2024年冬期海外遠征レポート①・南インドに“ブルー”と“レッド”を求めて(マハシール編・前編)

こんにちは、テスターの藤田です。

この冬は約2か月インドに滞在していました。

主な狙いは各種マハシールとグーンシュ。

旅の模様を3編に分けてレポートしていきたいと思います!

インドに入国して最初に向かったのは南部エリア。

バンガロールに滞在し、両替を済ませ、目的の田舎町までの移動手段を確保しました。

バンガロールの印象は……人多すぎ、うるさい、空気汚い。

さらには到着初日に入った食堂の飯で食あたり(泣)。

バックパッカーならこの街のウザさも楽しむべきなんでしょうけど、自分は釣り旅人なので……早いとこ水辺の田舎へ移動したい!

都会での滞在は必要最小限にしてさっさと移動するのが、僕の旅のいつものパターンです。

さて、この旅の始まりの魚は、南部エリア特有の大型マハシール。

5年ほど前から細々と情報収集を続けてきて、今回ようやく実行に移すことができたという感じです。

インドの釣魚としては“ゴールデン”マハシールがピカイチの人気・知名度ですが、こんなセッパリのマハシールもシブいでしょう!

(下、自分が現地で複写した過去の釣果です)

バンガロールを出発し、南下して目的の田舎町へ向かいました。

この辺りはコーヒー農園が広がっていて、そこのオーナーがマハシール好き。

事前にコンタクトをとってあって、まずはこちらの誠意と本気度をみせようとローカルバスを乗り継いで、そこからさらに徒歩で道を尋ねながら進み、農園の中にあるオーナー氏の自宅までやってきたのでした。

話はサクッとまとまって、翌日午後から釣りができることになりました。

ここにはおそらく3種のマハシールが生息していますが、今回の狙いは現地で「レッドフィン」「ブルーフィン」と呼び分けされている2種。

最大でどちらも30キロを超えてきます。

釣り方はノーシンカー&ノーフロートの一本針仕掛けで、餌はラギと呼ばれる穀物の粉を練ったダンゴ。

単純明快なブッコミ釣りです。

事前情報としてラギのダンゴが餌であること、針単体のシンプル極まりないブッコミ釣り(ノーシンカーワームの釣りで、ワームの替わりに高比重の植物質の団子を用いるといえば伝わるかな?)であることは予習済みで、知っていました。

その上でタックルセッティングはどうしようかな……と考えた時に、昨年力を入れた日本でのアオウオソウギョ、本気のコイのブッコミ釣りから得た知見をフィードバック。

組んだタックルは2セット。

ベイトタックルは「MX-8+」にカルカッタコンクエスト400、ラインは“怪魚”(海外遠征)の定番であるPEラインではなく、ナイロン40lbを120~130mほど(最大限巻き込めるだけ)。

もう1セット、スピニングタックルは、「MX-9S」にステラ8000、こちらもナイロン50lbを130ⅿほど(同じく、最大限)。

フックはがまかつの「ファインタマン24号」(管付きソイ型針・国内量販品最大サイズ)を選択しました(形状・強度・重量など、シンプルな釣りがゆえに針選び自体がキモなのですが、ロッドメーカーのHPですから、具体的な製品名の紹介に留めます)

そこにラギのダンゴをぎゅっと握り、セットします。

日本の鯉釣りではダンゴのバラケ具合が重視されますが、ここではとにかくガッチリ硬く、ぎゅっと強く、針から落ちないように。

(釣りを終えての感想ですが、マハシールは思っていた以上のパワーで、口の皮膚も分厚く硬かったです。タックルバランスは合格でしたが、フックサイズが小さかったし強度的にも少々不安を感じました。)

「待つ」しかする事がないイメージのブッコミ釣りですが、そこに至るまで、仕掛けの精度を上げたり、餌を拘ったり、投入後の仕掛け・竿・ラインの微調整に努めたり、待機の仕方に神経使ったり……と、やるべきことは沢山挙げられます。

語り出すとキリがないので省略しますが(笑)、いろいろ考えてセッティングし置き竿でアタリを待つスタイルとしました。

組んだ日程は10日間、目標は20キロ級。簡単ではない事は重々承知しています。

さて、今回はどんな釣りになることでしょう!

