初の海外遠征、灼熱の南インドで、ルアーで”口裂けナマズ”を狙う!(三部作・前編)

こんにちは!

今年からテスターを務めている禾です。

先月、人生初の海外遠征旅に行ってきたので、その様子をお伝えします。

【旅の背景】

「For World Monster Fish」

2年前、竿袋に書いてあるその一文に憧れて「いつかは海外遠征に行こう」と意気込んで購入した「HUNTERS HT-6/7」。

しかし……。

コロナや学業、そして何よりも自分の臆病さゆえに、愛竿を一度も海外に持っていけていませんでした。

都会でぬくぬくと育ってきたシティボーイである自分にとって、治安や衛生面で海外遠征のハードルは高く、なかなか海外遠征に行く決意が固まりませんでした。

とは言っても、「いつか海外に行こう」と言い続けていてはいつまで経っても行けません。

今年の始めにテスターに就任し、小塚さんや他のテスターの方々から海外遠征の話を聞く中で、「自分でも海外遠征に行けるかもしれない!」と思うようになり、そのまま勢いで航空券を購入しちゃいました。

行先は南インドのアーンドラ・プラデーシュ州。

狙いは最大2mにもなる、誰が呼んだか“口裂けナマズ”。

蛇足になりますが、親にチケット購入を事後報告したら、大反対されました(笑)

【旅の準備】

初めての海外遠征なので、何が正解かわからず想像に任せて準備しました。

パスポート、ビザ、海外用のコンセントのソケット、あたりが通常の国内遠征と異なるポイントでしょうか。

釣具で使いそうなものはすべて詰め込むスタイルでパッキングしたところ、当初の予定であった「リュック一つのバックパッカースタイル」とは程遠い大荷物に……リュックに小型スーツケース、とりあえずこの組み合わせで行ってみることにしました。

荷物に関して、旅を経ての後日談になりますが……インドの街中で、商人に「うちの商品を買ってくれ~」と追いかけまわされたときに、スーツケースのせいで機動性が低くて苦労したので、やはり釣具を多少減らしてでもリュック一つで挑むべきだったなと思います。

ルアーに関しても、事前情報で釣果が多かったスピナべやペンシルを、手に入りやすい国産品でたくさん用意しましたが、残念ながらバス用のルアーでは強度が足りなかったり、重いフックが乗らないためほとんど使わなかったです。

