久方ぶりの再生産となった「DearMonster MX-6+」。
以前、Monster Baseのブログで色々と書き殴ってはいますが、今一度「MX-6Pro」と合わせて、2023年の目線で書き綴りたいと思います。
今や Dear Monster は数あれど、“「MX-6+」でなければ”、そんなシチュエーションに開発段階から向き合い付き合い続けているからこそ、お伝えることができることがあります。
もし、この年末年始からアマゾンや東南アジアへの遠征を考えているならば、この記事を一読頂きたい。
私もまた彼の地に、その熱に絆された一人なのだから。
自分自身過去、過去のレポートを見直すと、とにかくルアーを動かす釣りばかり。
そんな私がDear Monster イチお気に入りの一本なのが「MX-6+」。
このロッドが強く意識しているのはアマゾンやアジアなど熱帯ジャングルへの遠征釣行をはじめとしたキャスティングゲーム。
キャスティングゲームといってもヒラマサやGTゲームとは大きく異なります。
ショートレンジ(~30m)、ハイピッチアクション、ボートゲーム……このような条件で10kg超級の大物まで想定しながらも50cm以下仕舞寸でカバン1個に収まる携行性を満たしたロッドは、「MX-6」(2014年発売、5’6″ft)以前は無かった。
おかげさまで2023年現在、「MX-6+」(5’9″ft)へ、そして「MX-6Pro」(5’10″ft)へとパワーアップ展開し、モンキススタッフ内では“6系統”などと呼ばれています。
改めて、“6系統”の美味しい使い所は、①ショートレンジ(~30m)、②ハイピッチアクション、③ボートゲーム。
この条件が揃った際、Dear Monsterシリーズの中でも最もバーサタイルなパフォーマンスを発揮してくれると思うのが、私としては「MX-6+」。
実際良く頂く質問で、「南米への遠征を検討中『MX-6+』も検討しているけど、パワーレンジの近い『MX-65』や、軽量かつ操作性の高い『MZ-7』でダメなのか?」。
私の回答は、強く言い切るなら「他のロッド(6ft超)でももちろん釣りは成立する……けど、楽しみ切るなら話は別だ!」。
丁寧に言葉を補えば、もちろん釣りは成立するけども、使い手もロッドもパフォーマンスを発揮しきれない。
上記シチュエーションにおいては「MX-6+」(5’9″ft)をはじめとした6フィート弱、5’10”ft前後のショートロッド群、“6系統”の独壇場と言い切って良い。
このロッドである理由とは?
深掘りしていきましょう。
<その① ショートレンジ>
意外かもですが、上記のようなフィールドで重視しているのはアキュラシー。
いまだに海外では大きいルアーをぶっ飛ばして釣りしてる……と思われていますが、一部のシーンを除いてメインは変わらずこのサイズ
このルアーを精度高く、私の感覚では30m(電柱の間隔と考えてください)で徹底したハイアキュラシーのキャストをキメる。
このようなブッシュの際を狙っていきますが、ミスキャストはポイントを潰し、何よりはルアーを外しに行ってのタイムロス1日のキャスト回数が激減してしまう。
だからこそアキュラシーを極限まで上げる必要がある。だからこそのショートレングスなのだ。
“たかだか”の半フィート程度の違いですが、実際に「MX-65」(6’5″ft)と比較して圧倒的にキャストアキュラシー(精度)が高く、疲労を抑えること。コレが「MX-6+」(5’9″ft)の利点です。
手にすれば「キャスト上手くなった?」と錯覚するほど、“たかだか”は間違いなく実感できます。
<その② ハイピッチアクション(疲労軽減)>
せっかくの海外遠征、仕事やバイト、学業に仕事、家庭との調整、そして何より費用と休みの工面。
万難廃して最高のフィールドに降り立つ以上、心ゆくまで釣りを楽しみたい。
コレは釣りを生業としている私ですらも今も変わらずの想いです。
しかし現実は日の出から日没まで、赤道直下の強烈な紫外線、息が詰まるような多湿の環境、不安定な小型ボートの上。
次々に現れるポイントを打って打って打ち続ける、広大かつ良いポイントを流し続けるので、休む暇が移動時しかない。
コレを休みなしに毎日続けるのです。
カラダにかかる負荷は日本国内で釣りしていてそうそう経験するものではありません。
高速ジャークを繰り返すということは、当たり前ながら停止したロッドを動かす力と、動き出したロッドを止める力がかかり続けますが、その際ロッドは短くなれば短くなるほどにモーメントを減らし、疲労を抑えることができます。
正直“軽いロッドより短いロッド”と言っても良い。
この釣りにおいて短さは正義なのです。
何度もしつこいけど、投げ続けるにはこのショートレングスが必要なのだ。
とはいえ、極端に短すぎても飛距離は出ないし、フッキングも決まらない。適切なバランスが存在します。
<その③ ボートゲーム>
ショアからの釣りと比較し、魚との距離を人間側から詰めることが容易なのがボートゲームの利点。
せっかくだったらショアからやりたい……がフィールドに行けばその理由は明確。
国外のフィールドの多くが日本国内と異なり護岸整備が進んでおらず、足場の悪さ、有毒の虫や植物、蛇やワニ、エイなどのリスク、ポイント間の移動速度を考えるとショアゲームが成立しにくく、必然的にボートからの釣りとなるケースがかなり多いです。
