「Shinkirow PEAK-HUNT 81/810XHC」頂点を獲る、規格外の硬竿。

こんにちは、テスターの藤田です。

2024年夏、「Shinkirow」シリーズにベイトモデル3機種が追加されます。

その3機種のうち最長・最「硬」の1本、私がテスト協力をしました「PEAK-HUNT 81/810XHC」について、このレポートでは紹介していきたいと思います。

開発経緯

PEAK-HUNT 81/810XHC」(以下適宜ピークハント)は大型ロックフィッシュにフォーカスしたモデルとなります。

国内のショア・ソルトゲームで考えた時、最も硬いロッドが必要となるのが、いわゆる“ハードロック”と呼ばれるジャンルかと思います。

根魚天国・北海道在住の私。

普段はソイ類アイナメ類をターゲットに、道南〜道東・道北エリアまで道内全域を。

遠征では本州・東北エリアまで足を延ばし、大型のベッコウゾイ狙いを楽しんできました。

そんなロックフィッシュゲームにおいて、これまではディアモンスターシリーズの「MX-8+」や、その前身モデルでブランク2ピースの「MX-8」(2013年限定発売)を使用していて、磯ロックをやる上で必要十分に機能してくれました。

その中で唯一気になっていた点が「根掛かりの回避能力」。

ロックフィッシュ専用ではない、中弾性ブランクによるティップが入る仕様のため、弾いて外すといった動作が、慣れとコツが必要になってくるという印象でした。

釣りとしては、難しく捉えずに極力シンプルに考えるべき(と、個人的には感じる)磯でのロックフィッシュゲーム。

その上で、根掛かり回避能力をアップさせる(=正常に釣りができる時間を長く確保する)ことは、釣果向上に直結する最優先事項でした。

そこで、私の磯でのロックフィッシュゲームの要望を改めて整理し、「ティップまでしっかり硬い高弾性」を軸として、PEAK-HUNT 81/810XHCの開発が始まりました。

設計コンセプト

①長尺でティップまで硬い高弾性ブランク

②磯でのハードユーズに耐えうる頑丈さと、操作性能の両立

③大型ロックフィッシュを根から剥がせるパワー

私のスタイルにおいて、磯ロックで求めるシンプル事項がこの3点。

PEAK-HUNT 」はティップまで芯がある仕上がりとなっていて、ロッドを上に構えた状態で軽く弾いて、リグのスタックを回避していきやすくなっています。

また、「PEAK-HUNT」は「Shinkirow」シリーズ内では突出したタフネス性能を有し、Dear Monster やHUNTERSと同等の、攻めた扱いが可能です。

オールダブルフットガイドであるため、転倒時などでもガイドの変形もしずらく、躊躇なく太いフロロカーボン(6~8号)もメインラインとして組み合わせられます。

剛性を取りこんだ上で、トリガーからグリップエンドまでが比較的長く、先重り感が軽減された設計で、一日中リフト&フォールを続けても扱える操作性能も実現しました。

現在、自身の「PEAK-HUNT」での記録は50㎝前半のクロソイとなりますが、60cm、4kgオーバーのクロソイを根周りから浮かしたり、南方ではスジアラ等の大型ハタ類とガチンコでやりあったりそのような釣りまで想定したパワー感となっています。

仕様スペック

ロッド表記のスペックは、以下となっています。

Length: 8’1″/8’11″(可変レングス)

lure wight: 250g

Line: MAX PE8号

上でも書きましたが、ロッドのマックス値として考えて頂きたいのが南方の特殊系ロックフィッシュゲーム。

他社のロックフィッシュ専用ロッドはシンカーの重さを基準に表記される印象(実際のブランクスパワーに対して控えめ)ですが、PEAK-HUNT」は大型プラグ・ワームを用いた南方のロックゲーム等も見据えた、一般的なルアーウェイト表記となっています。

自分の場合、普段使いのテキサス・フリーリグシンカーでは14g、1/2オンスから使用していて、使用頻度の高い28g、1オンス前後にドンピシャの使用感です。

それ以上、ロックフィッシュ用として発売されているシンカーは全て対応可能と思いますので、ご自由に使って頂ければと思います。

ラインセッティング、太フロロとPEの使い分け

磯ロックにおける私のタックルセッティングの軸の部分となるのが、太いフロロカーボンをメインラインとして使うということ。

常に根ズレとの戦いになる釣りですので、リーダーを組む必要のない太フロロ(6~7号)を通しで使用することが多いです。

PEAK-HUNT」と太フロロの組み合わせは私のオススメセッティング。

バイトが出てからの”アワセしろ”を作ってからのフルフッキングや、根に魚が引っかかりながらも引きはがしてくる感覚は、太フロロとの組み合わせだからこそ味わえる、磯ロックゲームの醍醐味の一つだと思います。

また、比較的細目(推奨は2.5~3号)のPEラインとの組み合わせでは、ティップまで硬い高弾性カーボンであるため、しっかりウェイトを乗せて振り切ることで遠投性も実現し、飛距離が必要となるシーンもカバーします。

ロックフィッシュ“特化”を謳うモデルですので、感度は言わずもがな。

遠投先でのリグのコントロールを高次元でこなせますし、クロソイやオオモンハタ等に有効な28~42gといったヘビージグヘッドを水深のあるエリアで巻く釣りにもオススメします。

