「遠征時はなんとなく、釣り人感を消したい」小笠原ロックショア遠征(前編)

新人テスターの殿河です!


今回は夏真っ盛り8月中旬の小笠原遠征について堤防&地磯編(前編)と沖磯編(後編)に分けてレポートさせていただきます。

僕自身、昨年の夏以来2度目の小笠原。

前回はカッポレ、チギ(バラハタ)の爆釣劇に心躍りましたが、ビッグワンは出ず。

今回はリベンジマッチとして、日本最果ての地に2航海分(約10日間。小笠原への渡航手段は週1便のフェリーのみ)の日程で、普段から本州の磯で慣れ親しむモンキスのスピニングタックルで挑んできました。

……まずは遠征準備。

計画を初めたのは5月頃、今回は2人の後輩(両方ともディアモンユーザー)と小笠原への挑戦権を得ました。

前回の経験から荷物は最小限かつパワーアップしたタックルを準備。

とりあえずは、夜のライトゲーム用に

タックル①:「HUNTERS HT-6×4S」 +21アルテグラ2500

地磯や堤防からのロックフィッシュやライトプラッキング用に、

タックル②:「Dear Monster MX-7S」 +13バイオマスターSW5000XG

堤防でのブッコミ釣りと沖磯でのジグ用に

タックル③:「Dear Monster MX-9S」+15ソルティガ5000H

とりあえずモンキスの長尺スピニングロッド3セット完備‥‥‥‥さて。

メインのビッグゲーム用のロッドをどうしようか?

予算の関係で大阪→東京までは夜行バス移動になることがほぼ確定していたのですが、満席のバス車内には、2ピースロッド(仕舞1m超)ですら持ち込むのは不可能。

1ピースロッドや1&ハーフロッドは言わずもがな、荷室に預けるのも断られる可能性大(追加料金で対応できる場合もありますが、学生の自分には予算が……)。

となるとマルチピースロッドしか選択肢は無くなる訳ですが、当時(2023年初夏)「MGXー∞S」の発売は秋以降とのアナウンス……。

どうしようかと頭を悩ませながら行った8月頭の高知遠征で、管野テスターと対面!

春にニュージーランドにてキングフィッシュをMGXでキャッチしていたレポートを読ませていただいたので、使用感を尋ね……最終的に「テスターになる」というウルトラCの方法で、プロトを持参できることに!

ということで、沖磯のプラッキング用に、

タックル④:「Dear Monster MGX-∞S」+ 09ツインパワー12000HG

この4タックルで、準備万端です。

さて、お気づきの方もいるかもしれませんが、ここまで一貫して型落ちorリーズナブルなリールを使用しているのは、磯で使っていて傷が付いても精神的ダメージが少ないから……もありますが、紛れもなく学生は慢性的に金欠だからです。

限りあるお金は、できるだけ遠征費(移動費)に回したい(就職したら勉強の意味でも最新型「も」比較検証したいと思っています)

話が逸れましたが、無事にロッド4本をマルチピースロッドで揃え、それらを「オリジナルセミハードケース」1つに収納。


ライジャケ・ルアー・磯靴・リール・ギンバル・その他小物類と共にボストンバッグ1つに詰め込みました。

基本的に遠征に行く際は現地で背負って移動することも考慮し、荷物は20kgを超えないようにルアーや着替えの量を調整してパッキングします。

メインバッグはこれでOK。

加えて、サブバッグとしてドライバッグに最小限の着替えを入れ、小笠原ロックショア遠征者としてはかなりコンパクトに荷物を纏めて荷造り完了。

メインバッグは夜行バス乗車前に預け荷物に、車内にはサブバッグ1つを持ち込み、車内に響くイビキに少しイライラしながら、これから始まる遠征にワクワクしながら、東京に向かいました。

新宿駅バスターミナルに到着してからは、浜松町駅まで電車移動。

そこから徒歩で10分ほど、伊豆七島や小笠原諸島への玄関口となる竹芝桟橋フェリーターミナルに到着。

ターミナル内では長く大きなロッドケースを抱え、キャリーカートにクーラーやバッカンをくくりつけた釣り人を多く見かけましたが、僕らは周りからは釣り人には見えないはず。

遠征時はなんとなく、釣り人感を消したい。

うまく言語化できませんが、モバイルロッドで旅する方々には、共感いただけるのではないでしょうか?


そんなこんなで小笠原丸に乗り込み、父島まで24時間(片道約3万円)。

フェリーを乗り換え、母島まで更に2時間(片道約5000円)、計26時間の船旅。

船室(最安の2等和室、いわゆる雑魚寝)ではみんなでトランプしたり、海眺めたり。

移動の疲れもあって爆睡していたら、目覚めるとケータ列島が見え、割とすぐに父島に着きました。

去年もそうでしたが、24時間の船旅が、辛かったり苦しかったりとは感じません。

長期遠征前はスケジュールと資金の確保のため、学業にバイトに、少し時間ができれば釣具選び&試し釣りにと慌ただしく、むしろ、何もすることが無い、できないこの時間が、体を休め心を整える、かけがえのない時間になのです。


父島では名物の島寿司を食べたり、島内を散策したりで母島行きフェリーの時間に。


そうして到着した目的地・母島。

時間距離で国内で最も遠い場所、公共交通機関(定期便)で行ける最果ての島は、港内をサメやマダラエイやカラフルな熱帯魚がサンゴの群生を泳ぎ回る魚たちの楽園

はやる気持ちを抑え、とりあえず宿に荷物を降ろして、めちゃ美味しい晩ご飯を頂いた後、早速堤防へ!(いつも過酷な貧乏遠征ばかりしているのですが、小笠原群島は野宿やキャンプが禁止のため、必然的に少し贅沢な旅になります)

