2年目の“青”の春。「また、いつか」。もう生涯釣らなくても悔いの無い、満点の一匹を目指して。

こんにちは、テスターの藤田です。

インドから帰国後、去年に続き、今春も利根川のアオウオに挑戦してきました。

確保した期間は11日間で、「1本出てくれれば良いな~」といった感覚での挑戦でしたが予想外の展開となりました。

今回はその釣行記をレポートしていきたいと思います!

インドから羽田に帰国したのが2024年3月7日の夜。

翌朝、北海道の自宅に戻り所要を済ませて、ポイント入りしたのが3月11日未明。

帰国後バタバタするのは目に見えていたので、アオウオ狙いで必要なタックルや仕掛け、装備品の準備はインドへ旅立つ前に仕上げてありました。

リールだけはインドでグーンシュ狙いに使ったものを流用するため、帰国後ラインを巻替え。

去年も今年も迷いなくハイエンドモデル、バリバスの「バーマックス石鯛」(ナイロンライン。根擦れを考慮して、ナイロン一択です)を選択しました。

アオウオ釣り師の方々の使用ラインは16号~といったところのようです。

ですが、それは長くてよくしなる竿があってこその(石鯛竿の流用が多いようです)、タックルバランスを考えての事でしょう。

僕はいつも通りディアモンスターで戦いたいので、太めの22号をセレクト。

大型アベット(サイズはHXとLX)に巻き込んで、ラインキャパシティは200m確保しました(タックルについては後述します)。

ポイントは去年の初挑戦時に一本釣った同じピンスポット。

地形は把握しています。

手前にゴロタ石が敷かれていて、足元から約5m先でゴロタ帯が切れ、段差のように一気に深くなっています。

そのあたりで水深5mほど。

その段差より少し沖に出ると、水深は浅くなり遠浅地形となっています。

足元から約5m先、その“V字”地形(急激なかけ下がり、からの、かけ上がり)の最深部に、ピッチングで仕掛けを投入します。

ヒット後ブレイクに道糸が引っかかって、ラインブレイクにつながる事は絶対に避けたい。

このポイントでは手前の段差のエッジを考慮するだけでリスクを大幅に下げられるので、(石鯛竿と比較すると)短いディアモンスターでも、やれる。

その上でできる限り糸を太くしたいので、リールのラインキャパシティと相談して、22号を選んだわけですね(去年も22号でキャッチしていて、実績もあり)。

ここのポイントでは流れの影響もほぼないので、ワンランク上の24号でも良いな、という感覚です。

さらに、やれることはやれるだけ、というスタンスでロッド(ディアモン)も伸長させました。

ディアモンスター各シリーズを互換して組み合わせ、プログレスシリーズも導入。

互換してロッドを組み上げていく際の考え方ですが、

1.まず、ナイロン22号を200mキャパが欲しいため、リールはアベットのLX&HXを選択。

2. アベットのフットがゴツイため、リールシートサイズを考慮し、ディアモンスターシリーズ(MX規格)では「MX-∞」のグリップ(TCS18番搭載)がベスト。

3.できる限り長さが欲しいため、「MX-PROGRESS 30」と「MX-PROGRESS 30G」をバット部分に組み込み。

4.長さ&しなやかさをもとめて、メインブランクには「MX-8+」を選択。

5.先重りするので、バランスを取るためにグリップエンドを延長して「MX-9S」のものを導入。

という思考経路で、組み上がったタックルが上写真。

まとめると、

グリップ:「MX-9S」エンドグリップ + 「MX-∞」フォアグリップ(リールシート部)

ブランク:「MX-PROGRESS 30」 + 「MX-PROGRESS 30G」 + 「MX-8+

以上、全長10フィート強の“長さは正義”のブッコミ仕様です。

今回は同セッティングを2タックル用意しました。

次は仕掛けを紹介。

自分の場合一度仕掛けを投入すると、半日(12時間)放置します。

その上で避けたいのが、投入から12時間後に回収してみると「ハリスが絡んでて仕掛けが機能していなかったー!泣」という事。

ハリス絡み防止で、鯉釣りで使う天秤を使ったりもするようですが、水中での天秤の存在感が気になるし(悪目立ち)、付属されているスイベルなどの強度が信用できないため、ワイヤー(大洋ワイロン#30)を使って仕掛けを自作しています。