ラインのMAX表記はPE8号ですので、4号以上の太目のPEラインと組み合わせてのヘビーゲーム(東北エリアの大型ベッコウゾイや、先述したクエやスジアラ等)にも対応します。

磯ハードロックでの仕舞い寸法50㎝の恩恵

大型ロックフィッシュにフォーカスしたモデルでありながら、仕舞い寸法が50㎝となるモバイルロッドである利点。

単純な話になりますが、下の写真のように、バックパックなどにスッポリと収納することが可能となります。

ポイントにエントリーするまでに背負っているリュックサック等、その中にロッドを納めておくことで両手がフリーの状態となり、自身の安全確保に繋がります。

私のスタイルですと、磯へエントリーするために、熊の生息圏の岩場や山道を2時間以上歩くこともあります。

時にはウェットスーツを着て、磯場で軽く泳ぐことも……。

雄大な自然の中、究極のロックフィッシュとの出会いを求めて、多少の危険と隣り合わせつつも、自身の判断で進んでいく。

そのような、一匹に辿り着くまでに自然と出来上がる「過程」が魅力的で、これもまた磯ロックの醍醐味であると考えています。

その上で、両手フリーでフレキシブルに動ける状態をキープできるということは、これまたシンプルな要素でありながら、大きなアドバンテージとなることは明確でしょう。

ことショアからに拘るなら、究極のロックフィッシュと出会うには、モバイルロッドが必須条件となってくると私は体感しています。

全国の規格外ロックフィッシャーの皆さまへ

以上簡潔になりますが、”規格外ロックフィッシュ特化ロッドPEAK-HUNT 81/810XHCの紹介でした。

北海道と東北の磯ロックフィッシュゲームから生まれたロッドになりますが、その可能性(=対象となる大型ロックフィッシュの魚種幅)は広く、上限値としては規格外級でありながらもヘビーバーサタイルな仕上がりとなっています。

現段階では私とこのロッドとの付き合いは、北海道と東北でのテスト使用に留まっていますが、オオモンハタやスジアラ、果てはクエまで、南方の大型ロックフィッシュを求めて、PEAK-HUNTと共に日本各地を旅を広げていきたいと考えています。

北から南まで、全国の規格外ロックフィッシャーの皆さまへ。

一度手に取ってみていただければ幸いです。

開発者・小塚より追記

藤田テスターに捕捉して、より南の海でテストした自分(小塚)が感じたPEAK-HUNT 81/810XHCの特性をお伝えします。

まず何より、高弾性ブランクゆえの反発力で「とにかくルアーが飛ぶ」ということです。

この特性は、ワームがメインのハードロックシーンのみならず、近年流行のビッグベイト(2オンス級〜)からジャイアントベイト(〜10オンス級)を用いたゲームに、新たな選択肢を提供するかと思います。

ボートキャスティング(追い風状況)では、スピニングタックルの同船者と飛距離はほぼ遜色ない印象です。

付け加えるなら、遠投先でも、ルアーがよく泳ぐ。

70m先の大型ペンシルベイトが、50m先のグライドベイトが、1アクション目からキレッキレに動く。

2024年現在、ことシーバス用のビッグベイトロッドは中・低弾性、近距離戦に特化し、乗りやすくバレにくい、身体への負荷に配慮した製品が多い印象ですが、高弾性の「PEAK-HUNT」はその真逆の特性を有します。

使い手を選ぶけれど、この竿だから届く魚がいて、この竿だから出せるアクションがある……そんなイメージで、使っていただけたら。

……実は、「PEAK-HUNT」開発以前から、Dear Monsterシリーズの共通径(外径13mm台)で、より高弾性ブランクスの開発にトライ&エラーしてきましたが、ディアモン共通の太さでは求める強度に届かず、発売を見送ってきました。

フロロ30ポンド通しの北国スタイルで仕留めた、南海のバラハタ……MX-8+」でも、やれなくはないけれど。

この先、より大型のロックフィッシュ(スジアラやクエ)に目を向けたとき、もう1段硬く、長いロッドの必要性を感じて作りました。

Shinkirow」は、Dear Monsterのような共通径の制約はありません。

求める使用感を整えた時、PEAK-HUNT 81/810XHCのブランクスは、ディアモンを超える外径14mm台(D14規格)に。

北の海でテストした藤田テスターと、南の海でテストした自分(小塚)と、目線が合ったパワー感は、既存のハードロック専用ロッドと比較しても、突出して“硬い”ロッド。

ルアー重量MAX250g表記、日本で現在量産されている300g前後のジャイアントベイトまでは全て扱える、モンキス史上最「硬」の1本になりました。

あとは……ロングモード(8’10″)でセンターカット2pc仕舞、万事が現場目線で設計されています。

PEAK-HUNT 81/810XHC」、その名の通りより高い頂(いただき)を目指し続ける、ロックな釣り人にオススメさせていただきます。

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幼少期から魚類に興味を持ち、6才で釣りを始める。バス釣りに熱中していた中学時代に小塚と武石が開設していたホームページと出会い、“怪魚”の世界に強い憧れを抱く。大学進学を機に北海道に移住、稚内から与那国島まで、アジアからアフリカまで、国内外を釣り歩いた。サクラマスの研究で大学院を修了、その後も北海道に残り、トラウトやロックフィッシュなど北の大地の釣りを楽しみながら、世界への旅を軸に据えた生活を送っている。