自作3Dプリンタービッグベイトで南米縦断旅(Chapter 2/ブラジル・ネグロ川編)

こんにちは!

大学生テスターの禾です。

前回の「Chapter 1/パラグアイ編」に引き続き、今年2025年の春に行った南米釣行の様子をお届けします。

本記事(Chapter 2/ブラジル編)では、南米滞在二か国目、ブラジル・マナウス周辺ネグロ川での釣りについてまとめています。

まずは移動から。

ドラード狙いで滞在していたパラグアイを離れ、マナウス行きの国内線があるサンパウロに夜行バスで向かいます。

ブラジルの首都サンパウロ、パラグアイに比べるとやはり物価は高いですね。

バーガーのセットで900円ぐらい。

国内線を乗り継ぎ、マナウスに向かいます。

無事マナウスの空港に到着。

空港のATMで追加の資金(ブラジル・レアル)をキャッシングしようとしましたが、レートがあまりにも高かったので渋ってしまいました。

後々後悔することに……。

パラグアイでの苦い経験からタクシーを警戒していたため、ブラジルでもUberを積極的に利用しました。

朝方、明るくなってきてからUberでマナウスの港に向かいます。

幼いころから夢見たアマゾン川(ネグロ川)とご対面。

あまりにも広い、そして本当に水が黒い!

まずは有名なマナウスの朝市を訪れたりして観光をする予定でしたが、聞き込み調査をしてみると釣り場となる町へのフェリーがあと15分で出発するとのこと。

次の出港は2日後ということで、急遽乗り込むことに。

少しでも遅れていたらと考えるとヒヤッとします(笑)

よくブログなどで目にするゆっくりなハンモック船ではなく、結構なスピードで飛ばしてくれる高速船に乗りました。

前者だと24時間ほど掛かる航路ですが、この船は12時間ぐらいでした。

ただ、船内はダウンジャケットを着ていても寒いぐらい冷房ガンガンだったのと、エンジン音がうるさすぎて他の乗客と一切コミュニケーションをとる機会がなかったのが少し残念でした。

時系列は前後しますが、帰路はハンモック船に乗り、その際には他の乗客と色々仲良くなれてとても楽しかったです。

次行くことがあれば往復どちらもハンモック船で行こうかなと思っています。

……ご飯はバイキング形式。

これがなかなか美味しい。

典型的なブラジルのワンプレートランチですね。

南米にいたときは日本食が恋しくて仕方がなかったですが、帰国した今となってはブラジルの肉と豆が恋しいです笑。

音楽を聞きながら爆睡していると、気づいたら目的の町に到着していました。

ここまで来てしまうと、宿予約サイトなどが機能しなくなるので、夕方に港に到着してから重い荷物を担いで宿探しを始めます。

「一部屋も空いていなかったらどうしよう」なんて思いながらも一件目の宿を訪れると、あっさりと部屋が見つかりそこに泊まることに。

この町を起点に、ネグロ川で狙うターゲットはピーコックバス最大種の「ツクナレ・アスー」。

この町にとっては貴重な観光資源みたいで、町のあらゆるところでこの魚のモチーフが見つかります。

フォルム、色、サイズ、何をとっても最高に南米らしいカッコいい魚ですね。

実は、パラグアイ滞在中に縁あってネグロ川の現地情報を熟知している方に色々と相談する機会があったのですが、「とにかく今は釣れないから来ない方が良い」と何度も言われてしまいました……。

この時期は乾季の終わりで、年によってはまだ釣れることもあるみたいですが、今年はどうやら雨季の到来が早く、すでに増水し始めているとのこと。

滞在中も一日ごとに数十センチほど水位が上がっていました。

ツクナレ・アスーのようにストラクチャーを好む魚は、川が増水し森林が水に浸かると、木々の奥の奥に入っていってしまいます。

魚が分散し魚影が薄くなるだけでなく、そもそもルアーで狙える範囲に魚がいなくなってしまうとのこと。

絶望的じゃん……。

パラグアイ残留でドラードをもっと長い期間狙うか、それともブラジル国内でブルー・ピーコックなど別種を狙うか、など色々と検討しましたが、やはりツクナレ・アスーはどうしても釣りたい魚種の一つなので一か八かで行ってみることにしました。

大好きすぎて、リュックにステッカー貼っているくらいです笑。

到着翌朝、早速ボートマン探しに取り掛かります。

“旅的”個人釣行スタイルで避けては通れない、「ボートマン探し」なるものに初めて挑むのでかなり不安がありましたが、朝メシを食べていたときに話しかけたおっちゃん経由で色々と話が進み、1時間後にはあっさりと役を引き受けてくれるボートマンが見つかりました。

