いちユーザー時代から、社員になっても……「MX-7」「MX-6」「MZ-7」徹底解説Ver.2022。


ヨシダです!

今日は、8月発送開始の3モデル、DearMonsterシリーズの「MX-7」「MX-6」「MZ-7」について。

公式スペックについては各機種商品ページにまとめてありますが、数字だけでは見えない実際のフィーリング、特に伝わりにくいブランク特性とロッドの特性について、ヨシダ個人の主観で触れていこうと思います!

DearMonster MX-7

端的に“始祖のディアモンスター”

初代MX-71から数えると、基本的な設計は10年近く前ともなる「MX-7」。

ブランクスの塗装、ガイドやリールシートなどに微細な変更は過去にありましたが、2022年生産モデルにおいてもロッドの心臓となるブランク設計には一切変更がありません。

それだけの完成度を誇る設計であること。

また、現代の2022年でも通用する、我々の自信の表れでもあります。

2022年生産モデルはグリップのフォアグリップレングスを短く(85mm→60mm)したことにより、収納時にグリップ(繋いだ状態)のレングスが49.5cm、ディアモンスターシリーズ共通仕舞寸法の50cm以内に収まって、移動時のストレスを軽減。

以前の仕様(グリップを繋いで約52cm)でも、グリップを分割すれば50cm以下で持ち運べたのですが、繋げたまま持ち運ぶ方が多かった(結果、飛び出した部分が欠けたという事例も……。)ので、モンキス10周年をいい機会に精錬しました。

まぁ、具体的に古田テスターなんですが……前身モデル「MX-71」も、10年使うとこうなると。

ちなみに彼(当時学生。最初の注文者、いわばシリアルナンバー1を所持)には遅れをとったものの、100本だけ販売されたうちもう1本を、私もいちユーザーとして購入&現在も所有・使用しています。

身長が186cmある私、手も大きくて、「MX-6」や「MX-6+」など現在の“6系統”に採用されている「TCS16」というリールシートではチと小さいんですね。

いわゆる“7系統”、「MX-71」や「MX-7」の握り込み感が手に合っていて、「TCS16」よりひとまわり大きな「TCS 17」でフロントグリップが無い状態のグリップを使ってみたくなり……。

フロントグリップを切り落としたプロトを自作して、ここ数年色々試してきました(そうして「MX-Grip(Casting)」が製品化)。

「『MX-7』のフロントグリップを短くしたい」……そんなこんなのストーリーを経て着地したのが、下画像が2022年バージョンの「MX-7」2022バージョン。

ブランクは全く変更無し、仕舞48cmの4pc構造です。

ロッド全長で見て僅かながら短縮、それもフォアレングス(手元よりティップ側)がショート化することで、ロッドの取り回し性能、特にロッドを上げての操作性が向上しました。

曲がりはこの通りで

ティップは即座に入り込みますが、即座にベリーにベンドが移行し負荷を分散、

2kgベンド程度では余裕のパワフルさが見て取れます。

更にウェイトを載せて3.5kgではベリーにベンドが移行しますが、それでもバットが耐える

ディアモンスターが得意とする、“繊細なティップと強靭なバットの両立”が見て取れるかと思います。

その一方で500g程度の負荷でも既にティップが入り込む様子が見えます。

パワフルなバットパワーとファースト気味のアクションのティップが両立することにより、軽量なフロッグからビッグベイトシーバスに使用する大型ペンシルまで対応するほどのキャストレンジを幅広く確保。

ルアーキャスティングのみならず、食い込みを重視する海外でのライトトローリングや、餌でもブッコミ釣りまで、1本のロッドでここまでか?と思うほどの幅広いシチュエーションに対応します。

ライトトローリングでインドネシアの牙鯰ワラゴ・ニネマを手にした時も、使っていたのは「MX-7」。

繰り返しますが、ディアモンスター共通の食い込みの良いティップとパワフルなバット、このブランク特性がどのロッドよりも鮮明に表れているのが「MX-7」。

まだディアモンスターを手にしていないユーザーさんにディアモンスターの性格を味わっていただだくには「MX-7」!

