラインナップを整理いたしました。

わかりやすいところからいきましょう、「RG」(リアグリップ)の、セパレートタイプ2本から。

下画像、上が「MX-RG32」、下が「MX-RG37」です。

オプションパーツの数字は、全長ではなく有効レングス(擦り合わせ部を除いた長さ)です。

MX-RG32」に関しては、先述の「MX-Grip(Spinning)」(下画像、フロントグリップと繋いであるもの)と同じ有効レングスで、既にご好評いただいている製品を出発点としました。

「MX-Grip(Spinning)」は、使用感はもちろんのこと、フロントグリップと繋いだ状態で(ほぼ)50cmという点が、設計時の重要コンセプトでした(バラバラに移送・管理すると紛失の原因になるので)。

個人的には、MX-6」のフロントグリップ(下画像の下から2つ目。全長18cm)と繋いだ状態でピッタリ50cmに設計してあり、今回もその点を基準としてあります。

ライトジギングなど、週末のプレジャーボート釣行ではこの組み合わせ(「MX-6」のリアグリップのみ交換)で多く使ってきました。

最近のバーチカルフィッシングでは、後ほど紹介するフロントグリップ「MX-FG19/PU17」(上画像、最下段)と組み合わせることも多く、この組み合わせでも繋いだ状態で約52cm程度と、ディアモン共通の50cm仕舞寸の機動性を大きく損ねるものではありません。

一方「MX-Grip(Casting)」は、リアグリップ部分をディアモンの設計制限長である50cmに合わせた製品で、有効レングスとしては42cmでした(上画像)

体が大きく、手足の長い吉田(身長180cm台後半)の要望を受けて製品化したもので、身長172cm(日本人の平均長)の私には、正直なところあまり出番が多くなかったモデル。

有効レングスがわかりやすいようメジャーを置き直しますと(下画像)、新規にラインナップする「MX-RG37」(下画像の下から2つ目)に関して、有効レングス37cmは「MX-RG32」(下画像最下段)と「MX-Grip(Casting)」(下画像メジャーより上、リアグリップ有効レングス長さ42cm)のちょうど中間長にあたります。

「『MX-Grip(Casting)』(有効レングス42cm)が欲しかった、体に合っていたのにな」という方は、ご安心ください。

オプションパーツ類の組み合わせで、下画像のように“ほぼ「MX-FG42」”(「MX-PROGRESS30」+「MX-RG12 」)を創出することが可能です(詳しくは後述)。

MX-RG12 」が出てきましたので、「RG」(リアグリップ)に関して、「MX-RG」シリーズのストレートタイプのお話を、より特徴がわかりやすい「MX-RG22」を例にさせていただければと思います。

「MX-RG」シリーズのストレートタイプは、うち「MX-RG22」は“ディアモン御三家”(基本モデル)の「MX-7」の標準リアグリップ(セパレート仕様)を基準に、そこに有効レングス長を合わせて設計しています(上画像)

余談ですが、私・小塚拓矢の「矢」は、戦国大名・毛利家の“3本の矢”(1本では折れても、兄弟3本集まると折れない)も由来の1つのようで、それもあってか個人的には「3」という数字には収まりの良さを感じており、「3本で世界の淡水釣りを網羅する!」というDear Monsterスタートアップ時のコンセプトもそこに通じます(初期ラインナップの3本「MX-6」「MX-7」「MX-∞」は、今では“ディアモン御三家”と呼ばれているようで、以下私も倣います)

M“V”シリーズが「MV-55」「MV-65」「MV-75」と3モデルで完結、HUNTERSが「HT-6/7」「HT-7/8」「HT-6×4S」と3モデルでスタート(最近「HT-∞∞」の追加でブレた笑)した事も、無縁ではありません。

……話がそれましたので、戻します。

何が言いたかったかというと、オプションパーツは、そんな“ディアモン御三家”(「MX-6」「MX-7」「MX-∞」)を基本・出発点として設計されている(ものが多い)、ということです。

現在ラインナップは10本以上を数えるディアモンスターではありますが、そういった意味でも、どの製品を選べばいいか迷っておられる方には“ディアモン御三家”からまず手に取っていただくこと、気に入っていただければこの3本を優先して揃えていただけると、ありがたいです。

「MX-RG」シリーズのストレートタイプ(12、17、22)は、現在モンキススタッフが“セミ・ストレート仕様”と呼び始めている外観アレンジを可能にします。

“アンバサダーが似合う竿”という、初代ディアモン(MX-71)をデザインした時のコンセプトを、機能性と天秤にかけて据え置いた部分を、10年以上の時を経て回収した感じでしょうか。

ずっと作りたかったパーツなので、自己満足は大きいです。

がしかし、自己満足だけでDear Monsterを、「MX」を冠させることはしません。

MX-PROGRESS 15」と「MX-RG22」を組み合わせれば、先述の「MX-RG37」とレングス的にはほぼ同様の使い心地を実現し、かつコルク体積や、加重(実測52g→73gで約20gのバランサー効果)で、更なる多様性を提案します。

