こんにちはテスターの菅野です。
16歳で釣旅を初めて今年2025年で釣旅10年目を迎えました。






そんな節目にふさわしい旅先は、単に釣りたい魚を釣りに行くのではなく、誰もが思いつく理想であって誰も実行できていない「純粋に怪魚を求める純度の高い釣旅」をテーマに西アフリカに行ってきました。
現在、怪魚をめぐる釣旅では既存のターゲットの中から釣りたい魚を選び……そのスタイルもガイドツアーや個人手配など、多種多様な“選択肢”が存在します。
しかし黎明期と今とでは釣旅の形態は同じであるものの行動の動機は違うのではないかと思います。
お金をかけてでも未知を求めパイオニアワークした開高さんの時代(1964年の戦後海外旅行解禁以後70~80年代、氏は1989年没)を源流として、開高さんのような大きな資金やコネは無いが、個人の限られた予算内で旅をする“旅的”と呼ばれるスタイルが出来上がって行ったのでは無いかと推測します。
それらの時代は、インターネットがない時代に始まり、その後普及しつつも今ほど情報が溢れていたわけでもなく、「純粋に行ってみなければわからない」と言う動機が共通してあったのではないでしょうか?
現在はどうでしょう。
東南アジアやアマゾンの隅々まで行き方や釣り方まで詳しく知ることができる上で、調べないで行ってみるは例外として、行ってみなきゃわからないと言う純粋な動機は無くなり、出来上がったレール(選択肢)の上で釣旅をしてしまっているのではとないかと僕は思ったのです。
この枠から外れ、今季モンスターキスのスローガン(「RETURN TO ORIGIN 2025」)でもある原点に戻ることで、「純粋に怪魚を求め純度の高い釣旅」がなしえるのではないかと考えました。

しかし釣り尽くされたこのご時世に新たなターゲットを見つけることは決して容易ではありません。
ましてや、丘の様な未踏峰ではなく仲間が歯軋りして悔しがるようなカッコいい山であることが理想です。
1年程前、怪魚の空白地帯として西アフリカを調べていました。
そこで小国ギニアビサウに未知のラテスがいるかもしれない言う情報をインターネットで見つけました。
しかしながら情報に乏しく調べても詳しい情報は一切出てきません。
観光資源に乏しく、国自体の情報は無いも同然でした。
調べ尽くした結果「行ってみなきゃわからない」。
そんな純度の高い釣旅ができるのはもう世界には残りわずかしか残されて無いため、この国を選ぶにあたってなんの躊躇もないのは言うまでもありません。
<ひとり3度目のアフリカ大陸へ>

日本からカタール、モロッコ、セネガル、ガンビアを経て2月初旬ギニアビサウに入国しました。
心配された治安は比較的良く、奥地に行けば行くほど人は温かく僕を迎え入れてくれました。
ギニアビサウでは計19日滞在し内15日間は出会った人の家に居候させてもらい同じ生活水準で生活しました。
コンゴのようにお金をせびられることは一度もなく、むしろ腹はち切れるほど食べさせてくれて、野球部時代を思い出しました。
一番使ったジェビエンマンジ(お腹いっぱい)は忘れることはないでしょう。

上流、下流、中流の順で3つの地域を巡り開拓を進めました。
釣りができたのは11日間、釣れたのは11日目。
その間は当然ながら思うように進まず、苦しい時間がありましたが、少しずつ魚に近づく感触と誰の足跡にも囚われることなく自由に旅を描く心地よさは、開拓旅だからこその醍醐味。
苦しい時間が長い一方で「釣り遠征は楽しいが開拓の方が面白い」そう感じました。
ただ目的を達成しにいく現代の釣旅では無く、十数年~二十年以前の釣旅を味わい、それができる最後の地域とも言える西アフリカはやはり来る価値がありました。