我々が強くお勧めしている1本です。

Dear Monster MX-6

発売は2014年、当時グリップはストレートグリップで、どうしてもスピニングリールでの使用ではトリガーが手に当たるため、専用のスピニンググリップも付属していました。

やがて分割可能なグリップにマイナーチェンジ、リールシート部の上下を入れ替える“スピニングモード”でスピニングリールでの使用が可能となり、スピニングリール専用グリップは付属されなくなりました、が……ユーザーのみなさんから「スピニンググリップの付属を復活して!」という熱い要望を複数いただいたことで、2022年生産モデルからはスピニングリール専用のグリップ(シールシートセクション)が付属されることになりました(こういうことが比較的フレキシブルなのがモンキスなので、気軽に言って下さいね!)

既に分割グリップが(モンキスユーザーの間では)定番化している現在、以前のストレートグリップそのままではなく、リールシート部分だけを付属する仕様に。

小塚も結構前からチラ出ししてたかな〜と思います。

このライヒーは、2020年6月、コロナ第1波の長い自粛期間が明け、我々も数ヶ月ぶりに県外に出た初夏の釣果。

小型のベイトリールでの通常のセッティングはもちろん、スピニングリールをセットすることで1本でライトクラスの釣りを幅広くカバーしてくれます。(スピニングリールでの使用に関しては、バットガイドが必然的に小さいので、PEラインを推奨します)

もうひとつ、今日では希少なショートグリップですが、これこそ「MX-6」の特性を引き出すためのセッティング!

狭いボートからカヤック、ブッシュだらけの陸っぱりまで……長いグリップエンドが邪魔になるシチュエーションを味わってきたからこそ、「こういうショートグリップは、1本は必要」として、2014年の発売以来、バランスを変えていません。

実際、リールをつけずにロッド単体で持てば(≒釣具店で触っただけなら)、グリップエンドが長く、ティップが浮き上がる程度のバランスの方が、“いい竿っぽい”印象を受けるかと思います。

が、モンキスはあくまで現場主義。

リールをつけてどうか、現場で使ってどうか。

そして、岸からかボートからか、国内か海外か、海外でも特定地域特化か、世界中が経験値の引き出しにあるか……ショートグリップをロンググリップに長くしていく、手元に重心を移行していくことは、ディアモンのブランク互換構造があれば簡単なわけです。

でも、「MX-6」より短くすることはできない。(限定モデルの「MX-39」を除く)

ディアモンシリーズの最短グリップ、ショートグリップの極地が「MX-6」の立ち位置。

まず感覚的にわかりやすいのは渓流等の小場所の攻略ですが、重ね重ね「モンキスはあくまで現場主義」。

例えばこんな視点、国内(地元)ならいざ知らず、実際の旅(海外遠征)に、ロッド1本で行くことはまずない、ということ。

必ず何本か持っていく……その中に“他にない”が詰まった「MX-6」が選ばれる確率は、かなり高い。

逆に、持っていかない場合というのは、小型ボートやカヤックといった「座って釣る状況は絶対に無い」と事前に分かっている時ぐらいかな〜と思いますね。

どれだけの経験値を背景に提案しているか……モンキスの最適解が「MX-6」なわけです。

ショートのグリップ同様“他にない”、「替えが効かない」という意味では、ディアモン唯一のレギュラーテーパーであるブランクも然り。

“柔よく剛を制す”と先日の菅野テスターのレポートの通り。

しつこいくらいに”粘る”ブランク特性により、ティップからバットまでしっかりとブランクが曲がり込み、魚の体力を奪って寄せる、まさに“柔”のロッド。

メーターオーバーのバラムツを深海で掛けて……。

ゴムボートで、巨大なスタージョンを掛けて……。

藤田テスターの個人ブログの記事にもフィールドでの使用感がまとめられていますね。

国内の岸釣り、という身近な用途でも、小型魚だけでなく、不意の大物がアタックしてきたころで、安心感を持って魚とのやり取りが可能です。

酒巻テスターにより「MX-6」だからこその使用感についてまとめられています。

このロッドを“単なる”サブロッドとカテゴライズするには勿体無い!

