“ホタルイカパターン”の真実(後編)。「LUZ-AZUL」で“ショアレッド”を釣獲&more

こんにちは、富山の“キトキト・ハンター”、川合です!

季節は春から初夏に移行して、暖かくなってきました。

前回は地元富山の早春の釣り(〜3月満月大潮まで)をレポートさせていただきました。

その後編として、今年は長く楽しめている富山の春の釣り、初夏にかけての富山湾の移ろいをレポートします。

例年、富山の”ホタルイカパターン”と呼ばれる釣りは、長く続いた年でも6月の新月大潮周りで一気に終了に向かうことが多いですが、今年はシーズンが長い印象です。

恐らく、ホタルイカの絶対数が多いのが大きく関係しているのだと思いますが、6月中旬の現在でも、ムラはありますが一部で身投げしています。

ただ時期が進行すればするほどに、ホタルイカやアミの他にもあらゆるベイト(稚鮎、鮭稚魚、シラス、ハク、カタクチイワシ等)が混合し、高水温適正の魚も岸寄りして、狙える魚種が増えていきます。

ホタルイカ「も」絡んだ、複合パターンに変わっていくわけです。

現在開発中のイカ型ルアーは、ホタルイカ「のみ」にアジャストさせた、富山限定のローカルルアーではなく、全国の”プランクトンパターン”(浮遊生物)に普遍的にアジャストできる、グローバルなルアーを目指しているので、時期とベイトが複合する春後半〜初夏にかけての現在の状況にはもってこいのルアーだと言えます。

使用するルアーは同じなので、タックルセッティングは、早春とほとんど同じです。

■タックルデータ
ロッド:「Shinkirow LUZ-AZUL 76/82MLS」(82ロングモード)
リール:ツインパワー2500HGS
ライン:アップグレードX8 0.6号
リーダー:グランドマックスFX 2号
スナップ:Dスナップ S
ルアー:プロトルアー(75mm、10g前後)
スプリットリング:レギュラーワイヤー #1
フック:ST-36TN #6

まずは、富山の春といえばメバル。

この時期は水温が上がることでディープに落ちていく個体も多いですが、その分シャローに残る個体は大型個体が多く、出たら良型が多いです。

時間を作って県東部(大きな丸砂利が特徴)までプチ遠征してみれば、状況が掴めない段階でも、とりあえず、尺メバルが2本出てくれました。

ホタルイカの身投げは全く無い状況でしたが、開発中のルアーのアクション特性(大きく2パターン)を使い分けることで、メバルからの高反応を得ることができました(いずれ詳しく紹介させていただきます)。

この魚は釣った直後にアミ系のベイトを大量に吐き出しました。

何が言いたいか?

“ホタルイカパターンの真実”として強調したいのは、「釣るに際して、ホタルイカの出現を意識しすぎる必要は無い」という事です。

ホタルイカを食っていない状況でも、むしろホタルイカを食っていない状況でこそ効くように作ったのが、開発中のイカ型プロトルアーです。

大事な事ですが、ややこしいのは承知しているので、今後も事あるごとに繰り返しお伝えしていきたいと思います。

一方で、春先からホタルイカをたらふく食った、この時期の富山メバルはデカい。

“尺”と言う長さ基準でなく“太さ”で、写真のような体型の富山のメバルを、ホタルイカに敬意を払って、僕らは”イカメバル”と呼んでいます。

メバルと並んで、この時期のアジはホタルイカやベイトフィッシュをメインに追っている個体が多く、イカ型プロトルアーでの連発もあり、楽しめました!

