コロナ禍に翻弄された大学生活……卒業旅行はアマゾンへ。ガイアナ3部作・後編(アイマラ編)

ガイアナ3部作・中編(シャウー編)の続きになります!

5日目。

エセキボ釣行中2度目の大移動。

ジャウーを釣った本流の岩盤エリアから上流へ戻り、途中にある支流に入って支流最上流部を目指します。

本流といえどもちょくちょく荒瀬が点在する乾期のエセキボ川。

上の写真はNelsonとGarnerだけで下っている時の写真。

戻る時はここを船外機1つで上るという事なので操船する側も神経を使うみたいです。

これは釣り中に荒瀬を上っている時のものですが、泳げないカナヅチの自分からすると1番死を覚悟する瞬間でもありました…。

しかしそこは豊富な知識と高い操船技術を持った村の若きエースNelson、「No Problem!」と難なく突破してくれます(笑)

支流に入る前の最後の荒瀬で休憩。

竿を出してみます。

激流のヨレにペンシルを通すとド派手なバイト!

上がってきたのはピーコック!

でも少し柄が違うぞ……これは!

数年前に新種として認定された第16のピーコック、キクラ・カタラタエ!

ルアーは出国前に託された友人作のペンシル、「MX-6+」の扱いやすさも相まって操作感抜群!

オセラリスは止水域やラーゴでよく釣れていましたが、カタラタエは激流で釣れる印象を受けました。

同じエセキボで上手いこと棲み分けできているサマは、日本の渓におけるイワナとヤマメの関係を彷彿とさせますね!

早くも日が傾き始めた頃、支流の合流点に到着。

思った通りかなり減水している様子。

ピライーバの実績もあるという支流に入ってすぐの場所でエサを投入。

ピラニアの猛攻をかいくぐって竿先に伝わるバイトを掛けにいくと、上がってきたのは “スルビン”ことタイガーシャベルノーズキャット!

今回4種目のナマズです。

この先もスムーズに航行できるとは限らず最終目的地に着くまでに日を跨ぐ可能性もあるとの事なので早々に見切りをつけ、先を急ぎます。

支流をしばらく上ると二股の分岐点に到着、目星を付けている方に入りさらに先を進みます。

その先で辿り着いたのが大きなチャラ瀬。

しばらくチャラ瀬が続くようで、どうやらこのエリアが魚止めになっているようです。

あまりの浅さに船外機のスクリューがあたるどころか船底が岩に乗り上げてしまうので、全員ボートからおりて手押しを余儀なくされます。

一見、日本の河川の中流域似ているエリアですが、1つ違うのが淡水エイ(ポルカ)の存在。

川底が見えるようになって初めて気がつくのですがそこら中にいます!(エサ釣りでも何度か釣れたのですが写真はありません、スミマセン)

「危ないからお前らは岸を歩いてろ!」

そう言われたので岸からNelson達を見守りながら、岸沿いを辿って上流を目指します。

1番長いチャラ瀬をのぼりきったところでキャンプを設営し、この日はそこで夜を明かす事になりました。

前日に釣ったドラムフィッシュ(淡水ニベ)を保存食にするために燻製にしていたので、それを再度加熱したのち身をほぐしていただきます。

これがかなり美味!

冷蔵設備も氷もない灼熱のジャングルの奥地。

燻製にして保存するアイデア、素晴らしいですね。

6日目。

支流をさらに進み、最終目的地へ。

丸1日釣りが出来るのはこの日が最後になります。

最後なのもありますが、短い日程の中この支流で1日やるために本流から往復2日かけてきたので夜も寝ずにやる覚悟です!

今回4カ所目のキャンプ地での設営も完了したので、夕飯確保も兼ねてピライーバ狙いで釣りに出かけます(設営と行ってもハンモックを設置できる木が無かったので、荷物をボートから降ろしただけ)。

着いたのは深場のポイント。

前日に船底が擦れるほどの浅場を上ってきたわけですが、その先は10m以上の水深がある深場エリアが点在しています。

ラーゴの様に完全に本流と隔てられてはいないものの、減水している支流ではこうした場所に取り残された魚達が大小問わずたまっているようです。

早速釣り開始。

エサは前日の夜にチョップ漁法(中編参照)で確保していたクッティーの頭。

着底後、ピラニアとはまたちがうコツコツしたアタリがありますが中々乗らず…。

エサのサイズを落とすとフッキング!

