初秋の九州。国内最高峰の海域に「HT-∞∞」“ゲームチェンジャー”で挑む。

テスターの川上克利です。

2023年のサベージギアの撮影以来、悔しい思いしかして来なかった九州のオフショアキャスティングについて、やっとこさ納得できる魚が釣れたので書いていきたいと思います!

2024年の9月下旬、お誘い頂いて再度先述したアルバ丸に挑戦することに。

今回はサメでなくバショウカジキを狙っての出船。

メンバーは初めましての尾後テスター松政テスターに、小塚さん吉田さん

小塚さんは芭蕉を求め数日間ぶっ通しで乗船していたようですが、ノーキャッチとの事。

僕はというと数日前に九州入りし、前日まで数日間別エリアで釣りをし、漁港で猫と一緒に野宿。

色調狂ったような朝焼けと太陽が目に沁みる。

出船すると相変わらずの青い海。

いつも通りゲーチェンでラピード(ダイビングペンシル)だったりパチイノ(ジョイントグライドベイト)だったりを投げるも、サメがワンチェイスして来たくらいで思ったような反応は得られず。

一回だけ特大のワフーを掛けるもすっぽ抜け。

ラピードに戯れてきたカツオを一本かかったくらいです。

横を見るとライトジギングをしているメンバーがいい魚を獲っていました。

小塚さんはまた何やら変なことを……フリーリグ、ならぬ「フリー“ジ”グ」のテスト。

これが後で意味を成してくるとはこの時はつゆ知らず。

ケアラシ」のグリップセッティングを変えたり、なんだり……。

陽が傾くと、本命は姿を見せずも、水面にも反応が出始めて……。

尾後テスターは最終的に、もう1つのメインターゲットであるワフー(カマスサワラ)をしっかりキャッチ!

羨ましい!

やはり海のポテンシャルは高い!

SLJなんかで遊んだら1日じゃ足りないと思います。

しかしながら本命の芭蕉は一度それっぽい魚影を遠目に見ただけで終了。

「……これはこれで楽しいけど、本命の芭蕉は厳しいかもしれない」

長崎に芭蕉の群れが入ってきているとの情報をキャッチしていた小塚さんが、鹿児島到着初日(約1週間前)の状況から展開を先読みし、長崎で出れる船を打診開始。

そんな直前予約が取れた最速日が、明日。

思案を巡らせ、鹿児島から長崎に陸路で移動する決断をしました。

アルバ丸の船長とはここでお別れ。(またそのうち遊びに行きます!)

夜のうちに移動し、早朝長崎で船長と合流。

お世話になるのは遊漁船Seasonal。

船長曰く、ここ数日間で芭蕉が何本も上がっているそう。

これは期待できるのでは?とソワソワしつつ出船。

沖合に走ると想像以上の光景が広がってた!!!

四方八方に見える特徴的な背鰭。

「……芭蕉ってこんなにいるもんなの?w」

活性も高く船の下でイワシの鱗が舞い散り、海の中がキラキラしている。

その辺を見渡すと常にどこかでイワシが追いかけまわされている。

この海域、凄まじい。

常にどこかに芭蕉が見える光景なのですが、活性の高い群れと低い群れの差はそれなりにある様子。

とにかく群れを発見したらそこまで船で走ってキャストする、いわゆる「モグラ叩き」の釣りが展開されました。

僕自身、昨年はそれなりにオフショアに挑戦し、キャスティングのモグラ叩きは船長の力量がもろに出ることを知りました。

んでこの船長、「上手い……。」

若くて物腰柔らかい、すげー印象良い船長だなと思ってたんですが、男前な上に凄腕というズルさ。

そして良い船。

速い。

遠目に芭蕉を見つけると高速で追いかける。

こんな事を何度か繰り返すうちに、小塚さんにファーストヒット!

僕と小塚さんは”宗教上の理由”でベイトタックルでの挑戦。

「ベイトのルアーキャスティングでバショウは聞いたことないよ〜」と先のアルバ丸船長、だからやる。

小塚さんは「ジャイアントシンドローム」をベースに高弾性で反発力の強い「MX-∞」のブランクスに互換。

長さは変わらずも、より小型ルアーに適正をあげ飛距離を重視した非常に理にかなったタックルセッティング。

流石我らがボス、ワンヒット・ノーバラシでキャッチ。

デカイ。

250オーバー。

堂々たる魚体。

ルアーはイワシサイズドンピシャのちっこいペンシル(約10cm)、ながら名前は『ジャイアントドッグX』……ですが、強烈な首振りでルアーだけふっ飛ばされた様子。

上は実際のかかり所。

後で同じサイズ感のルアーで再現すると、こんなイメージ(実際はペンシルなんでリップはない)

いわば誘導ヘッドショット(フック周りの輪ゴムにも注目)

鹿児島でのSLJ、フリー“ジ”グはこのイッピキへの伏線、バラし具合だなんだ検証していたようで……後に考案される“陸リューン”への布石でもありますね、今思えば。

……続いて吉田さんにもナイスサイズがヒット&キャッチ。

流石に吉田さん、オフショアのファイトが手慣れてる。

気合いと閃きで釣る小塚さんとはまた違うタイプのアングラー、一見スタンダードな釣りを展開しているように見えて、諸々の小技だったりちょっとしたテクニックだったりがすげー様になってる。

ここまで無駄が無いファイトが出来るようになるのは場数と経験でしょうね。(悔しいけど僕にはまだ出来ない!)