サソリ(毒虫)に始まり、
トゲ植物。
これに毒ヘビやワニが絡む、故にボート。
がしかし、
ボートは小さく不安定(これでもまだ最小クラスではない)。
この船で激流を降りながら投げることもありますが、倒木の砦の向こうに楽園がある。
小さいボート・カヌーにもまた、必然的な理由があるわけです。
だからこそ、ボート上での取り回し、連続したアクション入力にはキャスト距離を取らない、ショートレンジ、そしてソレに伴うショートブランクなのです。
この場においてロッドに求めるのは道具としての側面が色濃く、肉体への負荷という意味でスポーツ的な視点で考える必要が出てきます。
そう、だからこそ。
私が夜のぶっ込み大物に傾注しすぎないようにしているのも、遠征前にサポーターを買い足したり、なんだったらジムで体作ってからフィールドに入るのも、ソレが理由。
そう、私は道具のテストやチェックも仕事としてこなす必要があるけど、それと同等にせっかくの機会、釣りを楽しみきりたい思いが強い。
だからこそロッドの基本素性はもちろんですが、バランス調整やグリップ周りのインターフェイスは開発時に拘ったポイント。
開発時に「MX-6+」(画像上)のベースとなった、「MX-6」(画像下)と比較すればその差は歴然。
私の意見が色濃く反映され、「MX-6」と比較して約10cm長く整えられたリアグリップは、持ち重りを殺しつつモーメントを適正化。
ファイト時にも脇腹にエンド部分をホールドしてポジションを保持しやすくなっています。
この2本の使い分けについても質問が多いので簡単に説明しますと、もちろん「MX-6」にはこの竿なりの開発意図があり、ことブランクス組成の秀逸さ(60度強度試験で10kgをクリアする最軽量に設定)はDear Monster 随一です!(以前のレポートにまとめてあります)
開発した小塚は、“ディアモン御三家”として「MX-7」と併せて携行し、上記ジャングルの用途(ボート上で“立てる”状況)ではリアグリップを互換させて使うことを想定、これによりグリップバランスは「MX-6+」とほぼ同等に。
「MX-6」のオリジナルグリップは、よりエクストリームな状況(ボート上で立てない超小型ボート、カヤック・フローターなど)まで見据えて、思い切って短くしてあります。
一方、私が仕上げた「MX-6+」の場合、そこまでの状況は少なく、一般ユーザーさんの目線に近い、アマゾンなら15フィート前後のアルミボート、アジアなら前後2人で立って投げらせる木造船をイメージ。
「MX-6」に関しては、個人的にはグリップセッティングを弄ってやることで第一線に立ってくれるロッドだという認識です。
……という玄人向けの難しい話も、行けば全てわかる。
初めてジャングルに行く方には、「いいから持っていけ!」と「MX-6+」をオススメします。
これまでもこうして強めにオススメして、帰国後感謝の連絡をいただたことはあれ、苦情は一度もありません。
ついては、絶対的な重量や強度はもちろんですが、重視したのはバランス取りには注意を払った部分。
使えるではなく、使い続けることができるメインロッドとして “道具”としての性能を磨き抜いています。
テスト段階から、コト特に海外遠征では完全なる私の右手となり、“夢”だった魚をこの手に運んでくれました。
数ある Dear Monster の中でも「どれでもなく『MX-6+』だからこそ!」ってシチュエーションも少なからず、デッキに「MX-6+」が2本並ぶこともあります。
同じロッドでも、リールとラインのセッティングでまた違う表情を見せます。
更に2023年は追加機種としてティップパワーを上げた「MX-6Pro」をラインナップ。
この1本により、「MX-6+」ではパワー不足だったエリアをカバー。
力で魚を惹きつける、引っ張り出すパワープレイにはこのロッドがどうしても欲しく、今現在、ビッグスウィッシャーや大型のダートベイトであれば、このロッドがメイン。
2023年頭の南米遠征でも、ブッシュ際でヒットした80upのツクナレアスーのファイトもしっかりコントロールしきれました(豪雨のトラブルで動画からの切り出し画像しか残っていません)
「MX-6Pro」に関してはこちらレポートにまとめてあります
コレら“6系統”の可能性をさらに拡張してくれるのがオプションパーツの数々。
MX-FG、RGシリーズを組み合わせることにより、手首の可動域を上げ、自由度を上げたり、タックルバランス個人の体格やフォームにアジャストさせることも可能でしょう。
自分の体格やスタイル、組み合わせるリールによって組み合わせを作っていくことも楽しみであり、また道具としての精錬を目指すことが可能です。
合わせるリールの高剛性化、コンパクト化などが進化するのだもの、ロッドもアジャストしていかなきゃ!
2023年初旬、つい最近南米を楽しんだつもりだったんですが、また行きたくなってきた!
“6系統”である意味、“6系統”だからこそ。
手にすれば理解体感実感できると断言する、それほどの絶対的な自信を持つロッド群です。
いつ使うのって?
今でしょ!
日本が寒い時期こそ、地球の裏側(南半球)はホットですよ〜。
<関連ページ・レポート>