自作3Dプリンタービッグベイトで南米縦断旅(Chapter 1/パラグアイ・パラナ川編)

こんにちは!大学生テスターの禾です。

今年の2月~3月に掛けて南米で釣り旅をしてきたので、その様子をお届けします。

日程は46日間の長期スケジュール。

南米大陸の南寄りにあるパラグアイから旅を始め、その後はひたすら北上し、ブラジルとガイアナを訪れました。

そんな長旅のうち、本記事(Chapter 1)では1カ国目のパラグアイでの旅の様子を綴ります。

航空券代が馬鹿にならない今の時代(乗り継ぎ3回の格安ルートでも往復で27万)。

「せっかく南米まで行くなら気になる場所は全部回ろう」という極めて単純な理由で長期日程を組みました。

旅の主目的は、現在モンキスで開発中ビッグベイト、「HYDRO」(ハイドロ)のテスト。

小塚さん発案のルアーですが、その時点でのプロトは全て私の部屋の3Dプリンター生まれでしたので、他にも自分発案で作っていた別ルアー含め、「“自作”3Dプリンタールアーだけ持参して、南米を釣るぞ!」との意気込み。

真に必要なら現地でも売ってるはず……スピナーなど金属モノ(3Dプリンタで作れない)は荷物の隙間に詰め込んでいきます笑

ただでさえ持ち歩ける荷物が少ない「バックパックスタイル」の旅でしたが、リュックには大量のプロトを詰め込んで、本気で挑みに行きました。

そのせいで、パンツやタオルなどは最低限しか持って行けず(笑)

行きのルートは乗継2回、36時間。

成田→ロサンゼルス→パナマ→サンパウロという経路でした。

500mlの水が700円という米国の物価の高さに驚愕したり、パナマ乗り換えがギリギリだったので空港内でダッシュしたり。

Visa関連で色々不安はありましたが、特にトラブル無くサンパウロに到着しました。

一人旅はメリットも色々ありますが、こういう長時間移動は話し相手が居ないと暇すぎる……。

ブラジルに入国し、早速釣り場への移動を開始。

人生初の非英語圏。

母語が強いポルトガル語、スペイン語圏は英語話者が本当に少ない……一ヶ月ほどDuolingo(無料アプリ)で勉強したポルトガル語は全く使い物にならずでした笑

地下鉄でチケットを購入するだけでも一苦労。

なんとか夜行バス乗り場に辿り着き、ここからは16時間のバス旅でブラジル・アルゼンチン境界付近のイグアスに向かいました。

南米の夜行バスは正直ピンキリですが、とりあえずまともそうな大きめな会社のチケットを選べば大失敗はしないと思います。

今回は6000円ほどで、セミフラットシートでした。

日本の夜行バスよりも快適でした。

イグアスに到着し、まずはプチ観光。かの有名なイグアスの滝を訪れてみました。

なかなかの迫力。

周りはカップルか家族連れしかいない……。

そのまま陸路で国境を越え、隣国パラグアイに入国。

国境を越えると急に言語が変わるのは、やはり島国出身の身からすると不思議な感覚です。

道路の質や町の雰囲気も一気に悪化して、南米先進国から最貧国に入国したんだなという実感が湧いてきます。

ホテルまでは地元のタクシーを使ってみましたが、見事にぼったくられました。

目的地をグーグルマップのピンを使って明確に伝えたはずなのに、違うホテルへ連れて行かれて、訂正してなんとか目的地に連れて行ってもらうと倍の料金を取られました……銃社会なので強く言い返す事も出来ず。

その後は一度もタクシーは使わず、UberやBolt と言ったカーシェアサービスを利用しました。

料金はタクシーより安いですし、現金でのやりとりが無いので安心です。

ここから数日お世話になる宿に到着。

翌朝からようやく釣り開始です。

このパラグアイで狙う魚は、かの有名なドラード。

黄金に輝くあの魚体、どうしても自分の目で見てみたいです。

アルゼンチンの方が釣れている情報が多いイメージですが、あえて情報が少なめ、かつ物価の安いパラグアイを選んでみました。

(「パラグアイ」という国前の響きが好きなので選んだというのもあります笑)

まずは宿付近の河川でおかっぱりで狙ってみます。

真夏に来てしまったので、気温はデフォルトで37℃、暑い日は39℃。

真冬の日本から来ていきなり酷暑なので、熱中症に気を付けながら釣り歩いていきます。

足元にドラードの稚魚がたくさん居て、期待が膨らみます。

沖合にはドラード狙いっぽい泳がせ釣りの船が並んでいました。

まずは状況を探るために、200mmサイズの「HYDRO」で探っていきます。

早速ルアーと同サイズのドラードらしき魚のチェイスがありましたが、ビッグベイトにバイトしてくれそうなサイズの個体がいる気がしません……。

他にもクランクやミノーで探りますが、反応は得られず。

もう帰ろうかなというタイミングで、地元の釣り人に遭遇。

言語の壁はありますが、お互い釣果写真などを見せあって仲良くなりました。

折角なのでもう少し彼らと一緒に粘ってみることに。

浅瀬でAR-Sスピナーを通してみると、さっそくバイトが!