サイズは尺〜ギガサイズ(50cm前後)が多く、他地域の方からは驚かれますが、この時期の富山のアジは、100mm以上のプラグにもアタックしてきます。

一般的なアジングで、ワームでも当然釣れますが、プラッギングがしっかり成立して楽しめるのがこの時期の魅力。

この日使った開発中のイカ型プロトルアーは75mm10g前後、サイズ的には大きすぎることはありまん。

回遊性のアジは、短時間で色々試せることが面白い魚。

数やサイズを追うのではなく、いくつか姿勢の異なるプロトを使い比べて反応の変化を検証しましたが、水平であればあるほど、そして余計なアクションのブレがなければないほどバイトが多い印象を強く受けました。

とはいえ最適解を模索すれば……アジもメバルも、さらにアジャストさせやすいサイズ展開を既に構想しています。

この時期の富山は、メバルもアジもデカい。

使うロッドは「Shinkirow LUZ-AZUL 76/82MLS」(以下適宜ルズアズール)が基本となります。

ただ、4月以降はシーバスやクロダイ、キジハタなど、より大型ターゲットが増えてくるので……それでも自分は、まだ、ルズアズールをメインロッドに押し通します。

ルズアズールは、自分の中ではライトゲームでアジ、メバルを楽しむ一方で、ミドルゲームのクロダイ、シーバスにまで対応できるブランクに仕上げたつもりです。

シーバスタックルや、ミドルゲームロッドを使うのがこの時期のセオリーですが、基準のタックルセッティングより、一段ライトにアプローチした方がバイト数が多く、何より釣り自体を楽しめると感じています。

参考までに、近年はメバルで注目されていますが、“ホタルイカパターン”というコトバ、ムーブメントは、クロダイ狙いから生まれました。

2003年ごろに始まったと聞いていますが、そうなると、プラグでチヌを狙うチヌ・プラッギングのルーツ、現在マダイにまで発展を続ける“ミドルゲーム”の源流は、富山にあることになるかもしれません。

そんな背景や、これからの未来にまで思い巡らせれば、イカ型ルアーを投げるモチベーションがますます上がります!

状況に合わせたアクションをいくつか使い分けて、チヌでは数釣りを楽しみました!

数を重ねることで、分かることがあります。

後ろから啄むようなアタリというよりは、思いっきりひったくるようなバイトが多く、掛かりはほとんどがフロントフックに集中。

一般的には、テールフックをガジガジやるイメージの強いタイ類ですが、イカ型ルアーでは、足先よりも目の位置(フロントフック)を狙ってくる傾向を感じ、この位置のフックもテールフック同様の強度が欲しくなります。

「タイ類に十分な強度の太軸フック、同サイズを2個搭載し、それでいてフック絡みを抑えたい」……小塚さんと試行錯誤してきた部分が間違いではなかったと、あらためて確認することができました。

さてさて、クロダイを狙う中でエリアによってはシーバスも混じります。

コンディション抜群で元気な個体が多く、かといって平均サイズは秋ほどではなく、ルズアズールで丁度楽しめるサイズ感です。

がしかし、時に大物も混ざります(同行者は体高と幅のあるランカーサイズまでキャッチしていました)

一般的なメバルタックル(〜0.4号基準)では大変ですが、PE0.6号基準の「Shinkirow LUZ-AZUL 76/82MLS」とのバランスであれば、ランカーシーバスすらもゆとりを持って対応できます……頭の隅にはより大物を想定していますので(レポート後半で)。

チヌ、シーバスの他にも、さまざまな魚種が釣れますが、富山の定番ロックフィッシュ系はお決まりのこの3種類。

左から、カサゴ、ムラソイ、キジハタ。

ポイント次第ではこれらにクロソイも混じります。

カサゴは尺オーバー、自己記録になる大型サイズまで出てくれました!

25cmオーバーのカサゴはよく釣れるのですが、30cmは壁があり、ショアからはなかなか出ないサイズなので嬉しい1匹でした。

ロックフィッシュはその名の通り根回りを好む魚ですが、ワームで沈め、彼らの棲家へ迎えにいくのではなく、大きめのプラグで引き出し、浮かせて(根から離して)掛けることで、格段にキャッチ率が上がります

この辺りは、ビッグベイトの釣りにも通じる考え方で、“ライズアップメゾット”などと呼んで意識的に戦略に組み込んでいます。

写真の背景の通り、僕が釣りしたのはサーフや、丸石のゴロタ浜なので、ロッドはルズアズールで対応できましたが、それ以上に根が厳しい地形ではエギングロッドのパワー感を持つ「Shinkirow KEARSHI 72/77MS」と使い分けることで、釣りの幅が広がるかと思います。