やはり釣り客が多い町だと話が進みやすいですね。

ボートマンとグーグル翻訳経由で相談し、小塚さんのアドバイスも取り入れ町からほど近い支流をひたすら遡上してみることに。

増水時の今、町近くのエリアは水浸しで話にならないので、とにかく川を登り標高をあげることによって増水の影響が少ないエリアを探す作戦です。

雨あとの渓流釣りと同じ発想ですね。

非常に合理的なプランなのですが、支流を遡上しまくるためには必然的にガソリンが必要になります。

今回は5日間の日程で、ガソリン代だけで9万円分買いました……。

その他、諸々含めると計17万円ほど。

国内なら某最果て諸島に遠征できますね笑 

とはいえそれは、仲間との割り勘や、先人の敷いたレールの上で、ならばの話。

見知らぬ土地への単独行とは、基本的に“割に合わない”もの。

一方でできる限りの事前手配(日本の旅行会社を介した事前手配)でピーコックバスを釣ろうとすれば、昨今100万円はかかるので、格安といえば格安です。

もちろん支流沿いには町や村はないので、ここに来て人生初のジャングル泊。

ボートマンと売店で大量の水と食料を買い、準備に取り掛かります。

ここで、問題発生。

マナウスでの空港でキャッシングを断念していたため、この時点で手持ちのレアルをほぼ使い切ってしまいました。

ボートマンへの支払い、ボート代などは現金のみ受付とのことで、このままでは払うことはできません。

ボートマンに案内されてATMに向かいますが、なぜかカードが認証されず現金をおろすことができませんでした。

仕方なく、宿のオーナーにお願いしてクレカ払いで宿に入金し、その分のお金(ー手数料)を現金で頂く、という外道な方法で現金をゲットできました。

多少レートが高くても、奥地に行くまでには必ず現金はおろしてから行くべきだなと痛感しました。

買い出し後は、暇なので宿前のネグロ川でライトゲーム。

試しに極端に小さく作ってみた「HYDRO」の75mm版プロトを通してみるとピラニアっぽいのがワンバイトだけありましたが、その後は何もなし。

やはり増水の影響で魚が散ってしまっていたのかなと思います。

ホテルで入念に準備を進め、翌日からの釣りに備えます。

夜はなかなか寝付けず、町を散策してみることに。

油断大敵ではありますが、さすがに田舎町は都市に比べると安心感があります。

地元の青年がぶっこみ釣りをしていたので、バケツを覗かせてもらいました。

多種多様なナマズ類。

フライにして食べるそうです。

翌朝、ついにアマゾンのジャングルへ出発します。

大量のガソリンを船に積み込み、いざ出発です。

下流域はビシャビシャ……。

タックルは「HUNTERS HT-6/7」のPE4号セッティング。

一般的なペンシルやジャークベイトから、ビッグベイトまで扱える便利な1本です。

ピン打ちなので、ショートモードの6ftで。

状況が読めないので、まずはモンキスで開発中のビッグベイト、「HYDRO」の200mmプロト(以下HYDRO200)で挑みます。

渋い状況だからこそ、デカいルアーの集魚効果に期待したいところです。

下流域を探っていきますが、全く反応がありません……ボートマンは小型のジャークベイトやフェザージグ、ワームなどで攻めますが、フィネスなアプローチでも反応は無し。

相当状況が悪そうです笑。

昼休憩がてら、夜のナマズぶっこみ用に餌を使ったピラニア釣りを試しましたが、それすらも不発。

想像していたアマゾンとは全く違う……。

下流域は絶望的な状況なのがわかったので、とにかく上流に向けて走ります。

夕方には雨雲が迫ってきたので、急いでキャンプ地を設営します。

設営後、暇なのでキャンプ地前で、「Dear Monster MX-5S」にPE1.5号のパワーフィネスタックルでAR-Sスピナーを流していると、浅瀬で何かがヒット!!

