コロナ禍に翻弄された大学生活……卒業旅行はアマゾンへ。ガイアナ3部作・前編(ピラルク編)

新人テスターの松政(まつまさ)です!

今年2024年の春に約1ヶ月間滞在した南米での釣り旅について、記憶が鮮明なうちにガイアナ3部+ブラジル1部の編成でレポートをまとめていこうと思います。

中々に濃い日々だったので文章量も多くなってしまうかもしれませんが、モンキスユーザーの皆様に南米釣行の楽しさを伝えられればと思っているのでお付き合いいただければと!

“いつか”では無く、学生であるうちに1度は行こうと思っていた南米アマゾン。

しかし大学入学(2020年春)と同時に、コロナ禍……。

タイミングを見計らいつつも悶々とする日々が続いていましたが、卒論発表が終わってから卒業式までの期間でなんとか滑り込みで行くことが出来ました!

とはいいつつも特に「この魚が釣りたい!」というものは無く、旅の理由はただ彼の地を訪れてみたいというだけの漠然としたもの…(笑)

そこで、比較的多様な魚種が狙えると言われるガイアナ・エセキボ川水系をメインフィールドとして計画を立てました。

同行者は大学の同期であり信頼を置いている友人。

もちろん事前に往復分の航空券を購入するだけで、ツアー等の手配はしない旅スタイルです。

今回はアメリカ・NYを経由してブラジル・サンパウロに入国後、国内線でマナウスへ。

その後に陸路で隣国ガイアナに入って出発前に目星を付けた場所を目指すルート。

ブラジルに入国せずともガイアナの首都であるジョージタウンから向かうことも出来るのですが、あえてブラジルを経由したのは、ネグロ川をこの目で見たかったから……ただそれだけ(笑)。

(当初ネグロで釣りをするつもりは無かったのですが、結局この旅の終盤で釣りしに来ることになります。詳細は後のレポートにて!)

自宅を出てから75時間、ようやくアマゾンの玄関口マナウスに到着。

荷物も無事に出てきました。

ネグロ川を目に焼きつけた後、早速出発です。

広大なアマゾン盆地北部を手探りで何日かけて陸路移動。

ガイアナ側の国境の街レセムへと向かいます。

過去にレセムを通過した方々から良い噂は聞かず、“裏ガイアナ”ルートと呼ぶ人もいるので正直かなり身構えていました。

ですが、幸い道中で良い人(?)に沢山出会い、手続と移動が少々手間な越境もトラブル無くスムーズにクリア。

目的地に向かうまでのバス(という名のハイエース)に乗り換える必要があるものの出発まで時間があるのでレセムの街を散策します。

街1番の大通りがお祭りムードだったので、何かあるのか聞いてみるとどうやらガイアナの共和国記念日だとか。

それに乗じて往路でお世話になったガイアナ人達と。

Banks(ガイアナのビール)美味しい!

旧イギリス領ということもあり南米で唯一公用語が英語。

交渉が一気にスムーズになるのでポルトガル語圏から英語圏に入った時の安心感たるや(笑)

懸念点を挙げるとすると、とにかく物価が高い!

体感でブラジルの2倍前後かなと。

沖合で油田が見つかった事で産油国の仲間入り、近年劇的な経済成長を遂げているガイアナ。

果たして内陸部の人達は追いつけているのだろうか……。

油田の件もあり隣国ベネズエラがエセキボ地域の領有権を主張し始め、少々きな臭かったこの頃。

いたる場所にこんな看板。

とあるガイアナ人の口癖は“No Maduro!”でした笑

ほんとみんなガイアナ、そしてエセキボが好きなんだなぁと。

時間になったのでぎゅうぎゅう詰めのハイエースに乗り込み、いざ出発。

舗装されていない赤土の悪路を数時間走り、中継地点で1泊して目的地の村へ。

夜明けと同時に村に到着。

村の長的な人を探し、挨拶を済ませます。

アポ無しの急な訪問にも関わらず話はトントン拍子で進み、人員(キャプテン、補助員兼コック)確保。

金銭的な交渉も終え昼には出発!