バイクを乗り継ぎ最後は何キロも歩いてたどり着いた村で遂に未知の魚に出会うことができました。
最終日のラスト1流し、村に引き返す残り数百mでした。
反応があったエリアに差し掛かり「ゆっくり進め」と指示をだし数投目のこと。
ルアーを回収していると、突然ボート下から魚影が飛び出しミスバイト!
穂先からルアーまでの距離は50cmほど。
すかさず8の字で対応すると狂ったように追いかけルアーを後ろから丸呑み、穂先が口に入りそうなゼロ距離バイトは衝撃的でした。

無我夢中で引き上げた魚は一見ナイルパーチにも見えますが目は青く、東アフリカ産には見られない黒斑が散りばめられていました。
現地名は「バッポワラ」良い響きです。

モンスターキスにはナイルパーチを数多く釣っているテスターが何人もいますが、これは初めて見ると言います。
新種かどうかはわかりませんが、僕が求めていた未知の魚であり、本当の意味で怪魚であることに間違いありません。
船底に横たわる魚体を見つめてつくづく良い旅ができたなと心から思いました。

<まとめ>
怪魚の世界に憧れた中学生から、情熱を釣旅にぶつけた10代~20代前半を経て、怪魚という世界を体験し獲得したものが多い一方で、怪魚という世界に未知性を失ったようにも思います。
そして26歳を迎えた今、辿り着いたのは偶然にも今期モンスターキスが掲げるテーマ、原点に戻ると言うことでした。
「純粋に怪魚を求める純度の高い釣旅は、如何にすればできるのか?」
約1.5ヶ月間、西アフリカで見てきたモノはまさに僕が求めた世界がまだそこにはありました。
怪魚とは?釣旅とは?長年探した答えも見つかったようにも思います。
「1m10kgに成長する淡水魚」と小塚さんは一般の人にもわかりやすく怪魚を言語化しましたが、はて踏み込んで聞けばもっと違う答えが出てくるんじゃないかなと、いつか話し合ってみたいと思ったり……。
<開拓におけるロッド選択>
この旅では、如何なる状況に対応すべく、竿の選別には気を使いました。
持ち込んだロッドは「MX-7」「MX-7S 」「MX-∞」「MX-0」の4本。
アマゾンや東南アジアのように事前にゲーム性のある釣りがわかっているのであれば、もっと変わっていたかもしれませんが、アフリカ、特に開拓となると全くもって事前情報が無い為、餌釣りからルアーまで繊細さと強さを待ち合わせたスピニングの「MX-7S」はどうしても必要不可欠でした。
それから対応力が高く、ある程度釣りが絞れた時のベイトタックルに「MX-7」、この2機種では対応できない状況に直面した際の「MX-∞」。
そして餌確保と癒しの時間の為に「MX-0」。
以上の理由でこの4機種を選びました。
本命とのファーストコンタクトは「MX-7S 」、バラしてしまいましたが「MX-7S 」で釣り方を理解した上で「MX-7」に持ち替え遂に小型の本命に出会えました。

しかし大型サイズを2度バラしていました。
原因はフッキングの甘さ、不安定な丸太船ではフッキングの際に力が分散されてしまい、刺さりが甘くなっていると考え、最終日にタックルセッティングを見直し「MX-∞」に持ち替えました。
結果的にこれが正解、最後のチャンスを掴むことができました。
以下タックルデータになります。
ロッド・「Dear Monster MX-∞」
リール・スコーピオンMD
ライン・PE6号+リーダー100lb
ルアー・スーパーシャッドラップ+BKKファングス63
過去の経験、道具の理解と信頼がこの1匹に集約された様に思います。

……以上、今回は怪魚「バッポワラ」に絞り、旅の動機に重点を置いたエッセイのようなレポートとなりましたが、次回は時系列を追って釣行記としても文章化できればと思います。
取り急ぎ、“釣行記”は動画でまとめてみましたので、興味のある方はご覧ください。
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