さらに尾後さんが続く……。

尾後さんは完全にルアーでハメに行ってキャッチ。

トップに出切らない魚を一枚噛ませたK-TEN(ミノー)で。

近距離でのファイトや足元まで追ってきた魚なんかを絡めとるテクニックは、「流石船長!」と思うところがありました。

尾後さん視点のレポート↓

以上御三方、流石にオフショア経験値高めですね、上手い。

昨年からやっとこさオフショア本格参戦した私、分からない事は皆さんに聞けます!

いやはや、頼もしいです。

……はい!取り残されました!!!

僕と松政さんはこの時点でバラしのみ。

非常に癇に障るのですが、ゲーチェン(「HT-∞∞ “Gamechanger”」)のようなショートロッドではオフショアのキャスティングで飛距離が足りない。

ブレーキセッティングを弄って、かなりピーキーセッティングにしてもギリギリ届かないなんて場面が多々あり。

そんな時、小塚さんから「これ使ってみ?」と渡されたアイテムがタングステンのウェイト

タングステンなんて高級品、自発的に使う機会は少なかったのですが言われるがままに装着。

試しにキャストすると明らかに飛ぶ、すげー飛ぶ。

でも、俺のラピード沈んでんなw

小塚「そこは腕でカバーすんだよ!今は飛距離が優先。お前、ベイトで獲りたいんだろ?」

……確かに。

これまた非常に癪なのですが、この人と釣りをすると自分のレベルがすごい勢いで上がっていくのがビシバシ実感できる。

小塚さんだけでなく、自分が普段やらないような釣りを突き詰めた人達は、僕が知らない技術だったり知識の宝庫。

10代からこんな人らと釣りが出来てたって、かなりデカいんじゃないかな?とつくづく思います。

だからこそ、自分より下の世代に対しては僕自身の全てを持って成長を促していきたいし、技術や経験を惜しむ事なく教えてあげたい、リスペクトを込めて付き合っていきたいと。

僕がそう思えるのは、小塚さんをはじめ、周りの大人達が10代の僕にそうしてくれたからだと思うんです。

上手な人らはキャッチしている、タックルのせいにもしたくない。

飛距離の問題はこれで解決した、あとは自分の技量だ!

タングステンシンカーを装着し、飛距離問題を解決して何度目かのキャスト。

ラピードが沈むのはラインメンディングとスラッグのコントロールでカバー。

良い群れに届くようになると、結果が出るのは、早かった。

ラピードに戯れてくる魚体、ルアーはまだ食われていない……。

「もう一発……!……うっしゃ、乗った!」

だいぶ送り込んでから、バット部分でズシっとフッキング。

さすが“最速”と言われる魚、走るし、跳ねる。

既にキャッチシーンを観てはいたのですが、自分主観でファイトすると疾走感が凄い。

そしてその横で、松政さんにもヒット!

これは獲りたい。

長崎という地にカジキ全員安打という爪痕を残したい。

この魚は獲らなければならないと思いました。

リーダーは100lb。

普段の感覚でいうとこのクラスの魚相手に100ポンドのラインは相当なライトタックル。

今思えば適切くらい?なのですが、正直ファイトはビビり散らかしてました。

ドラグもそこまで掛けていないので、下手にポンピングせずリーリングで寄せてくる。

徐々に寄ってくる魚体、デカい。

船長がビルを掴んでランディング。

獲ったぞ、初秋の九州産バショウカジキ。

約250センチ、文句無しの魚体。

ベイトのヘビータックルというスタイルを貫き、思い入れのある魚をキャッチできた。

自信に繋がった。

「オフショアのキャスティングでも、ゲーチェンはなんとか通用する!」

次はオフショアキャスティングの最高峰をこの竿で。

船は固めてある、獲ろう。

僕の魚は船にあげる事なくリリース。

船の反対側でファイト中だった松政さんがラスト一匹を釣り上げ、締めの1匹。

自分の釣った魚もは嬉しかったけど、全員安打が達成されたこのイッピキにもテンション上がったなぁ。

しかしまぁ、良い魚だった。

みてくださいよ、皆の表情。

サイッコーじゃないですか???

この日はバショウカジキ船中全員安打という、驚異的な1日となりました。

男前なSeasonal船長、お誘い頂いた小塚さん。

会う度に知識と情報を一方的に流し込んでくれる吉田さん。

良い写真をたくさん撮ってくれた尾後さん。

そして締めのイッピキを釣り上げ、晩飯の時にサラダを取り分けてくれた松政さん!

普段孤独に釣りをしている僕も、皆様のお陰でめちゃ楽しかったです!あざした!!!!

【タックルデータ】

ロッド:「HT-∞∞ “Gamechanger”

ライン:Varivas アバニ キャスティングPE Si-X 5号 80lb 300m+OceanRecord 100lb 3m

ルアー:Maria Rapid 160mm+シングルフック2本セッティング

(リールまわりケミカル系はオールBORED製品)

<関連ページ・レポート>

中部地方在住。幼少期の海釣りにスタート、中学時代はライギョ釣りにハマり、以後淡水魚釣りに傾倒する。高校2年時から釣りや生き物に関するライター活動を開始。卒業後もバックパッカースタイルで日本中を駆け巡り、持ち前の意地と諦めの悪さで憧れの魚たちを抱きしめてきた。2021年には、日本国内では過去最大級と思われるアリゲーターガー(167cm)を釣り上げ、地上波テレビにも出演。好きな飲み物はドクターペッパー。