本格的な磯に立つ前、お借りしたMGX-∞Sの調子を確認しておきたかったので、ネムリブカに相手してもらうことに。

HUNTERS HT-6×4S」でサクッとアカマツカサやオキフエダイを釣ってエサにします。


堤防からは水面が近かったので、MX-9S」グリップに「MGX-∞S」のブランクスを合わせた約7フィートのショート&パワーセッティングを試してみます。


PE5号、リーダー180ポンド 呑まれないようにパワースイベルの先にイシダイ用のワイヤーとデカい針をかしめ、エサ魚を背掛けして、ドボン。

根掛かりしないように重りは無し。

できればエサ魚の浮き袋も潰さない。

遊びの釣りだからこそ、なるべく環境負荷は少なくしたい。

今回は仕掛けロストゼロでいけました。


最初は遠投していましたが、程なく餌の臭いでしょう、足下まで回遊して来るようになったのでライトで探して目の前にエサを落とす作戦に切り替えます。

臭いの他のアピール手段として思いついたのは、音。

堤防際、水面でエサをチャパチャパさせてたら寄ってくる……「これ、ナマズ釣りやん!」。

そんな感じで、大きめ1mくらいの個体を選んでフッキング。

MGX-∞S」はポンピングで魚をスーッと寄せてくれるイメージ、体への負担が少ないブランクス性能だと実感。

自分は1匹釣って満足し、後輩もそれぞれ全員キャッチして、早々に宿に帰りました。

翌朝からは地磯へ。

ビッグゲームは沖磯までとっておくとして、小笠原でしか体験できないチギ(バラハタ)ゲームを楽しみました。


まずはジグで沖目を狙って遠投してキャッチ。

次はシャローでサンゴ礁の上をポッパー!

爆音で引いてくると水面爆発……というよりも、赤い塊とポッパーが花火のように空中へ打ち上がった!

着水後のワンアクションで違う個体が横っ飛びバイト!

「どんだけ活性高いねんコイツら……」

根に突っ込まれそうになるも上手くいなしてキャッチ。


どれも型揃い。

最後はやってみたかったビッグベイト!


こちらもシャローでアクションさせていると同じ根から2つの赤黒い影がビッグベイトめがけて突進!

どっちが喰ったが分からないほど激しいバイト、その衝撃でルアーが割れました(ファイト中やランディング後に岩にぶつけた感じはないのですが……元々弱っていたのかな?)。

学生の自分にはここら辺(2オンス20cm程度)のビッグベイトが予算的臨界点ですが、こんな海況ですので、予算にゆとりがあればより強度の高い(肉厚)、より大型のビッグベイトをメインに選択されるのが良いかもしれません。


結果的にチギ(バラハタ)は相当数釣って、合間に小さいルアー投げたりして、イソゴンベや各種ハタ類なども追加し、去年以上に楽しめました!


タックルは、グリップは「MX-9S」でリールシート部分を逆付にし、そこにリアグリップとして「MX-RG 12」。


このグリップに「MX-7S」のブランクを合わせるセッティングをベースに、足場の高さに合わせ、適宜バット部に「MX-PROGRESS 30」や「MX-PROGRESS 15」を足したり引いたり半フィート〜1フィートブランクレングスを調整し、使用しました。


レングス的には7フィート後半〜8フィート半、即席“MX-8S”というイメージです。

この仕様(主にグリップ周り)、汎用性がかなり高く、地元でもライトショアジギングやロックフィッシュ、シーバスなど様々な場面で使っていますので、そのあたりも近々レポートさせていただきます!

そして、地磯から帰ると夜のブッコミゲーム。

まずは「HT-6×4S」に3g前後のジグヘッドリグで明暗を攻めると、尺オーバーのメアジが連発、その切り身をエサにブッコミ釣りを開始。

メバルのボリューム感にアジのスピード感がある、南国の(この島としては)小さなゲームフィッシュ。

「アジングに『HT-6×4S』は強すぎない?」と思う方もいるかもしれませんが、この竿(Mクラス)くらいのパワーがあってちょうど良いかと。

この辺から楽しすぎて感覚がおかしくなり始め……程なくして「MX-9S」が絞り込まれ、タマンが釣れました。


そんな日々を数日過ごし、磯に行かない日は海に潜って、チギの動きを観察したり、目の前からホワイトチップが泳いできてギョッとしたり、町を歩いて散策したりのんびりと島時間を楽しみました。


……というわけで、前編はこの辺で!

次回後編は、滞在後半の沖磯編をレポートさせていただきます!


(「後編」に続く)

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関西地方在住。幼少期より磯釣り好きの父・祖父の影響を受け成長した、国内外を飛び回るロックショアマン。大学院では近年関西で増殖する外来魚を研究、日本の釣りの未来に想い馳せる知的一面も持ち併せる。バイクや車弄りの趣味が昂じて、車中泊仕様にカスタムしたマニュアル軽バンで釣りに調査に走り回る日々。「MX-9S」「MX-7S」を軸とするスピニングタックルメインのスタイルで、「ロックショアをもっと安全に楽しめるよう、マルチピースロッドを未来の主流に!」と情熱を燃やす。