中部の石田です!
気温もグッと下がり一気に秋を通り越して冬を迎えそうなスピードで進行し始め、水中は季節の変わり目を感じさせる時期になりました。
真夏のピークを駆け抜けるように釣りを続けてきた中で、改めて「一本でどこまで釣りの幅を広げられるのか」というテーマを実釣で確かめてみたくなり、今回は「TRAVERSE 59///72MLC」の最長モード7’2”セッティングを軸にその可能性を検証してみました。
ショートモードでの取り回しや近距離戦はこれまで様々試してきましたが、今回はよりロングモードにフォーカスを当てたアプローチを重視。
オフショアから陸っぱり、さらにはライトリグ領域まで、一貫して“ユーティリティ”の本質に迫りました。
ロッドスペックの数値だけでは見えてこない、実際の操作感や釣りの成立バランスを、あくまで現場視点から掘り下げていきたいと思います。

<7’2” Long Jigging Mode>

まずは上から5番目、⑤7’2” Long Jigging Modeでのオフショア釣行から。
遠州灘沖の水深はおよそ50m。
魚礁の絡むエリアを舞台に、ターゲットは真鯛。
セッティングはTRAVERSE 7’2” Long Jigging Mode、ルアーは100gのタイラバ。
ジギングモードとしてエクステンションシャフトをグリップの間に挟み込んで装着、このモードは実戦的に使うのは今回が初。
潮はやや速めながらも、潮目のラインをしっかりトレースできるバランス。
序盤から60cmクラスの綺麗な魚体がヒットし、幸先の良いスタートに。

「TRAVERSE」を使い込んできた経験から言えば、このロッドは真鯛特有の「微かに始まるバイト」は普段ブラックバスをターゲットにしている時に感じる「ギルバイト」の延長のような感覚で、コツコツ噛み付いてくるイメージ。
ファストテーパーなティップが、魚の触れ方まで伝えてくれるような繊細さ。
それでいて、掛けた後のトルク感も損なわないバランスに仕上がっているのが特徴です。
高弾性なブランクスが故に、乾いたアタリが感じれる所はShinkirowシーズン全般の特徴で好きな所。

ただ、時間の経過とともにウネリが強まり、ボート姿勢の維持が難しくなったため早上がりを判断。
無理をして続けるより、引き際を見極めることも大事。
……とは言え、正直体の奥底から込み上げてくる違和感が決め手だったのも事実。笑
下船後、陸っぱりではセパレートグリップ部に使用していたエクステンションシャフトをフロントフリップとブランクスの間に入れ替え①7’2” Long Modeへシフトしました。
<7’2” Long Mode>

あらためて、帰航後はリールもそのまま、ロッドのモードだけを⑤→①へと組み替え、陸っぱりモードにチェンジ。
同じ7’2”でも、エクステンションシャフトをブランク側に移行した7’2″Long Modeで、ライトプラグを中心に黒鯛を狙います。
いつも5〜10gまでのプラグやフリーリグ、高比重ワームなどで使っていても、先ほどまで100gのタイラバを扱っていた事を考えるととても同じロッドとは思えないほど、繊細で軽快なキャストフィール。
キャスタビリティ、アクション操作、初動レスポンス……やはりどれも明確で、まるで別のロッドに持ち替えたかのような印象でした。
ドピーカンの中、岸際の日陰に浮いていた黒鯛にハイピッチなドッグウォークでスイッチを入れキャッチ。
ロッドも同じもの、リールもそのままで、タイの色が、赤から黒に変わりました笑。