海外の釣り旅でもよく使う大洋ワイロンですが、もう一つ上の番手の#28だとちょっと扱いづらいぐらい太く、もう一つ下の#32だといきなり細くなる印象です(私感)。

自分は大型魚の餌釣りのワイヤーシステムを作る際は#30で統一しています。

これが天秤代わりとなり糸絡みがなくなり、さらにヒット後には根擦れ対策にもなるわけです。

長さは50㎝。

オモリの装着は小さな結束バンドを使っていて、針掛かりを考慮した装着位置とか、ワイヤーがキンクしないようにとか色々あるんですが、マニアックで長くなるので割愛します(笑)。

ヒット後のハリスブレイクの話をたまに聞きます。というわけでハリスに選んだのは根ズレに強いザイロンXの20号。

今回、自身でもキャッチ後のハリスの擦れを確認したので、間違いなく考慮すべき点かと思います。

ハリスの長さは5㎝で統一しています。

ザイロンXの針結びは「外掛け結び1回+ハーフヒッチ4回、端を結んでコブでエンド」、ワイヤー側スイベルへの結びは「巻き結び+ハーフヒッチ4回、同じくコブエンド」。

フックはがまかつの「タマンスペシャル20号」。

今回のタックルの中で一番弱く、針が根掛かりすると、引っ張れば針が伸びるか折れるかして回収できるギリギリのバランス(許容範囲で最強クラス)です。

餌は利根川近くで拾い集めたタニシ。

針への付け方は十人十色のようですが、自分はこんな感じで。

トップウォーターのナマズゲームでタコベイトをリアフックに装着したりするのと一緒で、「針と一体化させた方が吸い込みやすいから」という考えですね。

タックル関係は以上……ですが、次は装備品紹介。

ヒット後~捕り込み、撮影までで必要になることがあるのが、以下の装備。

ライフジャケット、ウエットスーツのインナー上下(長袖&スパッツ)、ウエットソックス、スパイク付ウエットシューズ、ウエーダー。

ウエーダーは、順調に寄せて捕り込めた場合、そのまま写真撮影する際に入水する用。

ウエーダー以外の装備は、ファイト中に水中で糸が引っかかってロックした場合(可能な範囲内であれば)入水して解除しにいく用。

これらは竿受けの横に置いてあって、すぐ装着できるようにしてあります。

そして、ランディングツール。

陸揚げはしません。

入水して、魚を水から上げずに撮影してリリースします。

元気なままでの大型魚の陸上での扱いは本当に難しいし、鱗剥がれや体表の鬱血などさせずにキレイな魚体で写真に収めたいので。

そこで使うランディングツールですが、色んな魚種で使っている自作のシリコンストリンガー。

ホームセンターで量り売りされているコーティングワイヤー(2.0φ)と、シリコンチューブ(6×8.4㎜)を組み合わせたもので、これをエラぶたの外側から通して、ロープに繋いで使います。

メーター以上の大型魚用には全長3m仕様(エラに通した状態で、半分で折り返して使うので、有効長は1.5ⅿ)メーター以下の中型魚には全長2m仕様(有効長1m、ワイヤー&シリコンチューブの太さはワンランク下の番手をチョイス)のものを自作して、使い分けています。

ストリンガーの有効長を対象魚のだいたいの最大サイズに合わせているのは、水中でキープしている際にロープや、ロープとのつなぎ目を魚体に触れさせないため(スレ防止)。

挿し込む際はエラぶたの外側から。

エラ(「鰓耙(さいは)」といいます)とエラの間には絶対に通さないことが重要です。

慣れていない人にランディングを頼んだりして、誤ってエラとエラの間に通してしまった場合、ストリンガー全長が長いため魚を確保したまま正しく通し直すことができます(文章では説明が難しいですが、やればわかります笑)。