全日程(6泊7日)ジャングル泊のサバイバル釣行。

1週間分のガソリンを積んで日帰りでは行けないような奥地へ…というようなプラン。

狙う魚によって拠点とする場所が変わるようで、前半をアラパイマ(ピラルク)、後半をナマズ狙いとすることにしました。

(奥からキャプテンのNelson、コックのGarner、同行者K)

周辺にピラルクが多く生息し現地民が“Arapaima Camp”と呼ぶ拠点に到着。

拠点と行ってもハンモックを掛けやすいように木が伐採されている程度。

着いて早々キャンプの設営と釣りの準備に取りかかります。

設営の残りはGarnerに任せて、晩飯の魚と釣り餌を確保しにいよいよ釣りスタート。

信頼度No.1のDコンを投げると早速ヒット。

最初のイッピキはキクラ・オセラリス!

自身初のピーコックです。

家を出てから約160時間(1週間弱)、長かった(笑)

この魚、無限に釣れてこれより大きい個体もキャッチ出来たのですがNelsonが直ぐに「Bait!」と言って首チョンパしちゃうので今回の旅で残っている写真はコレだけ……。

キャスティングでの使用したロッドは「MX-6+」。

南米遠征を計画する前から悩んでいたのですが、ヨシダさんの熱い“6系統”の記事が決め手となり日本を発つ直前に購入したもの。

キャストフィーリング、操作感、パワーが今回の旅にマッチしていて、ルアー釣りで大活躍してくれました(買って良かった!)

道糸は「VAMOS」の4号(手に馴染むしトラブルも少ないので、ここ最近ベイトにはこれしか入れてません)にリーダーはナイロン80lb。

殆どのシチュエーションで先端に自作ワイヤーリーダーを接続。

その日の夜に食べる分と夜釣りの餌に使う分だけキープ。

同行者が釣ったシルバーアロワナと一緒にいただきます。

暫くは釣った魚を食べる生活。

国内では観賞魚として人気の南米の魚達ですが、どれも臭みがない淡泊な白身で美味しい! 

翌日は早朝からピラルク狙いで予定していたので現地民は日没後間もなく眠りにつきましたが、眠れるわけも無くエサ釣りの準備を始めます。

エサ釣りの使用タックルは「MX-9S」にPE7号+ナイロン150lb

(ワイヤーに関しては極端にアタリが減るのでピラニアの有無で臨機応変に組んでいました。)

遠くには行くなと言われたので近場で仕掛けを投入。

着水後間もなく大きいアタリが出てファイトに移行するも、ハサミでカットされたようなリーダーが帰ってくるだけ……。

ワイヤーリーダーを取り付け再度投入。直ぐにヒット。

あがってきたのは大型のブラックピラニア!

これぞいかにもアマゾンフィッシュ(笑)

ピラニア釣りである程度満足したところでハンモックに入り就寝。

高揚感でウッキウキのジャングル初夜でしたが、移動の疲れもあって意外と直ぐに眠りにつきました。

エセキボ2日目(ピラルクアタック)明朝。

最もうるさい地上動物としてギネスにも認定されている、ホエザルの群れの鳴き声で目を覚まします。

ニワトリの鳴き声で起きるシチュエーションは結構あるけどサルで起きるのは南米のジャングルぐらいかも!(笑)

早々に出船し向かったのは、本流の中でも入り江となり流れが無いエリア。

Nelsonによれば大きい個体群が定着しているらしく、川に完全に日が差す前に一斉に水面に出てくるのだとか。

釣り方は現地スタイルに倣ってエサ釣り。

少し大きめのタマン針にピーコックまたはピラニアの頭をちょん掛け。

ピラルクが水面に出たときにエサを投入する、いわゆる“呼吸打ち”というもの。

魚体を確認してから打ち込むので、ある程度サイズは選べる釣り。

数釣りをするものでもない魚、どうせイッピキ釣るならデカいやつがいい!

警戒心が高いので入り江に入る手前でエンジンを切り、息を殺しながら手漕ぎでボートを進めます。

「ボフッ!」

ポイントに入る前から遠くからでもハッキリと見えていたその魚体。

静かにしていろとNelsonに言われていましたが、興奮のあまり「やっば!」と心の声が漏れてしまいます(笑)

夢にまでみた光景を実際に目の当たりにすると抑えきれないものです。

そこら中でブレスしている中ひと際大きな個体を発見、その個体に狙いを定めます。

釣り針にピーコックの頭をセットしながら接近し、進行方向に投入。

直後にずっしりとした重み!

しっかりとフッキングをキメた後、ファイトスタートです。

ランディングのことを考え、ボートを接岸。

周りに立木などの障害物が無く開けたエリア、こちらに分がありますが油断はせず慎重にやり取り……。

強烈な首振りとともに水面現れたその魚体。

あまりの迫力に完全に腰が引けていました。

激闘の末、岸辺に誘導したところでNelsonが入水し、抱きつきます。

友人、Nelsonと熱い握手を交わしたのち、自分もたまらず入水。

神龍、この手に!!

