富山のシーバスマン、定廣です。
シーバスアングラーの夢の一つ、メーター“オーバー”。
過去、メーター“クラス”(謙遜)は2度キャッチに至ったものの、明確に超えることができなかった壁。
2025年秋、ようやくその壁を超えることができたかな、と思います。

3度目のメータークラスにして、自身初のメーター“オーバー”。
北陸地方では90cmオーバーの鱸を海の化物を形容し“入道”と呼びますが、それをひと回り超える特大入道が現れる。
今回はそんな“大入道”について、実際メータークラス(95cmオーバー)を獲ったタックル考を軸に、この一匹に至るまでの“大入道”史をまとめたいと思います。
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初めてのメータークラスを手にしたのは2021年11月中旬。
この魚に関しては残念ながら写真を撮ろうとして逃げられるという大ポカをしているので、記録としては計上しないものの、データとしては有用であるとして考察の際には加えさせていただけたらと。


上2枚は、メーター“クラス”(個人的には99cmと認識)と同日に獲り、そして撮った95cmと、90cm。
“入道”(90アップ)を同日に複数匹手にすることになったこの日、ただ流石に先述したようにランディング後撮影準備中に逃げられ……“撮り”のがした入道は、この2匹よりも明確に大きかった。
増水河川のカキ瀬絡みのシャローエリアでの連発劇で、入道3連発は後にも先にもこの時だけ。
ルアーは95mmのシャローランナー。
カキ瀬の上を流すと食ってくる状況で、ヒット後は一気にカキ瀬から引き剥がす必要のあるポイントだった。
さて、この2021年時点で、富山における自分の中での「90アップの狙い方」はある程度確立されてきており、最重要視していたのはストラクチャーの絡むシャローエリア。
警戒心が強いといわれている“入道”だが、それらの警戒心が比較的緩むのが彼ら(彼女ら?)がシャローに差しているタイミング。
シャローに入っている時点で危険を顧みず捕食をするモードに入っている為、口を使わせるのが平時よりも容易になる。
問題は「いつシャローに差してくるのか?」だけれど、釣った時の濁りや水位のデータを取り続けたことで、精度は足りないながらもそのタイミングをある程度読めるようにはなってきていた。

そんな中、問題となったのがタックルセッティングだ。
流木やカキ瀬が沈んでいるシャローエリアが多く、太いラインでの強引なファイトが要求される状況が多々あったが、ディープなウェーディングや草木が生い茂る中で釣りをすることが多かったためロングロッドでは扱いが非常に難しかった。
この2021時点(モンキスさんと契約前)では、ロッドはアカメ用の8フィートのスピニングロッドを改造した自作ロッドを使用していた(ちなみに銘は漢字で『入道』と、現在の「NEW-DAWN」のネーミングのルーツとなった)。

その翌年の2022年、遠征を視野に入れ始めたことにより怪魚系モバイルロッドを各社試すことになり、その際モンキスさんのロッドも初めて購入。
そのロッドが、「Dear Monster MX-7S」。
短く、強く、太いラインをストレス無く使用できるこのロッドはその時点の自分にはぴったりのロッド。
一時期ではアカメロッドの最硬クラスまでも手を出していたが、硬すぎるロッドではキャストに難があったこと、掛けたあとも結局フックがもたずにキャッチ率が低下したことで「硬くて強い」ではなく「曲がって強い」ロッドを求めるようになっていて、そういった意味でも「MX-7S」はドンピシャな選択だったように思う。
そして2022年10月下旬、写真に残せた最初のメーター“クラス”を「MX-7S」にてキャッチすることに成功する。


ルアーは95mmのウェイクベイトだった。
ポイントは沈み根があるシャローのワンド。
反転流ができている葦際のラインを通す必要があり、まさに短く、曲がるが強い「MX-7S」の特性が発揮されたシチュエーションだった。
沈み根の後ろのヨレでヒットするポイントであるため根に擦れる事は必至。
PE1.5号でなければ獲ることは困難だったと思う。
低気圧と河川増水により、普段は立ちこむようなシャローエリアがメーターの着き場に「化けた」瞬間だったーーー。
以降2シーズンの時が流れ、写真アリ2本目のメーター“クラス”はその翌々年、2024年10月初旬のこと。

この魚はレポートの中でも紹介させてもらった。
この魚に関しては、増水時に小型プラグで掛けた前述の2本とは違い渇水のタイミングでのビッグペンシルでの釣果。
持論だけれど、ビッグベイトはスタンダードなサイズのルアーとは食われるタイミングが異なるのでデータとしては分けて考えたほうがいいと思う。
まず渇水、高気圧であったためシャローエリアはほぼ全滅状態だった。
水質もクリアで目視でも底まで見える状況で、とてもメータークラスが侵入してくる状況ではなかったからだ。
そんな状況だったので、ある程度水深のあるエリアを攻めるしか選択肢がなく、流れのある場所を選び回遊待ちを選択していた。
確信があったのではなく、消去法でこれしかなかったが正直なところ。