あがってきたのは、またもやタイガーシャベルノーズ。

しかし、前日に釣った横線が綺麗に入ったトラ柄の通常個体とは異なり、若干唐草模様になっています。

Nelson曰くどうやらタイプが違うらしく、後者は“カラパリ型“と呼ばれるタイプだとか。

レオパードほどでは無いものの非常に美味なナマズとの事なので、夕食用にキープしました。

一度キャンプ地に戻りGarnerに処理を託した後、再度出船です。

(釣ったナマズを捌くGarner。櫂をまな板代わりにするのは万国共通みたいです笑)

勝負は昼食後から日没にかけて。

ピライーバをしっかり狙えるのはこれが最後、ラストチャンスです。

本命ポイントで粘るもピラニア、小型ナマズ、淡水エイと外道が続きます……。

連日の疲れもあり、エサを投入した後に眠りにつきそうになった時に事件は起こりました。

まさに殺気が消えた途端(笑)

瞬く間に出るライン、本命のアタリです。

しかし、フッキングに入ろうとした瞬間「プツッ」と力が抜けました。

擦れる障害物も無いにもかかわらずパッスリ切れたのはPEの本線。

どうやら糸が走った瞬間ラインマーカーの色にピラニアが反応して噛みついた様子。

(まるで大阪湾のサバフグ!今後挑む方は単色ラインにしましょう……。)

その後アタリは途絶え、キャンプ地に撤収。

ピライーバは次回以降来たときに持ち越しとなりました。

煮込まれたタイガーシャベルノーズを囲み、ジャングル奥地最後の夜を過ごします。

食べ終えて皿を洗っているとNelsonが「Wolf Fishを狙いに行くぞ!」と出船の支度を始めます。

完全に忘れていたタライロンの存在。

キャンプ地の先を行くとタライロンしか釣れない楽園があるらしく、前回来たときは30lb overの超大物が上がっている場所なんだとか……。

真っ暗の中、座礁しないように前方と左右をライトで照らして注視しながら上流を目指します。

数十分ほどかけて行くと着いたのは岩盤エリア。

川のド真ん中に浮かぶ大きな岩に着岸。

夜になるとこの岩が小魚を追い込むタライロンの狩り場となり、盛んに捕食活動を行うみたいです。

(沖磯が良い釣り場になるのと同じ理屈かな?)

早速釣りの準備開始。

エサは現地調達、チョップ漁法かと思いきやNelsonが取り出したのは弓。

スピアフィッシングの様に使用する(矢に糸がついている)村人のメインツールらしく、これで魚や陸上動物を問わず狙うそうです。

上の写真は夜中に水辺で休んでいる大型の齧歯類を狙っている様子。(半矢になってしまったみたいですが、仮に仕留めていたらどうやって調理していたんだろう……)

数分もしないうちにそこそこ大きいピーコックを仕留めます。

直ぐに半身にして針を刺し、投入。

着底後間もなく、「ガツンッ!」という硬いバイト。

竿先を押さえ込むようにズルズルとラインが出て行きます。

アタリ方は間違いなくタライロンの様ですが、急いで合わせるもフッキングに至らず……。

これが何回か続いたので、着水後に水面をルアーのように引いてくるなどしてアプローチを変えてみます。

すると、ひったくるようなド派手なバイト!

フッキングも成功!

水深が浅い場所を暴れながら走り回る暴力的なファイト。話には聞いていたデスロールジャンプに苦戦します。

ファイトの末に現れたのは目を赤く光らせたシーラカンスの様な怪物。

サイズは勿論あまりの迫力に、この時の頭は真っ白。

顎が大きすぎてボガが上手に入らないので、陸にずり上げたのち尾柄を鷲掴みしてランディング。

気づいたら足が震えていました。

魚に対して恐怖を覚えたのはこの時が初めてです(笑)

私の腕と比較するとこの魚のヤバさが伝わるでしょうか?

淡水シーラカンスという呼び方はあまり好きではないですが、実際に目の当たりにするとそう呼んでしまうのもわからくもない……(この魚もカラシン目なので魚類の中ではむしろ進化した方)。

牙魚の代表種なだけあって歯がすごく、顎の力がとにかくヤバい!

狙って噛みついてくるらしく、Nelsonが今回唯一取り扱いに気をつけろと言った魚でもあります(笑)

飼育下のタライロンに噛みつかれた話は聞いたことあるけど、これに噛まれたらひとたまりも無いだろうな……。

迫力があり、かつエメラルドグリーンに輝いて美しい魚体を十分に堪能したのちリリース。

その後、最初に釣ったタライロンよりは小さいものの何匹か追加。

翌日村に帰る時のお土産用にキープしました(これもどうやら美味いらしい!)。

7日目。

いよいよ最終日。

朝方に少し釣りを楽しんだ後、村へと戻ります。

狙うはお土産用のドラムフィッシュ。

エサ釣りも飽きてきたので、深場にいるドラムをルアーでバーチカルに狙うことにしました。

ロッドは「MX-6+」。

キャスティングゲームだけでなくバーチカルな釣りとの相性も抜群です!