さらに、撒き餌用のタニシを用意しなければならないし、夜通しやるなら滞在場所を考えて、バイトアラーム(無線式センサー)も必須となります。

知識がないとどれが良いのかよくわからないし、中古でも高価だし(僕が買った中古品は壊れていたので修理に出した)……。

という感じで、段取り・準備にものすごく手間と時間がかかる釣りなんです……。

先人方がつくってきた歴史があるアオウオ釣り。

「みんな挑戦してみて!」と自分は言いません。

正直に言うと敷居が高いままで良いと思います。

自分も老害化してきたのかな~なんて思ったりもしますが、本当に魅力ある魚、釣りだから。

僕に夢を見させてくれるアオウオへのリスペクトを込めて、タックルと装備品の紹介をさせていただきました。

……さてさて。

それではようやく、今回の釣果報告に入りたいと思います(笑)。

現場に到着して荷物の運び込みを終え、3月11日の夕方に最初の仕掛け投入を終えました。

去年は釣り始めてから10日間全く反応はなく、11日目に人生初のアオウオが釣れたのでした。

「アオウオ狙いってそんなものだ」

「今回は何日待つことになるのかな?」

「というか、アタリすらこない可能性もあるよな」

そんな感じで、ある意味気楽に構えていたのですが……。

明けて翌朝、3月12日。

仕掛けを一度回収します。

針先確認(結構な確率で鈍っているので予備の仕掛けを常にスタンバイしてあります)、ラインチェックからのメインラインを結び直して、再度投入。

それから一時間ほど経った頃。

「ジッ」

日が出てからセンサーは外してあったのですが、ドラグを強めに設定してあるアベットから一瞬糸が引き出されて、竿を見ると竿先が激しく揺れている!マジ!?

既に針掛かりしてその場で頭を振っているようだったので竿を手に取り、ファイト開始。

ガンッ、ガンッガンッ!と激しいヘッドシェイクを繰り返すその引きは間違いなくアオウオです。

この釣り座は水面から高さがあり、高い位置から竿を曲げて負荷をかけられるため、手前の(水中の)段差のエッジをかわしやすいという利点があります。

じわじわとプレッシャーを与え続けて、体感では5分ほどで魚を浮かせることができました。長さはないけど太い!

魚の餌の食い方と仕掛けのシステムゆえ、針は下顎に刺さるのが鯉やアオウオのブッコミ釣りの特徴です。

肉が厚いところに刺さっているのを確認できたので、手前に寄せて腹を上に向けてからも焦ってすぐ捕り込まず、時間をかけて空気を十分に吸わせます。

完全に落ち着いたところでシリコンストリンガーをエラ通しして、ランディング。今年も会えた!!

まさかの2日目、竿出ししてから14時間程度で釣れてくるとは。

余裕を持ってファイトして、今回この一匹をキャッチできたことは大きな自信となりました。

136センチ。

もう、この一匹でかなり満足してしまったのですが……餌のタニシはまだまだあります。

仕掛けを入れ直して、翌日3月13日。

向かい風が強く、波が打ち付け、仕掛けを投入している岸際は底まで引っ掻き回されているような感じです。

こうなるとコマセのタニシを撒いても、一か所にとどまらずに効果が薄れてしまいそう。

これはダメだろうな……と思いながらも竿を眺めていると、昼過ぎに仕掛けの正面、少し沖でアオウオが顔を出して、叩いた!(この現象、よくあって、アオウオ釣り用語で“抜ける”といいます)

仕掛け近くで抜けがあると期待が高まります。

そして夕方、風が弱まってきたタイミングで仕掛けの上流側でまた激しく抜けた!

どちらもかなり黒っぽい魚体で、同一個体と思われました。

「今夜は期待できるぞ!」

……しかし何事もなく朝を迎えました。

寝起きで寝袋にくるまったまま「まぁそんなに甘くはないわな~」と呟いていると、

「ピピピピー!!」

センサー入ったー!!