ドラードじゃない笑

パイクシクリッド(クレニキクラ)が釣れました。

現地では”boco de goma”(ゴムの口)という名前で呼ばれていました。

目を縦断する黒い線がカッコいいですね。

全然知識が無かったのですが、宿に戻って調べてみるとアクアリスト界隈では大人気なお魚らしいです。

その後は熱中症らしい症状が出てきたので、釣りを切り上げることに。

Uberが捕まらなくて困っていたら、釣友がバイクに乗せて宿まで送ってくれました。

優しい……。

15時ごろに宿に戻ると、旅の疲れと暑さで気付いたら爆睡。

起きたときには23時でした笑

お腹が空いたので、宿から徒歩数分の売店に向かおうとしましたが……。

夜の路地は野犬だらけで、しかも積極的に追いかけてくる明らかに危なそうなタイプ。

まだ南米に慣れていなかったのもあり、ビビってしまい売店にたどり着けず。

宿にゼーゼーしながら帰ると、宿主のおばちゃんが「どうしたの?」と声をかけてくれて、事情を説明するとタダでサンドイッチを作ってくれました。

優しい……。

人生トップクラスの美味しさでした笑

あとで、調べてみたら、自分が滞在していたエリアは外務省の危険度ランク2のエリアでした。

参考までに、ブラジルやガイアナは全域でランク1なので、南米の中でもまぁまぁ危険なエリアだったわけですね……。

翌日は、一度体勢を整えるために町に買い出しに行きました。

ついでにお肉を食べたり笑

このときのUberの運ちゃんが、本業で釣具屋さんの店員をしているとのこと。

買い出しのついでにそのお店に行ってみました。

ラパラ、ストーム以外はほぼパクリ品笑。

パラグアイの釣り人はアスーを狙いにアマゾンに遠征する人も多いみたいです。

その日の夕マズメは、衛星写真で目星をつけていたチャラ瀬ポイントに向かってみました。

しばらくやってみるものの、反応は無し。

暗くなると危ないので、早めに切り上げて帰ろうとすると、なぜか「konnnichiwa」という声が。

振り返ると、カタコトですが、日本語が話せるパラグアイ人の青年Rさんが。

どうやら、日本のサブカルが好きで、独学で日本語を覚えたとのこと。

パラグアイでは珍しく英語も達者な方だったので、たくさんお話しました。

彼曰く、どうやらここは日が沈む直前にドラードのボイルが連発するとのこと。

そして、小型個体が多いのでフェザージグが良いとのこと。

半信半疑でしたが、もう少し粘ってみることに。

30分後、日が地平線に入り掛けたタイミングでいきなり目の前でボイルが。

それが合図かのように、あたり一面でボイルが始まりました。

しかも、水深の浅い目の前のチャラ瀬で、魚体が水面を割りながらのボイルで大興奮。

紛れもなくドラード。

大迫力。

Rさんから貰ったフェザージグでボイル打ちを開始するとポツポツとアタリが!

