「国内”中国四大家魚”全制覇」バックパッカースタイルで駆け抜けた2年半の軌跡(コクレン前編)。

テスターの川上克利です。

今回は(先に言っちゃいますが)遂に達成した悲願、「国内”中国四大家魚”全制覇」について報告します。

そもそも、中国四大家魚というのは”アオウオ”、”ソウギョ”、”ハクレン”、”コクレン”の4種のことを指します。

4種類とも大陸原産の外来魚で、元々は日本にいるはずのない魚でした。

このうち、”ハクレン”と”ソウギョ”は、(個人的には)狙って釣る難易度はそこまで高くないのですが、”アオウオ”は別格、”コクレン”は超絶難しいのです。

幻の魚と称されるアオウオですが、さらにその上をいくのが”コクレン”。

日本での釣捕例がほぼ無く、知る人ぞ知るホンモノの幻“だった”のですーーー。


……遡ること2年前。

放浪系釣行を本格的に始めた高校3年生の冬、最初のターゲットに選んだのがハクレンでした。

初めての無計画放浪、不安と高揚感でドキドキが止まらなかったのを覚えています。

2021年2月、真冬ということでハクレンは温排水周辺で早々にクリア。

この放浪に持参したのは、当時発売されたばかりの「HUNTERS HT-6/7」の一本のみ。

この一本でなんでもできると思ってたし、実際なんとかなった。

時流れ、約1年後……2021年の暮れ。

四大家魚の次なるターゲット・アオウオを探し、関東圏をうろうろ……この時の放浪は、彷徨うこと2週間くらい?

滞在中、突発的に関西まで足を伸ばしてもキャッチに至らず。

流石に半分諦めていたのですが、関東に戻りふらっと寄った河川に、ソイツはいた。

初めて見る体色。

上流に頭を向けて底の方でジッとしている”藍錆色”の巨体。

見間違いようの無い、”アオウオ”そのものだった。


想像もしていなかったスピードのある横っ走りに、トルクのある突っ込み。

細い魚体からは想像もつかない暴れ方をした。

ロッドは「HT-7/8、先の“ロクナナ”を気に入り追加購入した1本。

ショートレングスの“7”モードが手に馴染み、以後10代の放浪系釣行では、この一本で殆どの釣りをやり切ることになりました。

年明けて、2022年。

10代も、残すところ約半年。

この年の年始からモンキステスターに任命され、挨拶がわりに黄金のソウギョも「HT-7/8」で相手取りました


都市河川あるあるで、掛けた場所が複雑。

絶対に走らせる事ができないシチュエーションでしたが、このサイズの魚を止め切る事ができるのが、10代の愛刀”漆黒セブン”(「HT-7/8」ショート7フィートモード)。

暗闇に浮かぶ、山吹色。

不気味な灼眼。

魚体を抱き抱え、震えました。

……四大家魚としてはこのイッピキを〆に、2022年夏、ハタチの誕生日を迎えました。

2022年晩秋、所望していた「HT-∞∞」のプロトが届いたタイミングで、アオウオの川を再訪。


ロッドがもたらす圧倒的な安心感。

ロッドが変わると、ここまで変わるか。

全くヒヤヒヤする事なく、寄せる事ができました。

サイズは前回釣った個体よりも少し小さめ。


そう遠く無いうちに“ゲーチェン”(「HT-∞∞」)でもっとデカいやつを釣って、”漆黒セブン”で釣ったアオウオを、自らの10代を超えたいですね。


2023年春、関西引越しの直前に弾丸上京した際にはソウギョ(ノーマル個体)を。

実は地元・新潟で3年くらい前に釣っているのですが、まともな写真が残っていないため、あらためて触っておきました。

ロッドはもちろん「HT-∞∞ “Gamechanger”」。

ソウギョに関しても、後々サイズを求めていきたいところ。

120オーバーをひとつの目標として、今後も継続的に狙っていきたいと思っています。

……こうして高校時代(〜2021年春)から、足掛け2年超となった四大家魚制覇への挑戦。

ハクレン、アオウオ、ソウギョときたら、残るはガチの幻魚”コクレン”

幻も幻であるこの魚。

ネットで得られる情報なんて、たかが知れてるわけで。

水辺に通い、そこに暮らす諸先輩方と仲良くなり、県を跨ぎ、水系を変えて……関東圏をウロウロし、夏が過ぎ、気づけばまた1つ歳を重ね、21歳になっていました。


「日本国内にも、いる(生息している)にはいる」

だだその数が、軽く“幻”と言われるアオウオと比較してすらも、圧倒的に、絶望的に少ない。

日本国内におけるコクレンの情報といえば、ルアーに引っ掛かってきた「ハクレン?コクレン?」って怪しい写真を2年に1件レベルで見かけるか否か(当人は区別していない)。

レンギョ狙いの釣り人の仕掛けに偶然掛かった確実なもの(写真アリ)は、1988年(35年前)に1例と、2021年に1例と、計2例のみ。

あとは、それと思わしき死体を発見した話、その程度……。

日本で狙って釣った人はいない、まさに”幻影”

そもそもいない、ズル(ヒッカケ)すら許されない個体数の少なさに絶望しつつ、それでも希望を捨てずにいました。

……この日も首都圏某所で水辺に立っていた。


地元新潟ではあまり馴染みの無い放射冷却という現象も、2年目になるといい加減慣れてきたもので。

快晴のもと、時間がゆっくり流れていく。

殺気立たず、いつもの様にハクレンと戯れていると、明らかに違う魚が浮いてきた。

……突然、空気が重くなった。

時間が止まり、文字通りゾワっとした。

瞬間、感じた「これは違う」感。

一瞬で分かった。

「これはハクレンじゃない。」

魚体が放つ、”雰囲気”が異常すぎる。

ヒット!

水中で反転する魚体は、なぜか赤黒い。

そして何より、頭がデカすぎる。

胸鰭が長すぎる。

おかしい。

……この魚、異形すぎる。

恐怖すら感じる魚体。

地球の裏側で抱いた2mオーバーの巨体ですら感じなかった、圧倒的なアングラ感。

「怖い」

素直にそう感じた。

この恐怖は、この魚をずっと追い続けてきた自分だからこそ感じる事が出来るモノ。

ゆっくりと、気怠そうに抵抗する巨体を前に、この2年間を試されている様な気さえした。

身体中が警戒心マックスになっている感覚がビリビリ伝わる中、頭をこちらに向け、ボガグリップでランディング。

咆哮。


(「後編」に続く)

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中部地方在住。幼少期の海釣りにスタート、中学時代はライギョ釣りにハマり、以後淡水魚釣りに傾倒する。高校2年時から釣りや生き物に関するライター活動を開始。卒業後もバックパッカースタイルで日本中を駆け巡り、持ち前の意地と諦めの悪さで憧れの魚たちを抱きしめてきた。2021年には、日本国内では過去最大級と思われるアリゲーターガー(167cm)を釣り上げ、地上波テレビにも出演。好きな飲み物はドクターペッパー。