コロナ禍に翻弄された大学生活……卒業旅行はアマゾンへ。ガイアナ3部作・中編(ジャウー編)

ガイアナ3部作・前編(ピラルク編)の続きになります。

前日にピラルクを釣って、迎えた3日目の朝。

「すぐ近くまでジャガーが来てたぞ!」と呼ぶGarnerの声で目が覚めます。

起きてすぐ写真フォルダを開いてピラルクの写真を確認し、夢じゃ無かったことを確かめました。

「ホントに釣ったんだなぁ……」

この日は小移動日、キャンプ地変更です。

 “Arapaima Camp(仮称)”を撤収し、ボートで1、2時間程下った先にある岩盤エリアへ。

川底の起伏により部分的に流れの速いところや遅いところがあり、大型のナマズが好んで生息するのだとか。

(砂浜が食事スペース、ジャングルの中が寝床)

キャンプ地はここ。

ジャガーが多く潜んでいるらしいので、“Jaguar Camp”と名付けました。

厄介な虫や蛇も多いので煙を焚いて追い払ったあと、木にハンモックを結びつけます。

設営完了後、早速ナマズのエサを確保しに出発!

ルアーはNelsonの指定で4g前後のスピナー、これを木の実や虫と勘違いして食ってくる魚を狙います。

たまたま日本からARSスピナーを持ち込んでいたのでワーヤーリーダーの先にそのまま取り付けました。

瀬の中をボートで流されながら、ひたすらスピナーを流します。

こんな釣り方初めて(笑)

そんな釣り方で釣れるのがこのお魚。

マトリンシャンです。

現地の人は“クッティー”と呼んでいました(かわいい)。

ナマズ、特にラウラウ(ピライーバ)やジャウーなどの大型個体に効くとの事。

内臓ごとブツ切りにした切断面の臭いを嗅がせて貰いましたが、まぁ魚が寄ってくるだろうと納得する臭いでした。

手返し良くクッティーを釣っていると、Nelsonの目の色が突然変わりました。

「パクーがいるぞ!」

目線の先をみると数匹の群れが背中を水面から出して泳いでいます、それも大きい!

近くに落とすと、即バイト。スピナーのフックが曲がらないように慎重にファイトしてキャッチ。

かなりパワフルな引きでした。

幼少期、「怪物魚を追え」の「局部を噛みちぎるパクーを追う」回をみて衝撃を受けた魚。

睾丸に噛みつく、ってのはどうやら木の実を食べる食性から派生した話みたいでした。

パクーはクッティーと同様ナマズ狙いに最適なエサ、加えて人間にとってもご馳走。

お隣ブラジルでは“タンバッキー”としてレストランに並ぶなど食用として人気な魚でもあります。

他にも釣れたのが、おなじみのシルバーアロワナ。

トップにめっちゃ出るものの中々乗らない魚、スピナーで一発でした。

この日釣った魚を持ってキャンプ地に帰還。

早速Garnerが美味しく調理してくれます。

アロワナを揚げ物、パクーはエサ用の半身を残して残りは煮込みました。

見た目はゲテモノ感満載ですが、めちゃ美味しいです。

優秀なコックもいるし魚さえあれば生きていける!

日も完全に落ちた夜、翌日に備えて仕掛けの準備をしているとNelsonがナタを持ってライトで水面を照らしながら歩き始めました。

足を止めたと思うと同時に水面に向かってナタを一振り!

魚が寝ているところを仕留めている様子。

(クッティーとはちょっと違う、現地の呼び名で“ヤカトゥ”という魚)

仮称“チョップ”漁法、ほんの数十分でこの量。

日中に釣りで狙う必要無かったんじゃ……(笑)

4日目。

十分な量のエサを確保したので、この日は一日中エサ釣り。

狙いの大型ナマズは夜がメインですが、日中でも狙えるとの事。

(ジャガー、ではなくジャガー“キャット”がお出迎え)

最初に向かったのは、岩盤に囲まれ川幅が狭くなっているエリア。

日本で言うと河川ビワナマのポイントに近い雰囲気です。

流心にクッティーの切り身を落とした後、ボートを岸に着けてアタリを待ちます。

「ギュッギュッ、ギューーーン!」

ナマズだと確信し、すぐさま優位な位置取りをするべくボートに乗り込みます。

あがってきたのは大型熱帯魚の人気者、レッドテールキャット!

別名「ピララーラ」の“アラーラ”がインコを意味している様に、グゥグゥと鳴くナマズ。

これまたアマゾンといえば!な魚、数あるナマズの中でも特に釣りたかったナマズです。

エサの再投入後、かなり大きなアタリがありますが魚の走った先が悪く痛恨のラインブレイク。

ポイントを変えます。

次に向かったのは狭くなっていた川幅が一気に開けて流れが淀む、いかにも魚がたまりそうな場所。

乾期で大減水している時ではありましたが、それでも深いところは水深が10m以上。

ただエサを放っておくのもつまらないので、切り身をシャクってバーチカルに誘い出してみます。

するとすぐに反応が!