本州、日本海側のちょうど中央に位置する富山湾。

前回レポートしたようなシーズン初期はメバルのような北方・冷水系のロックフィッシュが幅を利かせますが、ホタルイカシーズン後半、キジハタを代表とする南方系・高水温系のロックフィッシュが岸寄りする水温になってくると、僕が意識するのはコイツです。

シャローに回遊してくるであろう、”ショアレッド”を求め、再び県東部へ。

6月に入ったこの日、潮周りは新月大潮2日目。

ホタルイカの身投げをポツポツ確認できた、良いタイミングでした。

本命1本狙いで、プロトのイカ型ルアーに搭載したのは、上下ともトレブルフックの#6(カルティバST-36TN)。

一般的なメバルルアーは細軸フックでバランス設計されてますが、太軸の♯6が”ショアレッド”を狙うための最低強度のフックセッティング。

太軸の♯6を2個搭載した状態での完璧なバランスが、僕がプロトルアーの開発において絶対に譲れない部分でした。

モゾモゾっとした前アタリが数回あり……掛かってからは強烈な叩く引き。

手前は障害物がありますが、無理に寄せてこようとするとフックが先に伸ばされてしまうので無理に寄せるのは禁物。

沖のオープンに素直に走らせてからジワジワ寄せてきて、手前は一気に寄せて無事ネットイン。

今シーズン初、赤くて綺麗な“マダイ”でした!

魚体は大きいですがアタリは自体は繊細なマダイ。

ライトプラッギングスタイルで狙う場合、やり取りの際にフックが伸ばされやすく、その意味でもティップはL(ライト)クラス、バットはM(ミディアム)クラスと、その良いところ取りのMLクラスのルズアズールがマッチしているなと、改めて思いました。

参考までに、大型魚はとても弱りやすく、ノッコミの時期でもあるので、リリースする時はなるべく水に浸かりながらの撮影を心がけています。

シーズン最初の1匹を手にしたあと、マダイ通いはそれからしばらく続きました。

別の日は単日で2枚キャッチ!

バイト自体は倍以上あり、マダイの地合いはハッキリしています。

単発というより、地合いに突入すると一気にバイトラッシュが来るのでそこで何枚キャッチできるか?と言った感じです。

真っ赤な個体はものすごく綺麗で何度見ても痺れます。

マダイの個体数は放流が盛んな地域には敵いませんが、北陸は出たら大型個体(60cm以上)が多いです。

場所とタイミングが合わないとなかなか釣ることは難しいですが、手にした時の達成感が味わえるエキサイティングなターゲットです。

サイズアップの“マダイ”。

魚体の色が黒くなり、サイズ感がお分かりいただけるかと思います。

全て、開発中のイカ型プロトルアーでキャッチしました。

ただし、口からはホタルイカでなく、甲殻類を数匹吐き出していました。

イカにマッチ・ザ・ベイトさせるのではなく、イカ形状がもたらすアクション特性で、マダイが獲れるトレブルフック2つを、最もローアピールにプレゼンテーションする。

……そして、待ちに待ったその瞬間がやってきました。

容赦無く引ったくるバイト!

掛かった瞬間思い切って沖に走らせることに……先述した通り、無理に負荷をかけて止めようとするとフックが先に伸ばされるので、相手が元気なうちは沖のオープンエリアに素直に走らせました。

ファーストランの以後は、ルズアズールで適度にプレッシャーをかけ続けて……手前はバットパワーで一気に浮かせて、寄せました。

目標だった80オーバーのマダイ、“ショア・レッド”、お前を待っていた‼️

「今シーズンは、無理かな?」と諦めそうになりましたが、プロトルアーを信じ続けてよかった。

同行した友人は別のイカ型ルアーを投げていましたが、この日は自分のプロトルアーへの反応が明らかに多く(過去逆の日もありました)、ケースバイケースで使い分けをオススメすることに、自信を持てました。

色がクリアだというもありますが、75mmのルアーが、ずいぶん小さく見えます。

……こうして1度のブレイクもなく、プロトルアー1個で計5枚のマダイと出逢うことができました。

なぜ同じルアー(同一個体)を使い続けたか?

