長い夏がバッテリー切れのように終わったと思えば、急に寒くなりで面食らっている田中です。
さて、今年の夏は皆さまいかがお過ごしでしたか?
僕はというと、ビッグゲーム向けに体づくりをしているうちに大相撲にハマってしまい、都合三回の本場所観戦に加え、朝稽古を観に行くまでに。
大関と並ばせていただく機会も頂きました。

……相撲って、単純明快なのがいいんですよね。
ちゃんこを沢山食べて体をデカくして、取組では相手を土俵外に出すか、足裏以外の体を地面に付けさせれば勝ち。
そもそもの体がデカい僕が言うと「ポジショントークだ」と言われるかもしれないけど、ことビッグゲームにおいても、僕個人は「デカいヤツがデカい魚を釣る」のが最高にカッコいいと思います。
相撲において、立会いと同時に一気に相手を押し出すことを「電車道」というんですが、僕が魚相手に目指す極地はまさに「電車道」。
圧倒的に強くなりたいものです(下写真は、“横綱”を目指し水深2000m超に手巻きで挑んだ2024年夏の思い出)

さてさて、前置きが長くなりましたが、今回はGIGASシリーズで開発中の「MGX-∞∞s (仮)“Gigantopithecus”」(以下ギガントピテクス、適宜ギガント)についてお話ししたいと思います。
僕の前回レポートでも触れた当該モデル。

既存の「モンキー」や「ゴリラ」よりも更に強いモデルとして見据え、絶滅した史上最大の霊長類「ギガントピテクス」をサブネームに開発を進めています。

僕も最初期プロトから携わり続け、今現在も手元には仕様違いのプロトが何本も転がっている状態。
包み隠さず言えば、限界を見極めるべく破断した初期プロトは、1、2本ではありません。
釣果写真を撮るためだけならラクな方法はあったかもしれませんが……ユーザーさんにも安心してブチ曲げてもらいたい。
できれば「電車道」を体現してもらいたい。
そんな竿にしたいがゆえに、時間も、負荷も、フルにかける方法でテストさせてもらっています。
そんなギガントピテクス、最終仕様はまだまだ定まっていません。
が、これまでのテストで釣り上げた魚をいくつかご紹介。
<ターゲット① クロマグロ>

このレポート内の釣果写真は昨年以前、また規制期間内のものですのでご承知おきください。
ギガントピテクス開発着手時の目標のひとつは「クロマグロキャスティングのメインタックルとなり得る竿」でした。
それ故、リフト力と粘りを重視した低弾性ショート&ストロング仕様を、仕舞50cmでイチから試作。
7ftそこそこのショートレングスの低弾性ロッドも、やり方次第で、PE12号であっても動画のようにルアーがかっ飛んでいきます。
話は脱線しますが、日本近海のクロマグロの大型化とともに、世のクロマグロ竿は低弾性&ショートレングス志向が強くなっていると感じます。
ただ、やっぱり、必然的に飛ばないんですよね。
反発の戻りが遅い分、テイクバックを早くしても、綺麗な弧を描いて投げても飛距離は伸びづらいです。
これはファイトに重きをおけば仕方の無いこと、道具には限界がある、だから釣り人側(キャスト技術)でカバーしましょう。
誘い出しを想定した場合、垂らしを長く取り、水面にルアーを付けて水の抵抗を借りつつ、綺麗な弧ではなくティップを置き去りにする感覚が肝要かと思います。
持ち手、ティップ、ルアーが一直線になるのはあくまで放出の瞬間のみで、その3点同士の距離をいかに離せるかというイメージを意識して投げてみてください。
……本題に戻りましょう。
「キガントピテクス」のこのレングス(7フィート前後)としては悪くないキャスト性も相まって、同船者を差し置いて早々にヒット。
ファーストランを耐えて竿を立てると、しっかりリフトしてくれています。
ジリジリと距離を詰め、残り25mまではすんなり寄ってきますが、船下に入ってからが長い……。

体感で3桁、100kgは超えているなと判っていたので、流石にこの局面で竿は立てられず、悔しいけどストレートファイトに。
……この数年間クロマグロという魚と本気で向き合ってきたからこそハッキリ言いますが、ここで立てられる竿が「クロマグロロッド」を自称していいかと思います。
近年過熱している日本海はもとより、津軽海峡や伊豆海域のモンスター(200kgクラス以上)に関しては、そこで立てられなければ終わりですからね。
ストレートファイトでも魚をキャッチは出来ますが、ファイトの長期化によって、同船者の機会損失ばかりでなく、リリース後の死亡率を徒に増やすことにつながってしまいます。
また、やってみないとなかなか実感できないけど、魚との距離が詰まった後竿を90度以上に立てると、人間は楽かつ魚にはプレッシャーを与えやすいんですよね。
もちろんその使い方で壊れない竿に限ってですが。
……そういった「正解」を知ったからこそ、自分としては、ギガントピテクスは「オフショア御三家」(GT、ヒラマサ、キハダ)範疇でのショート&ストロングロッドと書くに留めます。
熟練者であれば100kg前後の“そこそこ”のクロマグロ、キハダならモンスターサイズとも渡り合えるところまではきていると思います。
年々サイズが大きくなっているクロマグロ、その最大級相手に竿を立てて闘う……純然たる「クロマグロロッド」を謳うつもりはないことは、ご承知おきくださいませ!

プロトがまだ初期段階だった頃、このクロマグロは、勝負の決めどころを逃し、当時の未熟な僕では1人で上げ切れず。
ファイト交代こそしませんでしたが、同船者と船長の肩入れサポート&ラインをたぐってもらいなんとか決着した1匹。
なんともお恥ずかしい結果ですが、今後のために残しておきます。

なんて複雑な顔をしてるんだ(笑)
この年は餌釣りも含めるとクロマグロは9本キャッチして、この魚は唯一キープさせて頂きました。
……時流れ、今ならこのサイズぐらいなら余裕で勝つ自信があるんだけど、良くも悪くも今年2025年はモンスターサイズしか掛けられず……。
「電車道」とは程遠いですが、これもまたリアルとしてご報告。
<ターゲット② GT>

古田テスターのアンダマンGT釣行、レポートの通り私も同遠征に参加していました。
サイズは出なかったのでギガントの真価は引き出せずでしたが、釣行2日目最終流しにして、ようやく船中初となる20kg弱のGTをギガントでキャッチ。

船縁のツッコミに対しても竿が素直に追従してくれているのが見て取れます。
おまけで小さいカスミアジ。
初速を殺すとこんなにも素直に寄ってくるんですね(笑)

……なかなかデカい魚相手に「電車道」!とはいきませんが、現状こんな感じで、じっくり煮詰めていっています。
オフショアでもベイト(両軸)リールにこだわる小塚代表は、極限条件でのテストを深海に求め、3rdプロト(最新プロトよりバットが硬い)を“別注横綱”へとカスタム。
本州の領海内最深部(2600m超)へ、一緒に手巻きで挑んできました。


今シーズンからは新加入の宮尾テスターも参画。
テスター・スタッフみんなで協力して、「Dear Monster GIGAS」としての限界、“ギガントピテクス”の名に恥じない「電車道」、横綱相撲を目指し、テストを続けていこうと思います!
<関連ページ・レポート>