南米版ダツ、ビックーダが釣れました。

赤い尾びれが特徴的ですね。

夕ご飯はビックーダとチキンのロースト。

焼いている間に爆雨が訪れて、火が消えかけたりしましたがなんとか焼きあがりました。

ご飯を食べ終わり寝る準備に取り掛かると、悲しい事実が発覚。

僕の分のハンモックが無い….…。

ボートマンにグーグル翻訳経由で「ハンモックのレンタルも宜しく」と伝えていたはずですが、恐らく翻訳ミスで伝わっておらず。

ハンモックレンタル代も渡していたはずなんだがなぁ……。

仕方なく地面で寝ることに。

幸い、砂浜での就寝なので虫はそこまでいませんでしたが、それでも夜中に時折アリが体に登ってきて起こされました。

それ以上に、蒸し暑いジャングルにおいて、背中を地面につけて寝ていると背中側だけ物凄く蒸れるので、それも睡眠を大きく阻害する要因となりました。

ジャングルから帰ってきてから町でハンモックを買いましたが、金額はたった3000円程度でした。

南米のジャングルに行かれる方は、奥地への出発前に購入してしまうことをお勧めします。

上流域は蚊がたくさん居たので、蚊帳も必須アイテムですね。

翌朝は宿前ライトゲームで青みが強いピラニアをキャッチ。

初ピラニアだったので、かなり嬉しかったです。

朝ごはんはビスケットとツナ缶。ジャングルで食べるとなぜかめちゃめちゃ美味しい。

午前はひたすら遡上。

昼休憩にはブラジルの大業料理であるフェジョアーダ(豚ホルモンと黒豆の煮込み)の缶詰を頂きました。

登っても登っても、ずっとこんな感じ……水位が高すぎる……。

途中、実績ポイントで止まってアスーを狙いますが全く反応なし。

フェザージグを入れても食いません。

夕マズメはまたしてもピラニアをキャッチ。

少しサイズアップしたので、食べてみることに。

MX-5S」は食料確保に大変役立ちました。

状況がわからない海外での釣りにおいて、とにかく魚を触りたい場合は反応を得やすいライトタックルは必須ですね。

癖もなく普通に美味しい白身魚という感じでした。

この日の寝床は、多少工夫して船の座席を取り外してクッション代わりにしてみましたが、クッション内に染み込んだ雨水が少しずつ染み出てきて背中がびしょびしょになりました笑。

翌朝は、少し遡上した後に本流からラーゴに流れ込む分流を狙うことに。

かなりの激流の中を、フェザージグで探ってみるとガツンとヒット!

念願のテメンシス!

ただ、小さい……いわゆる白い斑点が特徴的なツクナレ・パッカ(パッカ・アスー?)ですね。

これがもっと成長すると、憧れのツクナレ・アスーのあのカラフルな魚体に変わるみたいです。

その後、別の分流で大型個体がヒット!

ドラグ調整をミスっており、ガンガン走られたのちに針が伸ばされてバレてしまいました……果たして念願のツクナレ・アスーだったのだろうか?

悔しい気持ちを抑えながら、引き続きフェザージグのリフト&フォールで探っているとまたしてもヒット。 

上がってきたのは、先ほどよりはアスー寄りなパッカ・アスーでした。

カッコいい!けど惜しい……。

もちろんトップのド派手なバイトに比べると見劣りますが、見えない場所でヒットし、手元にいきなり衝撃が伝わるフェザージグの釣りもドキドキして楽しいですね。

もちろんアスーが本命ですが、パッカ・アスーもなかなかカッコいい。

その後はラーゴに移動し、ツクナレ・ボーボレータをキャッチ。

「ボーボレータ」はポルトガル語で蝶々という意味みたいです。

その名前にふさわしい美しいカラーリングですね。

その後もボーボレータらしいバイトがありましたが、すべてフェザージグの落ちパクでした。

生半可なキャストでは反応せず、木の奥の奥にキャストが決まった時にだけ反応してくれる、極めて純粋なゲームフィッシングという感じで楽しかったです。

この日が旅の折り返しなので、日程的に行ける限りの最上流まで行きました。

さすがに下流と比べて水位は低かったですが、反応はイマイチでした。

本当の再上流に行くにはもっと大量のガソリンと時間が必要そうですね。

さすがに一人だと金額的に厳しいので、次は相方を見つけて再上流アタックをしてみたいと思っています。

夜ご飯には先ほど釣ったボーボレータを頂きます。

臭みはなく、多少脂も乗っていて美味しかった記憶ですが、きっと日本で食べても感動はないと思います笑。

ジャングル奥地で食べると絶品でした。

この段階で、持参していた10Lの水を消費してしまったため、ポータブル浄水器を試してみました。

99.9%の汚れを除去してくれるみたいですが、アマゾンのブラックウォーターの色味はしっかりと残っていました(笑)