瀬戸内地域など黎明期の”マダイプラッギング”は、一般的なメバルルアーを流用し、その有効性が確立しつつありますが、タイ類特有の顎の力によりルアー(魚型)が簡単に破壊されてしまうことが多々あると聞いています。

テスト中のイカ型ルアーは、チヌ(クロダイ)の数釣りを前提に、この“ショアレッド”(マダイ)まで想定しボディの肉厚を厚めにしたおかげで、同じルアーで5枚釣って、全く破損はありませんでした。

フックは大型フックを載せられるボディ形状に工夫しているため、ルズアズールでいなして獲るスタイルと相まって、全く伸ばされることとなく、全キャッチに至りました。

こうして、最後6月ににシーズンラストの爆発を味わうことができ、気持ちよく2024年ホタルイカシーズンを終えることができました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

時系列は前後しますが、5/11、5/12は蜃気楼の名所・魚津市で行われた「富山メバルマッシブ」というメバル釣り大会&展示会イベントにモンスターキスのスタッフとして、出展参加させていただきました。

イベントの趣旨通り、Shinkirowのライトゲーム系シリーズを中心に、ロッド各機種の展示、各種プロトルアー各種の展示をさせていただきました。

多くのアングラーの方と実際に会って意見交換することができ、大変良い機会に恵まれました。

そして「この場しかない」と、これまで”モンスターキスプロトルアー”としてSNSやレポートに掲載してきたイカ型プロトルアーの名前を、初めて公表しました。

モンスターキスのテスターにお声がけいただいて、早4年(2020年〜)。

小塚さんに“キトキト・ハンター”としてキャラ付けいただき、最近では県内外の方から「キトキトハンターの方ですよね?」とお声がけいただく機会も増えました。

正直なところ最初は「ダサくね?汗」と思っていましたが、今では富山の海の魅力を象徴するキャッチーな言葉(キトキト=新鮮な、の意)として、心から気に入っています。

そんな“キトキト・ハンター”が作る最初のルアーには、この名前しか有り得ない!

「”KitoKito 75” (キトキト・ナナゴー)」

僕が持てる全てを注ぎ込み、ここまで来ました。

既存のイカ型ルアーとひと目でわかる違いは、リアフック側のキールです。

このアイディアにより、リアフックの可動域を抑制し、75mmの大きさで♯6フック(ST-36TN)2本の搭載を可能になりました。

純粋により良いルアーを求める僕世代のアングラーからはもちろん、イベントの主催者様をはじめ、ホタルイカパターン黎明期〜現在を知る20年選手の先輩アングラーからも「来年の春には使わせてね!」「応援してるよ!」と温かいお声がけを多数いただき、大変励みになっています。

僕が思う“ホタルイカパターンの真実”……それは、ホタルイカが絡まない場所でも「イカ型ルアーのアクション特性」こそが有効であるということ。

キールは、フックの可動域制御はもちろん、アクションにも貢献しています。

まだまだ“仮説”の部分もありますが……ホタルイカシーズン終了後のこれからも、今年1年間は「キトキト75」だけを投げ通して検証したいと思います!

ホタルイカの時期に、イカ型ルアーが釣れるのは当たり前……むしろ、ここからが本番です!

<関連記事・レポート>

1996年、富山生まれ。小学2年生で釣りを始める。程なくルアーフィッシングに目覚め、国内外に視野を拡大。19歳の時、職場での事故で右手を大怪我。利き手でロッド操作ができなくなるハンディを背負うが、釣りへの情熱を失うことなく、むしろ”労災怪魚ハンター”と開き直って、繰り返される手術の合間に世界を釣り歩いた。社会復帰後はほぼ毎日、「HUNTERS」を手に地元の海に”キトキト”の(旬の)魚を追いかけながら、遠征ペースも落とさない釣りジャンキー。 2022年現在、海外だけで計10回、9か国に釣行。好きな怪魚はラテス属(アカメ属)。