この川の特徴として、「一部フィーディング(餌撒き)行為によって餌付けされている魚がいる」という事があります。

それをサクッと釣らせてもらっても心から喜べないかもな……というのが、釣りを始める前の僕の感想でした。

農園オーナーからあてがわれたガイド(地元のオッチャン)同行の元釣りを始めましたが……初日はノーフィッシュ。

フィーディングの成果もなく内心ホッとしていましたが、同時に「やっぱりそんなに簡単ではないのだな」ということもわかりました。

2日目の朝、仕掛けを投入してから弱々しいアタリが続き、アワセてみると乗りました。

小さいけれど、自身初のマハシール!「レッドフィン」ではないことは確かですが、種判別は難しいサイズ。

魚を砂まみれにしたくなかったので、そのまま針を外してリリースしました。

その後も大きなアタリはなく、迎えた夕マズメ。

様子を見に来たオーナーからの提案があり、“スペシャル”ポイントへ移動してきました。

「まず俺がラギを投げ込むから、そこにお前は竿でラギを打ち込め。チャンスは一投のみだ」とオッチャン。

「あぁ、ここはフィーディングスポットなんだな」と理解して、オーナーやオッチャンの好意を受け取り、万全体勢で整えます。

バックラッシュしたら終了なので、スピニングタックルの「MX-9S」を握りました。

一投目、キャストは決まりましたが何も起こりません。

「オッチャン、ダメじゃん」とアイコンタクトすると「もう一回だ」というので、1分ほどで回収してリトライ。

すると着水直後にギュイーンとラインがうなりながら横走りして、ヒット!

ラインスラックをしっかりとって、魚の上顎にグイグイと針を食いこませます。

強い、けど、そこまで大きくはない。

数分間戦ってランディングしたのは、10キロ程のブルーフィンマハシールでした。

日が落ちてしまったのであまり写真が撮れませんでしたが……餌付けがどうのこうのという前に、美しい魚でした。

素直に嬉しい一匹です!

翌日、アメリカ人の釣り客が5人やってきました。

オーナー「彼らは常連なんだ。だから、すまんね。」との事で……自分に同行していたオッチャンは彼らにメインで着くこととなり、僕は一日の内多くの時間を一人で釣りをすることになりました。

釣りのアドバイスに矛盾が多かったり、人としてどうかと思うこともあったりで(笑)、オッチャンには多少の不信感を抱いていたため、正直「ラッキー!!」と思いました。

この日も大きなアタリはなく、一人で竿の前に座り続けてお昼前になりました。

姿が見えなかったオッチャンがやってきて、「家帰って飯食ってくる。夕方戻るから」と言って去っていき、また一人に。

一時間ごとに仕掛けを打ち直し続けて、アタリを待ちます。

15時前、意外と早くオッチャンが戻ってきましたが、「あっちの建物の陰で昼寝してくるから」とだけ言って、また去っていきました。

それから30分ほどした頃、前触れなく「ジャーーーーッ!!」と凄い勢いでコンクエストから糸が引き出されました。

竿を手に取り親指を火傷しながら魚をコントロールしようとしましたが、40lbのナイロンでフルロックは怖いスピードと重量感。

そのまま40m程は走り、ファーストランが止まった頃には川底の倒木の下を潜ってしまっているようでした。

オッチャンを大声で呼びながら、去年コイ釣りで学んだ「掛かり出し」を試みます。

魚はまだまだ元気で、ヌ…ヌ…ヌ…とゆっくり潜水して、たまに力強くダッシュ。

ギシギシと、糸が倒木に擦れる感覚がずっと伝わってきます。

騙し騙し、ゆっくりゆっくり魚を引き寄せて、潜っていた倒木を乗り切って、なんとかスタックが外れた!