“スーパー“サブと呼ぶ意味……結局この竿が旅(遠征)のメモリアルフィッシュを連れてくることが少なくないです。

上写真は500g負荷、並継構造のビックテーパーにより、低負荷なら先調子で、ダルさはありません。

スムーズな曲がりが自慢のブランクですが、実際の負荷を掛けていけば、次第にこれほどのベンドを見せます

コレです!この曲がりこそが、MX-6」の真骨頂であり、ディアモン唯一のレギュラーテーパー。

ショートロッドの弱点であるバラし低減にも寄与します。

小型のルアーにこそ反応がいいが、魚のサイズはそこまで小さくも無い……そんなシチュエーションで活躍を見せてくれています。

となると、比較対象としてレングスやパワー感の近いMV-55との比較が挙げられますがMV-55」の方がバット残り、ティップの入る性格であること、1段階ローパワーの設計であることから「MV-55」が掛けていき、ドラグを効かせて獲るロッドとすると、「MX-6」は乗せて、ロッドの粘りで獲るロッド。

この粘りがゆえに、ディアモンシリーズでも抜けて破損率が低い、これもまた見逃せないポイントです。

海外のターゲットとの強烈なファイトにも臆することなくロッドを曲げてプレッシャーをかけていける「MX-6」は、いわば、小さな巨人

過酷な状況で、バットを短く持ちたくなる(ショートロッドで手堅く釣りをしたくなる)場面でも、ホームランをカッ飛ばせる……そんな1本、痒いとことに手が届くブランクです。

津田テスターの巨大サラトガなんて、象徴的。

“他にない”ブランクは、体格や用途に合わせて別モデルのグリップと互換仕様されることも多い印象ですね。

Dear Monster MZ-7

モンスターキスが送り出す、マルチピーストップエンドモデル、M“Z”シリーズ。

海外釣行といえどプレッシャーの増したフィールドにおいてはフォールやラインメンディングを含めた繊細な操作が求められるシチュエーションも少なからず。

パワフルなゲームだけではクリアできない、狡猾なターゲットを相手にする際に必要となる1本、ライトラインのポテンシャルを引き出すことを得意とします。

画像の雷魚は口元をみれば..…の通り、バックスライドワームで手にした1尾。

経験上、間違いなく魚は居る、一撃で食わせたい、そんなレアフィッシュを獲る!となるとこんな釣りを展開することもありますので、そうなると“操作性”の高さは釣果に直結!

このロッドの最大の数値的特性である7ピース、40cmアンダーの仕舞寸法。

上が仕舞寸50cmの「MX-6」、下が40cm仕舞寸の「MZ-7」……1枚の写真で分かるモノの差として、これだけ違いがあります。

マルチピースロッドにとって、仕舞寸法を下げ、ピース数を増やしていくことは、全体重量の増加、ベンドカーブの維持、強度確保などの問題が発生するため、ロッドの基本性能を維持しつつもコンパクト仕舞寸法を実現することは困難を極めます。