“バーサタイル”という言葉だけでは足りない、釣り方に自然と馴染むロッド。
それが「TRAVERSE」の持つ本質的なユーティリティだと改めて感じました。
別日、お次も72ロングモードで、今度はアユイングに挑戦です。
相手は、汽水域よりも上流に遡上した天然鮎。
ちょうどこの頃、小塚さんから「『TRAVERSE』はきっと、アユイングにも好相性だと思うよ〜」との連絡が入り、熱は最高潮。
放流も無ければ如何にもなポイントもない、過去に投網してるおじさんに鮎が獲れると聞いた記憶だけが頼りに、黒鯛と同じタックルバランス7’2” Long Modeの組み合わせ。
狙った石の上流側からピッチングでテンポよく探り、カレントの変化やヨレを感じ取りながらレンジキープ。
時折チューニングを施したミノーに竿先だけでアクションを入れフラッシングアピール…
ひたすらアピール……。
ここで思ったのは「天然アユイング、全然釣れない‼︎」
遊魚証が存在して、大量に放流されてるエリアに比べれば当たり前か……?と自問自答。
とは言え、明らかにラインテンションの中に感じる生命感は確信に変わり、縄張り意識高い系アユに訴え掛けることができました。

わずかな流量の変化やヨレへのアプローチコース、様々なタイプのルアーを「流し込む」操作がスムーズに行える印象で、アユのアタックも拾える感度が際立ちました。
掛けた後もしなやかに粘り強く魚を受け止め、身切れを抑えながらテンションを一定に保ちたいアユイングにも対応してくれます。
来年は魚の数が安定したメジャーポイントで釣り込みたいと思います!笑
<7’2” Long Mode×シャロースプールリール>
続いて試したのは、シャロースプールタイプ(BFリール)ベイトリールとの組み合わせでのスモールプラグゲーム。
あらためて、6つのグリップセッティングが1本で可能なうち、①の72ロングモードで釣りをします。

近年のベイトリールの進化は夥しく、ライン放出初速が軽く、軽量ルアーでもスムーズに立ち上がる特性を活かし、2.5gのハゼクラをキャスト。
リールだけで見れば安易なウエイトですが、MLクラス7’2″のファストテーパー、ルアーは中空ボディ、固定ウエイトのクランクベイトとなると少々無理があるセッティングのはず……。
ですがブレーキ設定を詰めれば、ストレスなく実釣レベルの飛距離を確保できる事を確認。

水深の浅い河川や汽水域では、わずかなレンジコントロールが釣果を左右する場面が多く、ボトムをタッチした時のティップの入り具合と小物のハゼがバイトした違いも感じ取れる繊細さ。
「TRAVERSE」はその両立が自然で、むしろ胴調子を推奨されがちなジャンルも先調子の方にメリットを感じ、無駄なスタックも回避できる安定した操作感を得られました。
その後、ハゼからブラックバスのボトムゲームへハシゴ、この釣りでも高い感度を発揮。

特にボトムマテリアルが入り混じる場所では、砂地、ゴロタ、ウィードをしっかり判別しながらトレースラインを組み立てることができます。
ネイルシンカー0.9gのネコリグでの釣果でした。
ルアーのトータルウエイトはハゼクラより重くなったものの、空気抵抗は増し、よりピーキーなセッティングを求められましたが、慣れさえすればバスアングラーでいうところの、「パワーベイトフィネス」相当のロッドとして対応。
ラインスラックを使い軽くシェイクを加えても、ティップの戻りにブレがなく、普段スピニングタックルで扱う軽量シンカーでもしっかりとリグに生命感を宿してくれます。

軽負荷でもティップは綺麗に入り、一方でバットトルクが安定しているため、繊細さだけでなく、操作の正確さを感じられるのが「TRAVERSE」魅力だと思いました
<まとめ>
100gのタイラバから、最終的に0.9gのネコリグまで……。
数字だけ見れば極端ですが、どのレンジでも釣りとして成立させてしまうのが「TRAVERSE」の真価です。
「万能」という表現では追いつかない、“一本で釣りを繋ぐ”という思想。
それこそが、このロッドに込められたユーティリティの本質だと感じます。
2025年11月現在直営ECサイトの在庫はSOUL OUTですが、取扱店様の店頭ではまだ購入可能だと思います。
見かけた際はお手にとってみて下さい!
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