竿はレングスが使用感変化の筆頭要因になると考えていますが、変化させた要因が多ければ、何が理由でどう変化したか、竿選びの深みを体験すること(対照実験)は難しくなります。

ある程度、揃える部分は揃えること(今回に関してはレングス、実験用語で“コントロール”)を意識してありますから、私が日々感じている竿作りの面白さ(の一部)をお裾分け・ご共有いただければな、という思いです。


上写真は、「MX-6」(スピニングモード)に「MX-RG12」を互換させてみた時のもの。

MX-RG17」に関しては、「MX-RG12」と「MX-RG22」とのちょうど中間長になりますので、お好みでお試しください。


「FG」(フロントグリップ)に関しても、豊富にラインナップさせていただきました。

上写真は、上から下へトリガーが長くなる方向に「MX-FG19/PM17」「MX-FG19/PT17」「MX-FG19/PU17」(プロトを含む)のトリガー周辺部位です。

製品名が示す通り、全長は全て19cm、先述したような対照実験的な考えもあり、意識的に全長を変化させていません。

トリガー形状(に特徴付けられるリールシート全体形状)だけが変わっており、Fuji工業製リールーシートからスクリュー部の長さを調整(カット)することなく、60mmのコルク部(「MX-6」の相当部分と同長・同等形状)を合わせています。

「MX-FG」シリーズに関して参考までに、先ほど「スクリュー部の長さを調整(カット)することなく」と太文字強調した部分の理由を補足いたします。

上写真は、上から順に「MV-75」のFG(フロントグリップ)該当部、「MV-65」の同等箇所、「MX-FG19/PU17」です。

中段の「MV-65」に関して、上段の「MV-75」と同様のPTSリールシートを採用していますが、MV-65」では軽量化を優先、指を指しているスクリュー部分を10mm程度カットして、いちモデルとしての完成度を高めています(2023年現在、PTSシートを採用している「MX-39」「MZ-7」も同様)

逆に上段の「MV-75」は、ブランク長やそのパワー感とのバランスから、スクリューのカットは不要と判断、替わりに緩み防止のアシストロックフード(2つに分割されて写っているもの)を搭載しています。

これら細かな試行錯誤をしてきた上で、新たに展開するオプションパーツ、「MX-FG」シリーズでは、スクリュー部の調整(カット)はせず、アシストロック込みでご提案いたします。

指を退けて、「MX-FG19/PU17」のフードもアシシトロック部と2つに分解してみました。

“完成品”の1モデル(ブランク・グリップ込み)を作る際には、スクリュー長含め細部を検討し、完成度を突き詰めるわけですが、あくまで“オプションパーツ”は使い手次第、Fuji工業さんへのリスペクト(製品名にも反映。“PM”←PMTSシート、“PT”←PTSシート、“PU”←PULSシート)も含め、意図的に最低限の加工でご提案します

“大は小を兼ねる”とはよく言いますが、ロッドに関しては総じて“長は短を兼ねる“ので、長いままの方が拡張性が高まるとの考えです。

オプションパーツに関しては、“完成度”よりも“自由度”を重視、突き詰められた性能は“完成品”でご堪能ください。

MX-FG16 / VS16」と「MX-FG21/TC18」に関しても、同様にスクリュー部をカットしない替わりにアシストロック込みでのご提供となります。

注意点、使い所などは各々の製品ページをご確認ください。

最後に「MX-PROGRESS」シリーズに追加される1パーツ、1番人気の「MX-PROGRESS15」に、被膜ラバー構造を追加した「MX-PROGRESS15R」について。

製品名に追加された“R”はラバー(Rubber)のRです。

2023年夏発売予定の「HT-∞∞」での“完成品”モデル搭載を念頭に、「MX-PROGRESS」シリーズのテストと並行して使用感を確認してきたパーツ。

製品ページ(「MX-PROGRESS15R」)にもありますが、構造上、製品名はおろかブランド名を印字できない(「MX-RG」ストレートタイプも同様)点も気になり、発売を後回しになってきたパーツですが、イベント等で実際にプロトをご覧になった方からの熱い声を受けてラインナップいたします。

実際、被膜ラバーの分だけ重量も増加する(実測7g程度)のですが、コルクでもEVAでもない見た目、質感、太さは、従来の「MX-PROGRESS15」(ブランク剥き出し)では「必然とはいえデザイン的にちょっと……」と思うようなブランクの細いモデルでも、「これはこれで個性的なデザインとしてアリかな?」と思えたりもする、不思議な感覚に陥るパーツです(個人の感覚です)。


最もブランクが細い「MX-39」と合わせてるとこんな感じです(上が追加される「MX-PROGRESS15R」、下が「MX-PROGRESS15」)。


最近、竹内テスターのレポートでも触れられていましたが、「MX-5S」のようなブランクが細いモデルにも「MX-PROGRESS15R」であれば、デザイン的な違和感が緩和されるかなと思います(あくまで私の感覚です)。