難なく寄せたところで、水面を激しく尾鰭で叩いたそいつは「魚体、黒!多分昨日抜けてた奴だ」

シリコンストリンガーで確保しました。

145センチ。

この魚も難なく浮かせて空気を吸わせて、捕り込みまで非常にスムーズでした。

撮影もサッと終わらせて、すぐにリリース。

もう出来過ぎです!

しかし、タニシはまだまだあります(笑)

釣りを続けて、次に動きがあったのは翌日3月14日の22時。

センサーが入って、一瞬針掛かりしていた(竿先が激しく叩いていた)ものの、竿を手に取る前に外れてしまいました。

……なんで、こんなに当たるの!?

去年コマセを打ち続けた効果が、一年経っても続いているんでしょうか(魚が学習して、覚えている?)……。

そして、またアタリが。

3月16日の1時半。センサーに叩き起こされ、テントを飛び出して竿に駆け寄りました。

魚は少し沖に走っていて、竿を手に取ると頭を振っている感覚が。

しかし、ラインが岩に噛んでいる感触も一緒に伝わってきます。

ドラグ調整を何度もしながら、焦らず、掛かっているラインを外していきます。

一か所目が外れて、二か所目も外れて、手前のエッジを乗り越えさせて捕り込む直前にまた新たに糸がスタック。

しばらく粘りましたが微動だにしなくなってしまい、どうしても外せません。

焦りましたが、上で紹介した装備に着替えて、入水(この時、菅野テスターが同行してくれていて助かりました)。

魚を怒らせないように慎重やって、全てクリア!慎重に捕り込みました。背中の盛り上がりが物凄い。

ファイト中にライトで照らして魚体を確認できていて、自己記録であることは確信していました。

陸揚げをしないので、正確な全長を計測できないのですが……サイズはあまり重要視していません。

そもそも手持ちの安物メジャーは目盛りが150㎝までしかなかったので、計測不能でした(笑)150オーバー!

このサイズで、夜間だと、一人でセルフタイマーでサクッと撮影するのは至難の業でしょう。

一緒にいてくれた仲間に感謝ですね。

撮影もスムーズに済ませて、鱗一枚剝がすことなくリリースできました!

もう大満足ですが……。

コマセ用のタニシは25キロ程余っているので、続行!(笑)

その後、今回の滞在で最後となるアタリが来たのが3月19日の21時。

センサーが入って、1分程ファイトしたところでフックアウト。

21日の朝8時まで粘りましたが、その後は反応なく、タニシを完全に使い切って納竿となりました。

荷物を全て運び出してから、最後に利根川に一礼しようと釣り座へ降りていくと、ちょうど巨大なアオウオがゆっくり顔を出して、バッシャーン!とド派手に尾鰭で叩いて潜っていきました。

また来いよ、ってことかな?(笑)

結果として、2シーズンやって5ヒット1バラシ(針外れ)4本捕り込み。

いつものディアモンスターシリーズで、試行錯誤して組み上げたタックルで、ラインブレイク無しで達成できたことがたまらなく嬉しいです。

ストリンガーシステムも確立して、大型魚の取り扱いレベルもアップできました。

仕掛けをもっと試行錯誤したり、新規のポイントをつくったり、深めていきたいところですが……僕のアオウオ釣りはこれにて一時休戦。

夢の160オーバーを追いかけに、また利根川に戻ってきたいと思います!

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幼少期から魚類に興味を持ち、6才で釣りを始める。バス釣りに熱中していた中学時代に小塚と武石が開設していたホームページと出会い、“怪魚”の世界に強い憧れを抱く。大学進学を機に北海道に移住、稚内から与那国島まで、アジアからアフリカまで、国内外を釣り歩いた。サクラマスの研究で大学院を修了、その後も北海道に残り、トラウトやロックフィッシュなど北の大地の釣りを楽しみながら、世界への旅を軸に据えた生活を送っている。