右へ左へと方向転換しながらも、相手の動きにも少々疲れが見えてきました。

足元まで寄せて、十分に空気を吸わせて、腹を上に向けさせます。

寝起きで走って駆け付けたオッチャンに自作シリコンストリンガーを託して、エラ通ししてランディング……うぉぉ、捕ったーー!!!

駆け付けたオーナーに写真を撮ってもらいました。

「君は本当にラッキーだぞ」と祝福してもらいましたが……うん、わかる。

目標としていながらも、初回でこのサイズを手にすることは正直難しいだろうなぁと思っていました。

まさか、3日目で出会えるとは!

オーナーからの要望もあり、早く逃がしてあげようということで、長さもウエイトも未計測(笑)。

コンディション良いコイのメーターオーバーのウエイトを鑑みるに、こいつは20キロ前後ってところでしょうか。

ストリンガーを解いて、前後に揺すって充分蘇生させた後にリリース。

至極適当なオッチャンのおかげで(笑)一匹に自分が関わる率が高まって、良い釣れ方となったのでした。

その後の7日間は、ほとんどの日をノーフィッシュで終えました。

満足して消化試合をしていたわけじゃなく、「レッドフィン」を狙って、休みなく最大限にやり続けたのですが……。

フナのようなサイズがたまに掛かかってくるのみです。

以降唯一釣れたまともなサイズは、6キロ程のブルーフィン。

こちらは「MX-9S」にて。またもや、オッチャンがプラプラして不在のタイミングに来たため、持ち写真はありません(笑)。

ある日、仕掛けを投入して張ってあった糸が思いっきりフケて、しばらく様子を見ましたがその後反応は出ませんでした。

回収してみると針先に大きな鱗が一枚。

これもブルーフィンと思われますが、確実に大型個体のものでしょう、惜しかったです。

とはいえ、ブルーフィンに関してはもうあれ以上の一匹はないと言い切れます。

次はレッドフィンだけを狙って再訪しよう……と釣りを終えようとした最終日の夕方。

オッチャン「最後にスペシャルポイント、行くぞ!」……例のフィーディングスポットです(笑)。

いや~もういいんだけどなぁ~と思いながらも、日が暮れる直前に移動してきました。

オッチャンがラギのダンゴを投げ込んで、僕もキャストー……ギュイイーン!!

ラインが凄い勢いで上流側に走りました。

ですが、僕の気持ちがあまり乗っていなかったからか、一瞬重みが乗ってテンションがなくなりました。

回収してみると針先が潰れて若干伸びた状態で帰ってきました。

故意にバラすつもりは全くなかったんですが……。

チェッ!!と舌打ちして、ガッカリするオッチャンを見て「悪いことしたかな」とちょっとだけ思いました。

これにて10日間の釣りを終え、納竿。

オッチャンとはここでお別れです。

次も思いっきり放置してくれて良いから、また一緒に釣りしようぜ!笑

翌朝、農園オーナー氏とその親父さんに会いに行きお礼を伝えて、この町を後にしました。

親父さんは古参マハシール釣り師で、帰り際に見せてくれたこの写真は一部で有名です。

かなり高い目標ですが……「レッドフィン」、いつかこの手に抱くぞ!

その後、バスと国内線を乗り着いで首都ニューデリーへ。

体制を整えて次の目的地へ向かいます。

インド2ヶ月放浪2部作、中盤マハシール編(後編)へ続きます!

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幼少期から魚類に興味を持ち、6才で釣りを始める。バス釣りに熱中していた中学時代に小塚と武石が開設していたホームページと出会い、“怪魚”の世界に強い憧れを抱く。大学進学を機に北海道に移住、稚内から与那国島まで、アジアからアフリカまで、国内外を釣り歩いた。サクラマスの研究で大学院を修了、その後も北海道に残り、トラウトやロックフィッシュなど北の大地の釣りを楽しみながら、世界への旅を軸に据えた生活を送っている。