個人的には“噛みやすい”という部分に最大のメリットを感じています(コルクやEVAより細くて“アホ面”になり辛く、かといってブランク単体と比較して滑ったり歯で傷が入ったりしない)。

直接噛んでいただいても問題ありませんが、上写真で更にバフの上から噛んでいるのは、加齢に伴う2重アゴ対策です。

見えにくいですが、直接噛んでいるのが下写真。

オプションパーツフル活用で手にした思い出深い1匹ですので、まとめとしてこの1匹に至るエピソードを。


上写真のピーコックバス(2023年1月ブラジル)は、ブランクが「MX-6Pro」、グリップ周りに(ティップ側から順に)「MX-PROGRESS15R」「MX-FG19/PU17」「MX-PROGRESS15」「MX-RG12」というオプションパーツ総動員でキャッチしたもの。

「ここまでする必要ある?」と言われそうですが、直前シーズンのブラジル・ネグロ川は、こと2023年に入ってからは、名だたるプロアングラーすら(ミノーを入れても)ボウズという日もあるという散々な状況。

自分の日程・ポイントでは、幸いミノーを入れれば型はともあれ魚は見れる状況ではありましたが、“名物”とも言えるビッグスイッシャーの高速ジャーク(リッピング、ともいう)で魚を出すには、相当厳しい低水温。

とはいえ、自分としてはミノーを入れてまで釣る必要はない(→よりルアーパワーを下げてフェザージグで「MZ-6S」をテスト)。

ブラグでの釣りなら「ビッグスイッシャー以外ならボウズ上等!」と投げ切ることにしたわけです(撮影も絡んでいたので、トップで出さないと“画”にならないという事情も……)

やった方はわかると思いますが、ここまで体に負担がかかる釣りも多くありません。

そんな状況でわかったのは、最適なセッティングを“見つける”、というよりは、“変える”こと自体に意味があるということ。

握り(グリップ周りのアレンジ)を変えるだけで使う筋肉が変わり、体への負担が緩和されるという体験でした。

「変えられること自体に意味がある」という閃き。

厳しい状況にモチベーションを維持すべく「MX-FG」シリーズ総動員、結果的にキャストから水面爆発、キャッチまで録画できた、納得の1本をもたらしてくれたセッティングが、“たまたま”このような仕様でした。

いつかどこかで、動画公開しますね。


「Make Progress 2023」、今年はディアモンスターの覚醒年。

改めて製品ページや過去記事を読み返して確認いただければと思いますが、「MX-PROGRESS」シリーズをエクステンション“バット”と呼んだ(書いた)ことは、私は一度としてありません。

あくまで、エクステンション“ブランク”としてきた真意が、この記事でお分かりいただけたかと思います。

以上、紹介させていただいたオプションパーツは、重ね重ね「公式オンラインストア限定商品」です。

諸々の自由度を第一に、製品以外のあらゆるを簡素化……そのような理由・思想もあり一般の小売店様(直営セレクトショップ「Monster BASE」を含む)ではお求めいただくことができませんので、改めてその点はご了承ください。

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「Dear Monster」を作って、早10年超。

正直なところ「MX-PROGRESS」(印籠継ぎ構造)をやれば色々できるのは随分前から気づいていて、あえてやらなかった。

「HUNTERS」を企画し、最“強”は(とりあえず)譲っていい、そう思える若者たちと出会った。


でも、最“自由”は、譲らない。

「Dear Monster」が、世界で最も自由な竿であり続けることは、これからも変わることはない。

ビッグベイトを契機に、ルアーやリールにはカスタムやチューニングが広く浸透したこの時代。

いつまでロッドだけが、“不自由”なんだ?

“モバイルロッド”は必要ない……どこまで“固定観念”に縛られ続ける?

今回追加するオプションパーツが世に受け入れられるなら、今後もっともっと尖ったことができる。

釣りは、旅は、面白くなる。

皆さんが手にしているDear Monsterは、これから出会うDear Monsterという“楽しい未来”は、無限の可能性を秘めている。


「自由な発想で、ディアモンスターの可能性を“開拓”していきましょう!」(「MX-PROGRESS15R」製品ページより)

株式会社モンスターキス代表。怪魚(巨大淡水魚)を追いかけ、これまでに世界56か国を釣り歩く。物心つく前から魚(釣り)に熱中し、30年以上経った今日も継続中。北陸・富山に生まれ育ち、小学4年時にキジハタからルアー釣りを開始、中学・高校時代はバス釣りに熱中。大学進学以後は「今しかできない釣りを。遠くから行こう!どうせなら大物を狙おう!」と世界の辺境を目指した結果、いつしか“怪魚ハンター”と呼ばれ、それが仕事になり、旅は今も続いている。著書多数、近書に「怪魚大全」(扶桑社)。剣道3段。趣味はハンティング(鉄砲)