そんな中、あまりにも水も動かないので160mmのペンシルベイトを選択。
流れがない状況では水押しが強いルアーが有効な場面も多く、結果としてはこの選択により自身2本目のメータークラスを手中に納めることができた。
この時のロッドは「Shinkirow810/94MS NEW-DAWN」。
前年にみっちりテストをし、この2024年に発売されたロッド。
スタンダードなシーバスロッドでありながらも“入道”(90アップ)を念頭とした自分の感性と、モンキスらしいタフネスが折衷した「強く、曲がる」仕上がり。
結果スタンダードサイズのプラグからMAX40g超えの大型プラグも余裕でフルキャストでき、急遽ビッグペンシル等を投げる必要が発生した場合でも対応できるのが強みのロッドだ。
テストの際もこの点は意識しており、ハクやマイクロベイトパターンからコノシロパターンや落ち鮎パターン等の大型ベイトパターンにまでも対応し、富山県においては周年対応可能なロッドに仕上げた。
東京湾など他地域ではオーバーパワーに感じられるかもしれないが、自分の住む富山という土地では、周年釣り場に通えば、メータークラスも“夢”ではない、現実的にこのパワー感が基準になるとして整えた。

あらためて。
昨年2024年秋、ビックペンシルで手にした上の魚は、見事な“入道”ではあったものの、ルアーパワーで“釣らせてもらった”感は残った……これまで重ねてきたスタンダードサイズ(95mm程度)のルアーによるシャロー攻略、状況を読んで自ら“釣った”と言える魚を目指したいと以降も釣り場に通った。
そして今年2025年、11月下旬。
雨後、増水パターンを利用したシャロー撃ちという自分のスタイルの結晶として獲れた(&撮れた)念願の“大入道”が、冒頭の1本だ。

ヒットルアーは95mmのウェイクベイト。
思い描いたスタイルでのキャッチとなった。

いざフックを外し、メジャーを広げる。
計測基点をいつもより厳しめ(スマホ画面で見ても上顎)、とりあえずこれまでの自分が続けてきた測り方(尾の長い部分)で……“届く”ではなく明確に“超えた”。
自己記録更新は間違いない。
小塚さんに連絡し、撮影に駆けつけてもらうか頭をよぎっていたけれど、慎重なファイトも理由だろう、思ったより魚の消耗が激しいことに気づき、早急にリリースした。

ポイントはシャローに岩のブレイクが絡むエリアだった。
当然だが岩に擦られるとラインブレイクは必至であるためここでも強引なファイトが要求されるが、フックが小番手であるため硬すぎるロッドでは先にフックがやられてしまう。
ロッドは「Shinkirow 810/94MS NEW-DAWN」。
そもそもこのロッドは「スタンダードサイズのプラグでデカいシーバスを獲る」を意識してテストしており、バットを強くしながらもベリーがしっかりと曲がることでフックへの負担を軽減しながらも大型シーバスと渡り合えるように仕上げた1本。
前年のメータークラスはビッグペンシルというこのロッドの守備範囲ではあるものの本来意図したものではないパターンでのキャッチだったけれど、今回は「ストラクチャー絡みのシャローエリアで小型プラグで大型シーバスを獲る」というまさにこのロッドの本来想定したシチュエーション。
柔軟なベリーでショックを吸収しつつも、強靭なバットと1.5号の十分な太さのPEラインにより主導権を渡さずに危険地帯から引きはがして常に優位な状況でファイトすることができた。

過去2度の“大入道”の釣獲経験から「曲がるが強い」ロッドが大型とのファイトでは重要だと個人的には結論付け、それら経験を全注して作った「NEW-DAWN」にて、発売以後も2度もメータークラスとの実績を重ねられたことで、この考えは間違っていなかったのだと改めて実感している。
また、“大入道”と過去5年間での4度の出会いを経て、チャンスは少ないながらも、狙って確実に届く魚だとも確信できた。

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「……よかったよかった、その魚がまだ元気に富山を泳いでる方が価値がある!」
リリース後、しばらくして連絡を取り合った小塚さん(15分程度で駆けつけられる距離にお住まい)からは、「メーターおめでと!」との祝福と共に、「次、チャンスがあれば……」といくつか撮影上のアドバイスをもらった。
その気になれば、誰にでも平等にチャンスはあるメーターシーバス。
身近なビッグワンをぜひ、皆さんも狙ってみてください。
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