でありながら、「MZ-7」では仕舞寸法を40cmアンダーとしながら性能維持に留まらず、他モデルを越える性能を目指した。

それ即ちMZ-7」はモンスターキスにとってのチャレンジの集大成であり、その性能はマルチピースロッド屋としての誇りでもあります。

トップエンドモデルである所以は仕舞寸法ではなく、その基本性能の高さにあります。

ブランクの性能を徹底的に引き出した結果、言われなければマルチピースロッドであることに気づかない、それほどのレベルまでブランクの基本性能を追い詰めました。

仕上がったブランクを手にして、「コレはヤバいブランクができた」と息を呑みました。

悪い意味での“マルチピースロッドらしさ”が、全く無い。

段差レングス(ブランクセクションが非等長)、シングルラッピングセッティング、(サンド&)無塗装ブランク……などなど、これまでのディアモンスター、“MX”シリーズや“MVシリーズ”では踏み入れなかった、限定解除セッティングを施しましたが、その背景にはそれほどまでに「MZ-7」のブランクが持つ性格を最大限に引き出したかった、そんな思いの強さがあります。

他シリーズと比較して明らかに高弾性のブランク特性を持つ「MZ-7」は、タックルバランスさえ決まれば爆発的な飛距離を発生させることが可能で、テストで訪れたモンゴルではなぜか対岸にルアーが乗る、なぜ?と首を捻ったものです

ランドベースの釣りにおいて飛距離が武器になるのは国内外共通です。

ディアモンスターだからこそ実現できた海外遠征、そのステージを一歩登るのもディアモンスターだからこそ。

そんなテストを繰り返し、ディアモンスターハイエンドモデルとして、その現時点での到達点という意味で“Z”を冠するに相応しい性能を備えた1本に仕上がりました。

2020年2月のインド南部へのライギョ開拓行、このテスト行を最後にコロナで私の海外チャレンジは足踏みしていますが、自由に海外を旅することができた最後の最後までやり切って世に送り出したロッド。

私が胸を張ってご案内する1本です。

勿論ベンドもこの通り5ピースのブランクを思わせないベンドカーブ

実際、フィールドに立った我々にディアモンスターがマルチピースであること、継竿であることが意識の中にはありません。

私も小塚も気の抜けた写真しか残っておらずすみませんが……逆にそれがリアルでしょうか?

おそらくユーザーさんの中でも最も多いであろう、隙間時間での近所の釣り、小規模フィールドのバス釣りなんかでも、最も使用頻度が高いのが「MZ-7」ですね。

……というわけで、どのモデルにもそれぞれの特性とカラーがあるのが見てとれたのではないでしょうか。

「ディアモンは、どのモデルも似たようなルックス」と言われることもありますが、逆にいえば、ルックス以外に差別化できない竿ではないから

以上、どの機種を選ぶか?参考になれば幸いです。

加えて、今回ご紹介した3モデルには硬質EVA製のオリジナルロッドケースが付属します!

さまざまなアイテムを同時収納することも可能ですし……

D菅にはベルトやカラビナを付属させて他のバックに固定することも可能。

ロッドは最大で3~4本程度収納可能です。

オリジナルのケースを付属しつつも、価格は据え置きとしました。

誰もが胸にする、夢の遠征。

行き先がどこであっても、その一歩は、重く、迷い、悩み、踏み出す勇気が必要。

夢を、憧れを、ロマンを、“いつか”を、その手に……そんな一歩を少しでも軽くするロッド、それがDearMonster。

社員となって以降も、いちユーザー時代と変わらずそう思って、僕はこのロッドを手に夢を追ってます。

ディアモンのド真ん中ともいえる、「MX-7」「MX-6」「MZ-7」、いよいよ8月より発送開始です!

ヨシダ

大学時代に小塚と出会い、初めての釣り旅がパプアニューギニアという刺激的すぎる原体験をしてしまう。卒業後は水産会社に勤務し、その後モンスターキスに入社。ほぼ全ての実務を統括し、公式セレクトショップ「Monster BASE」の店長を務める。ジャーキングやトゥイッチなど、ロッドワークを駆使したルアーフィッシングを好み、忍耐を必要とするエサ釣りは苦手。モノ、ガジェット系中毒で、旅で使えるアイテムの検証やリールのカスタムに余念なし。高身長(186cm)ゆえ、大型魚を釣っても写真では小さく見えてしまうのが悩み。