ドラムフィッシュはその名の通り浮き袋を使って鳴く魚。

どうやら水中で群れになって鳴くみたいで、Nelsonは耳を澄ませてドラムフィッシュがいる場所を探し始めました(笑)

その顔は真剣そのもの。

「この下にいるぞ」と言うので取り敢えずルアーを落としてみます。

音を出す魚には音が鳴るルアーを、という事で選んだのはラトル入りのTN。

ボトムを叩くとすぐに反応がありました。

良型のドラムフィッシュ!

その後はフェザーやジグにルアーを変えつつも同じような釣り方で入れ食い状態。

Nelsonは歩く魚探でした(笑)

お土産には十分な量も獲れたのでそろそろ終わりにしようかと思っていると、何やらドラムしては強い引きの魚がヒット。

あがってきた型もコンディションも良いパヤーラ!

今回のガイアナ釣行の締めくくりとも言える魚です。

カラシン目故に脂鰭を有した銀輪の美しい魚体は、どことなくサクラマスを彷彿とさせますね(顔はいかつすぎるけど!)

夕方には村に到着。

出迎えてくれた村の人に一週間の出来事を話すと、楽しそうに話を聞いてくれました(笑)

後片付けも済み、今回お世話になった2人とはここでお別れ。

ドラムフィッシュが良く釣れたルアーをプレゼントしたのち、何年後になるかわからない再会の約束して別れを告げます。

「また来る、必ず。」

翌朝、予め村人に手配してもらっていたバスに乗って村を後にし、国境の街レセムへと向かいました。

往路の越境でお世話になったガイアナ人に「戻ってきたらまた連絡しろ!」と言われていたので、レセムに着くなり直ぐに連絡。

一週間ぶりにレセムで一緒に食事。

越境手続にも付き合ってもらいブラジル側の国境の街、ボンフィンへ。

こんなに親身になってくれたのに別れ際はあっけなかったです(笑)

やっぱり外国人、わかんねーや……。

その後、ボンフィンから乗り合いのタクシーで急いでボアビスタに向かったのが功を奏してエセキボの村を出たその日中にボアビスタから出ているマナウス行きの夜行バスに乗車することが出来ました。

来たときよりもセキュリティが厳しくなっているような(同時期に南米に来ていた日本人アングラーがバスジャックにあって無一文になったのもちょうどこの時、明日は我が身です)。

翌朝、10日ぶりにマナウスに帰還。

久々のホテルのベッド、久々の肉にありついて生きている喜びを噛みしめます(笑)

本場のシュハスコがめちゃ美味しい!(ストップと意思表示しない限り部位ごとに肉がまわってくるので気がつくとお皿が肉で埋め尽くされます)

帰国まで残るは一週間。

釣りもお腹も満腹状態ですが、マナウスでゴロゴロするには勿体ないほどに日が余ってしまいました。

何か出来ないか模索していると、マナウスからネグロ川を上った先にあるアマゾンフィッシングの聖地バルセロスの調子が今年は良いという情報を入手。

船の就航日を考慮すると往復4日、釣りが出来るのは1日だけ。

元々バルセロスは次回南米に来たときに……と思っていましたが今回、1日でも釣りが出来るなら行くしか無いでしょ!

ということで即決。

次回来た時のための土台作りと思えば、仮に坊主でもノーダメです(笑)

そんなこんなで南米釣行は「ブラジル編」に続きます!

<旅データ(ガイアナ2024春期2人旅)>

◾️航空券(NY経由マナウス往復)  27万円/人

◾️ガイアナ釣行(マナウス起点約10日間)15万/人(2人で30万)

※マナウス-越境-エセキボ川の移動諸費往復 2.5万円/人

※エセキボ現地交渉ガイド-2人で36000円/日×7日間(コック付き、ハンモックキャンプ形式) 

※釣行合間のマナウスの滞在費は、1人5000円/日(個室ホテル+食事)。

※1ブラジルレアル=30円、1US$=150円(ガイアナでの支払いは米ドル若干割高だが現地通貨への換金手間を考えれば比べれば問題無いレベル)

以上、2024年春情報(物価、現地状況により変動)

<関連ページ・レポート>

大阪生まれの北陸育ち、友釣りアユから釣りをはじめ、サクラマスでルアーを覚えた異色の釣り原体験は、大学時代に南西諸島に移り住んで超マルチアングラーとして覚醒。モンスターキスが位置する富山にもルーツを持ち(小塚の幼稚園の後輩)、黒部川源流・標高2400m超の“日本最高のイワナ”から、ホタルイカパターンまで国内のニッチを語れる一方、アマゾンをはじめグローバルスタンダード(怪魚)の話もできる超新星。2024年夏以降は海外の大学院に進学、現地から情報発信予定。