その美しい魚体にしばらく魅入ります。

幼少期からの憧れだった有隣淡水最大魚。

大きな鱗一枚一枚を見て欲しい!

鱗に付着しているのは、寄生したチョウ、いわゆる“ウオジラミ”。

宿主がデカいと寄生虫もこれだけデカくなるのかと感心(笑)

遙か昔、一億年前から姿を変えずに生息している生きた化石でもある神秘的な魚。

ラビリンス器官という特殊な呼吸器を有していて、エラ呼吸だけでなく空気呼吸も同時に行います。

呼吸のために水面に浮上するため、漁師に見つかりやすく乱獲により一度は天然個体が激減したことも……。

しかし現在では各地で保護が進んでおりその個体数は回復傾向にあります。

ここガイアナではピラルクの漁獲は禁止されており、スポーツフィッシングのみ許されています。

漁獲対象から持続可能な観光資源へ……。

(Nelsonによると釣り人向けのガイドは、今や村の収入の殆どを占めているらしい)

現地民の理解のおかげもあってか、実際来てみると想像よりもその資源量は多く、ある意味裏切られました。

国外釣行に行かれる先輩方からピラルクに関しては蘇生が非常に難しく、釣り上げる=死ぬものだと以前から聞いていました。

しかしスポーツフィッシングが成立しているガイアナではどうやらリリース方法が確立されているらしく、釣ったピラルクの殆どはリリースに成功しているとの事。

それは、魚体を深く沈め呼吸したそうな動作をみせたら水面まで補助、息を吸ったら再び深く沈める動作を数十分かけてゆっくりと繰り返し行うというもの。

そのままリリースすると、水面まで呼吸しにいく前に沈んでしまうのだとか。

「5回は俺らが支えて、6回目のブレスを自力でしたら逃がすぞ」

Nelsonからレクチャーを受け、蘇生を開始します。

「ブハッ!(息を吸う音)」

「ブクブクブク…(息を吐いて沈む音)」

空気呼吸してる、いける!

そう確信しつつ迎えた6回目、アクシデントは起こります。

「浮いてこない…」

息を吹き返すこともなく、ついさっきまであった目の輝きは消えていました。

釣った後の喜びに満ちていた気持ちは一気に悲愴感へ。

鰓耙のまわりに漁師の網が複雑に絡みつき、十分な酸素が供給されていなかった様子。

仕方の無いことだとNelsonは慰めてくれましたが、せめて死ぬ前に気づいて取り除いていればと思うと何とも言えない気持ちになります。

ある意味、忘れられないイッピキとなりました。

午後は友人の“イッピキ”を釣りに行くべく、ラーゴ(三日月湖)へ。

エセキボ川本流を少し下ったところでボートをつけ、ジャングルの中を30分ほど歩きます。

(ビーサンで)

午前に釣った魚でピラルクはもう釣らないことに決めた自分は完全にサポート役。

友人に新鮮なエサを供給するために、ひたすら小物釣りに専念。

彼にも“その時”は訪れ、グッドサイズの美しい個体をキャッチ。

草木に囲まれ足元がぬかるんでいる不利な状況でも、泥にはまりながらも魚を上手くいなしてランディングしていました。

リリースも無事成功、はれて二人ともピラルクキャッチです。

満足のいく魚を一匹ずつ釣ったので友人、Nelsonと相談し、ピラルクアタックは1日でやめて残りの日はナマズ狙いに費やすことにしました。

(ピラルクアタックDayを終えて放心状態の図。このままオモラシしてみたかったですが脱水症状手前でそれどころではありませんでした

中編」に続きます!

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大阪生まれの北陸育ち、友釣りアユから釣りをはじめ、サクラマスでルアーを覚えた異色の釣り原体験は、大学時代に南西諸島に移り住んで超マルチアングラーとして覚醒。モンスターキスが位置する富山にもルーツを持ち(小塚の幼稚園の後輩)、黒部川源流・標高2400m超の“日本最高のイワナ”から、ホタルイカパターンまで国内のニッチを語れる一方、アマゾンをはじめグローバルスタンダード(怪魚)の話もできる超新星。2024年夏以降は海外の大学院に進学、現地から情報発信予定。