ただ、タイミングが合わないのかなかなか掛からない……。

この日は結局3バイトノーフィッシュ。

ただ、魚から反応を貰えたので大満足でした。

自分なりの小さな開拓が成功(?)したという嬉しさは、ガイドフィッシングでは味わえないですね。

帰りはUberを呼ぼうとしていたところ、Rさんが快く宿まで送ってくれました。

みんな優しすぎる……。

翌日は朝の暗い時間帯から同じポイントに入り狙いますが、ポツポツとボイルがあるのみで反応は得られず。

昼間は熱中症を避けるために宿で待機し、夕マズメには仕事終わりのRさんと同じポイントで合流しました。

昨日と同じパターンで、またしてもボイルが連発。

この日は2バイト取りましたが掛かりきらず……Rさんは1本掛けたものの、浅瀬の岩場に擦られてラインブレイク。

ちなみに、この日はヒヤッとするアクシデントが。

ダム下河川でのウェーディング。

バックパッカーにとって命の次ぐらいに大事なリュックですが、重たいので河原に放置して釣りをしていました。

釣り開始30分ほどすると、20mほど上流側にいるRさんが僕のリュックを置いていたあたりを指差しながら何かを叫んでいます。

ふと振り返ると、さっきまでリュックを置いていた場所は水に浸かっており、リュックは下流のアルゼンチン方面に流され始めていました笑

ダム下河川なので、何も警報などなく放水量が増加したのでしょうか……。

Rさんのおかげで無事回収できましたが、もし彼が気付かずそのまま流されていたらと考えると……中には南米訪問目的の「ハイドロ」のプロト各種サイズはもちろん、重要な身分証明書など色々と入っていたので、失くしていたらかなりヤバかったです(笑)

バックパッカーにとって最も重要なアイテムと言っても過言ではないリュック、以後はもう少し気をつけて保管するようにしていました。

この場所で毎日同じ釣りをやっていれば、確かに魚からの反応は得られる。

もしかしたら明日、釣れるかもしれない。

ただ、「せっかくの大国パラグアイまで来たのに、宿周辺のエリアで完結するのは勿体ない」。

そんな思いが日に日に増していきました。

翌日、意を決して移動をすることに。

Rさんにお勧めされた、ドラード釣りで有名なとある田舎町を目指しました。

色々とお世話になった宿の方々とはお別れ。

バス乗り場まで送ってもらいました。

目的の町までは、距離にしては車で6時間ほど。

てっきり1日あればとたどり着けるかなと思っていましたが、バス乗り場で確認すると直行するバスがありませんでした。

夜行バス乗り場で怪しげなおっちゃんに両替をしてもらい、パラグアイの通貨グアラニーを補充して経由地となる都市に向かう夜行バスに乗車。

待ち時間は同世代のパラグアイ人と、グーグル翻訳経由でお話できて楽しかったです。

冷製マテ茶、現地名「Telele」をお裾分け頂きました。

別の都市を経由する2日間の長時間移動の末、ようやく目的の町に辿り着きました。

エアコン無しの6時間バスはなかなかしんどかったです……。

一泊$30(5000円弱)の釣り宿。

なんとコーラ&ビール飲み放題、ドラードのフライ食べ放題というかなり豪華なプランでした(笑)

田舎町だからこその物価の安さですね。

ドラードのフライ、絶品でした。

夕マズメ、宿前でおかっぱりで狙ってみますが、ワンバイトのみ。

なかなか難しい……。

夕ご飯には、大型ナマズのスルビ(ピンタード)の煮つけを頂きました。

絶品という噂でしたが、期待しすぎたのかあまり感動しませんでした(笑)

そして、ここで初めてドラードとご対面。

憧れの魚が大量に冷凍庫にぶち込まれていて、少し悲しい気持ちにもなりました(笑)

この日はブラジルからの釣り客がたくさん居て、英語話者の方に仲良くして頂きました。

色々と状況を聞き出すことができ、どうやらおかっぱりで狙うのはなかなか難しいとのこと。

翌日はボートを手配することにしました。

宿のオーナーには散々泳がせ釣りをおすすめされましたが、頑なに断ってルアー釣りを選択しました。

いざ出発!

郷に入れば郷に従えということで、まずはボートマンに言われた通りにラパラのSSR9でチャラ瀬を流しながら釣っていきます。

開始早々、待望のヒット!!

あがってきた魚体は黄金に輝くあの魚!

ドラードか?

なんか違う(笑)

ドラードでは無いけれど、色も形も超絶カッコいいこの魚。

現地名「サルモーン」こと、ピラカンジューバの大型個体でした。

この体形の魚なので、めちゃくちゃ引きが強かったです。

その後も2匹の小型のピラカンジューバが釣れましたが、なかなか本命のドラードが姿を現さないため焦り始めます。

気付けば昼休憩の時間に。

中州にキャンプ地みたいのがあって、そこでバーベキューを食べました。

正直、この時間も釣りをしたい気持ちでしたが、食べてみると激ウマだったので後悔はありません(笑)

パラグアイの田舎町に一人で来る日本人はあまりいないみたいで、他の釣り客は僕に興味津々(笑)仲良くして頂きました。

昼休憩を経て、いよいよ後半戦。

午前とは大きくポイントを変更し、まさかの岸際のストラクチャー撃ちをすることに。

ドラードは激流に潜むイメージでしたので、正直釣れる気がしませんでしたが、ここはボートマンを信じてみることに。

岸際にSSR9を投げて巻いてくると、「ドン!!」とひったくられました。

何度も水面でジャンプを繰り返す黄金の魚体。

これは紛れもない!

