(「前編」から続く)
彷徨うこと約2年半……長かった。
初めての一人東京。
HUNTERSと共に、”不安”と”高揚感”を詰め込んだバックパックを背負って、サラリーマンの群れを遡上したあの光景は、今でも目ん玉の裏側に焼き付いている。
「放浪の中で、自分は何かを得ることができたのだろうか?」なんて振り返った時、形に残ったものは何もない事に気がついた。
でも、それでいい。
形に残らない”大切”もあるんだと、放浪は教えてくれた。
そして何より、日本国内でこの魚を抱けた人間が、何人いるのだろうか?
少なくとも、狙って釣って、抱きしめた釣り人を、僕は知らない。
国内釣捕、コクレン。
抱き抱えて改めて伝わってくる、圧倒的なまでの威圧感。
ヤバすぎる。
全身の毛が逆立ってゾクゾクする。
ハクレンに比べて、口がかなり大きい。
拳だって入るサイズ。
そしてやっぱり、頭が大きく、胸鰭が長い(胸鰭はさらに大型になると少し短くなるらしい)
体色が赤黒いのは、デフォルトでは無いらしい。
皮膚病?
ファイトによるストレス?
赤みはデフォでは無いとして、黒みがかっているのはデフォの様子。
ハクレンの写真と比較すると、おでこの盛り上がり方が異常にも感じる。
なんか、おかしい。
この魚体を抱いた時に感じたこの感覚は、人間社会でフツーに生きていても味わうことができないであろう感覚だと思った。
アドレナリンに加えて、体が出す危険信号の様なもの。
心地良い。
月並みな表現だけども、「これだから釣りはやめられない」なんて思ってしまう。
こんな感情にさせてくれる魚が日本にいた事が、本当に嬉しかった。
……そしてその異形は、都会の水に戻っていった。
2023年秋、こうして中国四大家魚である「アオウオ、ソウギョ(&アルビノ個体)、ハクレン、コクレン”」をオール国内で制覇するという、個人的になんとしてでも成し得たかった目標を、国内でズルせずクリアする事ができました。
……高校生の時に買った「HT-6/7」に始まり、作らせていただいた自分の竿「HT-∞∞」で完結させた、日本国内で中国四大家魚を巡る旅。
どんなにしんどい時も、HUNTERSを握り続けた。
このイッピキに至るで、手にしたハクレンは427匹。
「流石に(コクレンばかりは)無理だと思うよ」なんて、正論すぎるオトナ達の声をシカトし、ひたすら水辺に立った2023年。
”日本国内で四大家魚全制覇は不可能”なんて、ちっぽけな常識、変えたつもりです。
”Game Changer”
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