あがってきたのは淡水ニベ。

「この辺はDrum fishが沢山釣れるぞ」と言わるもあまりピンときていなかったですが、やっと何のお魚かが判明。

浮き袋を使って鳴くのが名前の由来。

キャンプ地に帰還後、Garnerが捌いている途中でその“楽器”を見せてくれました(写真は撮り損ねました)。

ドラムの数釣りを楽しんでいた中ちょくちょく釣れたのが、モンキスロゴでお馴染みのヴァンパイアフィッシュ(パヤーラ)。

この“キバ”って感じが男心をくすぐる!

他にも釣れたのがこのお魚、レオパードキャット!

ジャガー分布域なのにレオパード(ヒョウ)柄なのね(笑)

ナマズの中でも特に美味らしく、釣ったレオパードは全キープでした。

日没。

日中エサにしつこくちょっかいを出してきてたピラニアも、日が暮れると一気に静かになります。

ピライーバとジャウーが動き出すので、隠れてしまうのだとか……。

絶好のタイミングなので夕飯前に出撃です。

真っ暗の中、Nelsonが記憶を頼りに船を進めます。

ついたのはピライーバの実績があるポイント。

エサを沈めた後、近くの岩にボートをつけて息を潜めます。

数十分ほど経った時、何の前触れも無くラインが一気に走り出しました。

「Lau Lau!」

そのアタリでNelsonはピライーバだと確信します。

しかし、間もなく本線からラインブレイク……。

急にラインテンションがかかった際に、手前の方でPEが岩に触れた事で切れた様子。

最大のチャンスを逃してしまいました。

夕飯時になったので、一行は撤収。

諦めきれない自分は戻る途中でエサを投入、そのまま糸を出してキャンプ地前にロッドをセット。

(イメージ図。明るい時に撮ったもの)

セットしたロッドを横目に、ディナーをいただきます。

キャンプ地でずっと留守番していたGarnerにお土産話。

ちょっと盛り上がった会話も落ち着き、静かになったところでドラグ音が鳴ります。

「ジーッ、ジーッ、ジーッ」

さっきのピライーバの時とは全く違う、ゆっくりとしたアタリ。

事前に聞いていた、ジャウーのアタリです!

フッキング後すぐにボートに乗り込みジャウーの走りへの追従に備えます。

ですが次の瞬間スタック。

食って間もなく岩の中に隠れた様子。

根(岩)に執着するナマズとのファイトは、まるで大型のハタと対峙しているかの様。

無理に糸を張らず、すぐにフリーにして向こうの方から出てくるのを待ちます。

しばらくするとラインが動き始めました。

「今だ!巻け!」

Nelsonの掛け声を合図に無我夢中でポンピング。

あまりの重量感に度々ボートから投げ出されそうになりますが、数分の格闘の末になんとか水面まで浮かせることが出来ました。

腹の中から人骨が見つかったことから“人喰いナマズ”とも呼ばれるジャウー!

ピライーバを狙っていたら釣れるだろうと密かに狙っていた魚です。

(「MX-9S」と)

頭部の傷は恐らく岩の中に頭から突っ込んだ際についたもの。

傷から推測するに前日に友人が釣ったジャウーと同個体。

貪欲すぎる!!

しっかり蘇生したのち、数年後もう一度再会するかもしれないと思いながらリリース。

感傷に浸っていると、「ジャウーを釣ったやつは、ラウラウ(ピライーバ)は釣れずに帰るっていうジンクスがあるんだぜ?」とNelsonがニヤけながらポツリ。

それは困る!どうしても釣りたい!と嘆願すると、待ってましたと言わんばかりに支流へのポイント移動を提案してきました。

支流には乾期から雨期への移り変わりの時にピライーバがさしてくるのだとか。(増水すると上を目指すのはナマズ共通なのかな?)

しかしこの時は乾期。

支流とはいえ水は本流に注ぎ込んでいるものの途中でかなり水位が低くなっているため魚(特に大型ナマズ)の移動は困難だといいます。

時期は少し早いものの、どうやらその“魚止め”前にたまる魚と閉ざされた上流部に取り残された個体を狙えば可能性は高いという話のようです。

ピライーバだけではなく、本流では狙うのが難しい大型の“Wolf Fish”を狙えるとの事。

まさかのタライロン?

現地人同士ではAimaraと呼ばれているその魚、どうやらタライロン(アイマラ種)で間違いなさそう!

思いがけないターゲットの登場に高鳴る胸の鼓動を抑え、翌日の大移動に備えてすぐに眠りにつきました。

後編」に続きます!

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大阪生まれの北陸育ち、友釣りアユから釣りをはじめ、サクラマスでルアーを覚えた異色の釣り原体験は、大学時代に南西諸島に移り住んで超マルチアングラーとして覚醒。モンスターキスが位置する富山にもルーツを持ち(小塚の幼稚園の後輩)、黒部川源流・標高2400m超の“日本最高のイワナ”から、ホタルイカパターンまで国内のニッチを語れる一方、アマゾンをはじめグローバルスタンダード(怪魚)の話もできる超新星。2024年夏以降は海外の大学院に進学、現地から情報発信予定。