もたつきながらもなんとかネットイン。

小型ではありますが、念願のドラード!

あまりにもカッコいい。

ロッドはテスター契約前、デザインにも惹かれて購入した「HT-6/7」

何気に魚体も竿もルアーもオレンジでした(笑)

最後は水中での写真。

嬉しかったので写真多めです(笑)

こういう瞬間のせいで、釣りは一生辞められないなといつも思います(笑)

現地スタイル(現地購入ルアー)で無事に一本釣れたので、今度は「HYDRO」(“自作”ビッグベイト)で。

開始早々、船べりでの食い上げバイト!

しかし掛からない….…。

ビッグベイト、めちゃくちゃ有効なのでは?

その後もストラクチャー際で計4発ほどありましたが、残念ながら一度もフックアップせず。

ヘッドショットに拘っていましたが、ただでさえ顔回りが硬くフッキングしにくいドラードに関してはテールやベリーにも針を付けて絡めとったほうがよかったかもしれません。

ただ、ルアーを確認してみると、やはり顔回りを中心にバイトの跡が。

“噛みつき系”や“おしりかじり虫”と呼ばれるカラシンでも、頭は狙っているっぽい?

そんなこんなで、消化不良気味のままこの日の釣りは終了。

39℃の灼熱で一日投げ倒したので、しっかりと熱中症になりました(笑)

予算の都合で、翌日はおかっぱりを選択。

旅の次の目的地マナウスへの飛行機が差し迫っているので、この日がこの町での最後の釣りです(なんせ、ブラジル国境へ帰るだけでも丸二日掛かるので……)

おかっぱりで狙うには広すぎたか……。

体調を考慮して休憩を挟みながらランガンしましたが、反応は得られず。

悔しいですが、タイムアップとなり翌朝には町を去ることに。

帰りは首都のアスンシオンを経由することに。

アスンシオン行きのバスは道中でギアがぶっ壊れて立ち往生。

外は39℃の灼熱、現地民もブチギレの中、運転手はのんきに立ちションしてました(笑)

翌日はブラジル国境まで無事に戻り、この日は夕マズメだけ探ってみましたがノーバイト。

沖で泳がせ釣りをしていたおっちゃんがデカめなドラードを釣ってました。

翌日は物価の安いパラグアイの都市で、次に滞在するブラジル、マナウスでの釣りに向けて色々とアイテムを補充。

レバノン系の店主に気に入ってもらい、何故か昼ご飯をご馳走して頂きました(スフィハというレバノン料理らしい)

ちなみに、この商店街の両替所でドルをブラジル・レアルに両替しようとしたところ、多少汚れや破れがある紙幣は割安(適正レートの50%-75%)でしか替えてもらえず……。

.南米旅に行かれる方は、必ず綺麗なドル札を準備していきましょう。

そんなこんなでパラグアイを後にし、次なる目的地マナウスに向けて、飛行機が出発するブラジル首都サンパウロの空港に向かいました。

【パラグアイ編まとめ】

1週間以上の滞在の中で、本命の釣果はドラード一匹という少し残念な結果となりましたが、一匹とゼロ匹ではまた大きく違うので、とりあえず魚体を目の当たりにできてとても嬉しかったです。

一番の後悔は、「HYDRO」のプロトで魚を取りきれなったこと。

思い返せば、予算は後からどうにでもなることなので、田舎町での2日目もケチらずボートを手配しておけば、間違いなくビッグベイトで一本とれていたと思います。

ただ、ドラードが間違いなくこのサイズ感のルアーに好反応を示すことはわかったので、次こそはアルゼンチンかボリビアなど別のエリアでリベンジしてみたいと思っています。

何はともあれ、治安ヤバめなエリアでトラブルなく耐え抜いたということだけでも、少しばかり自分に誇りをもっていきたいと思います(笑)

次の「Chapter 2/ブラジル編」では、マナウス周辺、ネグロ川での釣りについてまとめます。

ぜひご覧ください!

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大学入学時に3Dプリンターを購入、以後3年間ルアー設計に明け暮れてきた頭脳派ルアークリエイター。都心への通学に際しモバイルロッドを導入、机上の空論ではなく、日々のアーバンフィッシングでトライ&エラーを繰り返す。2023年、講義中に閃いた構造アイディアを検証するため、ビッグベイトシーバスの世界へ。先入観に囚われない柔軟な発想と、自ら生み出したルアーの力で、初年度から高実績を重ねている。長期休暇は離島へのロックショア釣行など日本全国へ遠征、在学中に海外への挑戦も計画中。