お茶を常日頃飲んでいる民族なので、特に気になりませんが。

味はほんのりまろやかだった気がします。

下流域ではほとんどいなかった蚊ですが、何故か上流域にはおびただしい数いました。

5秒に一回は「プーン」という音が聞こえてくるので全く寝れず、音楽を聴きながら蚊をはたくためにタオルを振り回し、ひたすら星空観察をして夜明けを待ちました。

アマゾンのジャングルの奥まで来たので夜空を邪魔する明かりは一切なく、人生で一番綺麗な星空でした。

一睡もせずに夜が明け、朝ごはんタイム。

朝からしっかりと火を焚いてくれるシゴデキボートマンでした。

この日からは町に戻るために下りながら釣りをしていきます。

朝一は反応がなく、昨日反応が多かった中流域まで下ることに。

ラーゴの立ち木を狙っていくと……。

この旅で最大サイズのパッカ・アスー。

体色は以前釣った個体よりもパッカらしい茶色ですね。

必ずしも体のサイズと模様や色は対応していないみたいです。

ブラックウォーターへの見事な擬態ですね。

その後も探っていきますが、一度だけアスーっぽい個体がボート際まで水面を割りながらフェザージグを追いかけて来たのみでした。

この日のキャンプ地の砂浜は黒い水に真っ白な砂浜という組み合わせで、異世界感がすごかったです。

最終日は移動がメイン。

下流域の有望エリアを探っていきますが、やはり水位が高すぎてノー感じ。

食料が尽きてきたので、余っていたリンゴで空腹を満たします。

この日はワンバイトも取れず、夕方ごろに町に戻りました。

久しぶりの文明。

コーラで泣きかけたのは人生初でした笑。

夕飯は豪華にステーキ。これで1000円だったので、やはり南米の肉は安いですね。

町に戻り、商店街を散策していると売店を経営する日系ブラジル人の親子と仲良くなり、車に乗せてもらって町を案内してもらいました。

異国の地でビジネスを経営して成功させている日系の人たちがいるというのは、なんだかとても嬉しいですね。

最終日の朝はお土産探し。携帯修理屋さんに何故かあった中古ルアーコーナー。

一個700円でした。

記念がてらにビッグスイッシャ-を買って帰りました。

帰りはマナウス名物のハンモック船に乗ってゆったりと帰りました。

謎に日本語が喋れるおじいと仲良くなり、人生についてのアドバイスをたくさん頂きました。

下船直後にお別れの挨拶をしに行こうとしたら消えていて、幻だったのかなと思ったりもしています笑。

そのほかにも、麻薬捜査班が途中でフェリーに乗り込んできたりと、色々と面白いことがありました。

そんなこんなで無事マナウスに帰ることができました。

この時点で南米滞在22日目でしたが、なんと残りまだ半分以上も残っているという、自分で計画しておきながらも引くほど長い日程でした(笑)

【ネグロ川釣行まとめ】

事前情報の通りかなり渋い状況でしたが、ひとまず目的の魚種(テメンシス)を釣り上げることができて嬉しかったです。

ただ、やはりパッカとアスーでは大きく異なるので、アスーはリベンジ必須ですね。

17万円という大金(学生にとっては)をはたいて、とにかく遡上しまくれば釣れるだろうという舐めた考えは見事に失敗し、アマゾンの広大さにただただ圧倒された5日間の釣り旅でした。

どの釣りもそうですが、やはりシーズンは大事。

いくらポテンシャルが高いフィールドでも、外れの時期に行くのはナンセンスですね。

これを痛感できただけでも、価値ある遠征だったかなとは思います。

次なる目的地は、釣りの楽園という噂のガイアナ、エセキボ川。

小塚さんと合流して、南米オールスターを狙いました。

そちらの様子は「Chapter 3/ガイアナ編」以降でまとめていきます。

ぜひご覧ください!

<関連ページ・レポート>

大学入学時に3Dプリンターを購入、以後3年間ルアー設計に明け暮れてきた頭脳派ルアークリエイター。都心への通学に際しモバイルロッドを導入、机上の空論ではなく、日々のアーバンフィッシングでトライ&エラーを繰り返す。2023年、講義中に閃いた構造アイディアを検証するため、ビッグベイトシーバスの世界へ。先入観に囚われない柔軟な発想と、自ら生み出したルアーの力で、初年度から高実績を重ねている。長期休暇は離島へのロックショア釣行など日本全国へ遠征、在学中に海外への挑戦も計画中。