マハシールやスネークヘッドの釣りが人気な南インドで売れ筋のルアーは、貫通ワイヤーと4Xフックが標準でした。

本遠征の道中で使用したルアーは、現地で購入した、アジアブランドの製品ばかりでした。

【いざ、インドへ】

金欠なので直行便は避け、マレーシア経由でインド南部のバンガロールに向かいます。

クアラルンプール空港で夕飯を食べ、いざインドへ。

マレーシア行きの飛行機には日本人がたくさんいましたが、ここから先は僕以外ほとんどインド人でした。

南インドの大都市、バンガロールに着いたのは24:00。

インド有数のIT都市ではありますが、夜間の移動は危険ということで空港内で一晩過ごすつもりでした。

しかし、日本の空港とは異なり、空港内に休憩するためのベンチなどが無く、あたふたしているとマシンガンを持った警官に追い出されました……。

仕方なく空港の外のベンチで一夜明かすことに。

のんびりフック交換やFGノット結びをしながら時間を潰します。

インド人はとてもフレンドリーで、暇そうな僕に度々声を掛けてくれる人もいました。

写真はインドのナガランド州出身の大学生。

インドにもモンゴロイド系の人々が主体の州があるとは知らなかったので驚きでした。

朝になり、ようやくバスが動き始めたので市内に移動することに。

市内には至る所にガンジーの像があり、公園や道の名前にガンジーの名前が入っていることが多かったです。

インドは公用語が英語なので、英語さえ喋れればなんとでもなると思ってましたが、バスの運転手やスーパーの店員さんなどは英語が通じなかったので色々と大変でした。

インド北部の農村部から多くの人々が大都市バンガロールに出稼ぎに来ているようです。

何とか釣具屋までたどり着き、現地アングラーのDさんと合流できました。

今回Dさんとは事前にSNSでやり取りしていたため、現地で協力者を探すというハードルは既にクリアしていました。

しかし、開拓系の遠征、“旅”の醍醐味であろう部分を体験出来なかったのは思い返すと少し残念です。

いきなりDosaという料理を奢って頂きました。

爽やかなレモン風味でとても美味しかったです。

釣具屋さんに戻り、店主や他の店員さんとひたすら釣りについて話しました。

いつか狙ってみたいマハシールやグーンシュのお話をたくさん聞くことができて非常に興味深かったです。

その後、宿に向かい休憩することに。

一泊800円の安いゲストハウスでしたが、非常に綺麗でびっくりしました。

翌日からいよいよ釣り場に向かいます。

「Good Luck!」

ディアモン(初期)のリールシートに刻まれたメッセージに励まされます。

【いよいよ実釣】

バンガロールに到着した翌日、Dさんの車に乗って、北側のアーンドラ・プラデーシュ州に移動しました。

だいたい6時間ぐらい掛かります。

Dさんは日本の文化も大好きで、車内では千本桜が流れていました(笑)

途中、かの有名なサイババの出生地であるプッタパルティという町に寄り、現地事情通のIさんと合流。

至る所にサイババの顔写真が貼ってあります。

道沿いにはたくさんストールがあり、どこで食べても非常に美味しかったです。

この町で少しスネークヘッドを狙いましたが、反応はあるもののフッキングがうまく行かず全部バラシてしまいました……。

昼飯にビリヤニを頂きました。

生活排水が垂れ流しの河川で釣りをした後、まともに手を洗う場所もないので、汚い手のままご飯を食べました。

このときは「腹痛確定演出」かと思いましたが、意外にも何も起きなかったです(笑)

インドと言えば「Delhi Belly(デリー腹)」というフレーズの通り、多くの外国人観光客が腹痛に襲われるイメージがあります。

実際、インド渡航前に多くの知り合いから「インドに行ったら絶対にお腹を壊す」と心配されたり、「ペットボトルの水は開封されている可能性があるから買ってはいけない」「歯磨きの際も蛇口から出る水は使ってはいけない」などと色んなアドバイスを頂きました。

潔癖症である自分もこれらのアドバイスに従う予定でしたが、なんだかんだ汚い手で飯を食べたり、ダムの水を全身に被ったりしましたが一度もお腹を壊さなかったです。

今回は運が良かったのか、それとも人間は意外と丈夫なのか。

インド帰国後は、日本の行き過ぎた衛星観念に度々うんざりするようになりました(笑)

ちなみに、インド政府は近年飲み水の水質改善に尽力しており、誰でも無料で汲める浄水器が道沿いの至る所にあります。

素晴らしい政策ですね。

昼食後もひたすら車で北上し続けます。

道中で野生のクジャクを見かけましたがカメラに収めることができず残念でした。

15時頃、ついに目的地のダムに到着。

釣りはダムの放水路近くで行うみたいです。

今年のアーンドラ・プラデーシュ州は干ばつが起きるほど雨量が少なく、なんと洗車をするだけで罰金を取られるほど深刻らしいです。

今まで何度もこのポイントに通ったことのあるDさんも初めて見るほど減水している様子でした。大丈夫かな……。

Dさんにおすすめされて購入した、76グラムの特大ソフトバイブレーションを結び、実釣開始。

開始一投目、Iさんに言われた通りに堰下の白泡にルアーを投げ込むと……。

いきなり竿がぶち曲がります!

ファイト中、手前にある漁師が仕掛けた網に魚が絡まってしまい、絶望的な状況でしたが、Dさんがロープと木片で即席アンカーを作り見事に本線に引っかけて魚を回収してくれました。

あがってきたのは、本命魚。

“口裂けナマズ”ことワラゴ・アッツー(学名)です。

展開が早すぎて理解が追いつかないですが、開始一投目で今回の旅の目的を達成することができました。

もうちょっとドラマチックな展開を期待していましたが、坊主回避できたので良かったです(笑)

使用したロッドは「MX-8+」。

ダムサイトで70グラム越えのスプーンやバイブレーションを遠投するこの釣りにおいて、「MX-8+」のように重量級ルアーを背負えるロングロッドは完全にマッチしてました。

サイズは75cmとまだまだ子供サイズ。

現地事情通のIさんの自己記録は142cm、地元の漁師さんは2mオーバーを仕留めたことがあるんだとか……現地アングラーはオフショアGTタックルで挑んだりするらしいです(笑)

このワラゴ・アッツーというナマズ、魚体の一番の魅力は何と言っても“裂けた”口。

ナマズよりかはマス類を彷彿させるいかつい顔つきです。

大きな口の中には大量の内向きの歯が生えており、小魚からしたら地獄のような構造です(笑)

あまりにも呆気なく釣れてしまったので、「もう少し難易度の高いターゲットを選ぶべきだったかな」、「釣行日数長すぎたかな」とか、釣れた直後には色々考えてしまいましたが….…結論から言うと、このあと5日間釣りしましたが一匹もワラゴ・アッツーは追加できなかったです。

開始一投目の奇跡でした(笑)

大満足で一日目を終え、宿に向かいます。

宿はトイレットペーパー、石鹸、ティッシュなどの最低限(日本人感覚)のアメニティが無く、蛇口から出る水は腐卵臭が……さらに一泊6500円という、インドの物価(先の都市部の宿のコスパ)を考えればぼったくりプライスでしたが、日本と異なり、諸々選択肢の無い田舎に行くほど物価が上がるのは“釣り旅あるある”みたいです。

謎のカラフルな照明はいらないから安くしてくれ…という気持ちでした(笑)

実釣2日目も、同じダムに向かいます。

昨日は放水路の上から釣りをしましたが、今日は横を降りて放水路正面から釣りをすることに。

しかし、漁師が設置した網やロープが大量にあり、根掛かり地獄です。

朝マズメだけで10個ぐらいルアーをロストしました……。

あまりにも根掛かりが多いので、結局放水路の上から釣りをすることに。

極端に減水しているため、ダム中央部の放水部分に魚が集まっているようです。

ひたすらここで粘ります。

Dさんは小型のコイ科の魚を釣り上げ、それをそのまま泳がせているとドでかいワラゴアッツーにひったくられてました(笑)

朝マズメは涼しくて快適ですが、日が昇るに連れて気温が急激に上昇します。

日中は気温40度、ダム周辺は岩からの照り返しでガイド曰く推定45度の世界。

熱中症にならないように日陰に隠れながら朝飯を食べます。

昼間は暑すぎて釣りにならないので近くの休憩所で天井凝視&昼飯。

夕方、また同じダムに移動し、朝マズメに攻めた場所とは別のエリアに降りることに。

荷物はロープで吊るして降ろします。

ここでもひたすらバイブレーションやスプーンでボトムを探ります。

ワラゴアッツ―は基本的には夜行性の魚で日中は捕食しないらしいですが、目の前にルアーを通せればリアクションで喰ってくるみたいです。

早速、Dさんがルアーに対してあまりにも小さい魚を釣りました。

スレ掛かり?と思いきやフロントフックが口内にしっかり掛かっていて驚きです(笑)

ひたすらバイブレーションでボトムをトレースしていると僕にも当たりが!

引きからして、初日に釣った個体より明らかに大きいです。

ポンピングでごりごり寄せて来て、そろそろ決着がついたかなと思って油断した瞬間、手前の岩場に突っ込みPE4号が瞬殺されました……。

良さげな魚だっただけに、非常に残念でした。

その後もう一度推定ワラゴアッツ―を掛けましたがこれはバレてしまい終了。

なかなか難しいです。

悔しい気持ちのままこの日は釣り終了。

中編」に続く!

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大学入学時に3Dプリンターを購入、以後3年間ルアー設計に明け暮れてきた頭脳派ルアークリエイター。都心への通学に際しモバイルロッドを導入、机上の空論ではなく、日々のアーバンフィッシングでトライ&エラーを繰り返す。2023年、講義中に閃いた構造アイディアを検証するため、ビッグベイトシーバスの世界へ。先入観に囚われない柔軟な発想と、自ら生み出したルアーの力で、初年度から高実績を重ねている。長期休暇は離島へのロックショア釣行など日本全国へ遠征、在学中に海外への挑戦も計画中。