フィールドテスターの池尻です!
春先から「今年はタイのワラゴアッツーか、マレーシアのワラゴレイリーを狙いたいなあ」(どちらも東南アジアを代表するに巨大肉食ナマズ)なんて、ぼんやりと考えていたら、釣友から「タイにアッツー狙いに行きませんか!?」とのお誘いが!
いやいや、タイミング良すぎでしょ!
怪魚界隈って、こういう不思議なシンクロが本当に多いんですよね(結局、みんな同じこと考えてるのか……)。
というわけで、5月中旬、タイランドへ!
レッドブルで旅の安全を願って乾杯し、ワラゴアッツーの生息地として有名なカオレムダムを目指しました。
カオレムダムは6年前にも訪問したことがあり、道中は”楽勝”と思っていましたが、そこはやはり海外。
予定していたバスに乗り込もうとしたら「今日は選挙の日で満員だから乗れないよ!」と言われ、乗り合いのマイクロバスを探すも激混みで2時間待っても来ない……など、早くも海外モードがさく裂します。
予定より随分と遅れましたが、バンコクから丸1日かけてカオレムダムに到着。
ここに浮かぶ水上家屋に宿泊してワラゴアッツーを狙います。
タックルは、ロープが張り巡らされた場所での取り回しを考えてショート系2本をセレクト、「Dear Monster MX-6+」と「Dear Monster MV-55」を持参しました。
さて、ワラゴアッツーの釣り方については渡航前に「ちょっと特殊」という話を聞いていたのですが。
実際のところは「かなり特殊」なものでした。
まず、宿のスタッフが「アッツーを釣るならこれが絶対だ!」と手配してくれたエサ、その名も「サイバトゥー」。
袋の中身は魚の内臓10kg!
となりのペットボトルは、ファンタグレープ……ではなくて豚の血2リットルが入っています。
これをバケツの中で混ぜ、針に内臓を3~4個ほど数珠状につけるらしい。
仕掛けは、メインラインPE4号+リーダー「PE」8号で針に直結する超シンプルなもの。
コイ科の魚を狙うのによくやる手法ですが、食い込み時の抵抗を減らすためにオモリはもちろん、「フロロ」リーダーなどを使いません。
これを、水上家屋から足元に投入するのですが、ここでもう一工夫。
ガイドとガイドの間からラインを垂らし、ここでもエサをくわえた後の抵抗を極力減らします。
で、アタリはと言えば、このラインが音もなくスルスルとゆっくり出て行くだけだ、と。
ホントに? ナマズだよ?そんな繊細か!?
ぱっくりと裂けたワラゴアッツーの口を思うと、とても信じがたいのですが。
でも、まずは現地流に従ってみるのが海外釣行の鉄則!
4日間あるし、まあのんびり行きますか、と思っていると早速アタリが!
ラインが一気に出て、竿が引き込まれます。
ヒットした魚の正体はチャドー(ジャイアント・スネークヘッド)!
前回、ボートからルアーで狙ったときは苦戦したのに、あっさり釣れちゃったな……。
やがて、臭いに集まってきたミスタス系の小型ナマズがイレグイとなり、エサのつけ替えが頻繁になると体力と精神力が削られていきます。
水上家屋に泊まり込んでいるため良くも悪くも釣りは24時間体制。
エサをつけるたびに手は血まみれになり、ハエにたかられ、しかも、竿の横に布団をしいて、熟睡もできずにぼんやりとラインを眺めるという地味にキツイ夜。
この釣り、なんだか今までに経験したことのないタイプの辛さがあるぞ!(笑)
気分転換は相変わらずうまいタイ飯と、「Dear Monster MX-0」で楽しむ宿まわりの小物釣りです。
ペットショップで見る熱帯魚が泳ぐ自然っていいですよね。
ワラゴアッツーらしきアタリがないので、スタッフに勧められてボートからの釣りもトライしましたが、これも不発。
そして、もはや本当にいるのか?とさえ思い始めた3日目でした。
「夜は確率が低い」と聞かされすっかり油断してウトウトしていると、突然に鈴が鳴り響き、尻手ロープに繋いでいた「MV-55」が宙に浮いている!
すかさずロッドを手にしてファイトを開始すると、あきらかにメーターに絡む魚の重量感!
だけど、チャドーとは異なるうねるような引き。
すぐに本命だと確信!
同行者にランディングを手伝ってもらって無事にキャッチ!
これが、”口裂けナマズ”ことワラゴアッツー!
色合いや体表はビワコオオナマズに似ています。
ただ、この大きな口!
夜に釣れたこともあって妖怪感がスゴイ!
結局、4日間でワラゴアッツーはこの1本だけで(同行者は釣れず)、とてもラッキーな1撃でした。
翌朝、明るい時間帯に写真を撮ろうと、ロープに繋いでいたワラゴアッツーを引き上げると?
マジか!!
おそらくはビッグチャドーの仕業。
ほんの少し目を離したすきに水中では怪獣大戦争状態だったようで……。
リリースできなかったのが悔やまれますが、宿の食材として提供してきました。
それにしても……。
結果、寝ている間にロッドが宙に浮くほど派手なアタリが出て、完全な向こうアワセで釣れてしまいました。
本当に繊細で神経質な魚だったのだろうか?(笑)
そんな疑問を残しつつも、このワラゴアッツーという魚。
サイズ感や風貌も”THE・怪魚”なら、独特なエサや釣法も(その真偽も含めて)怪しすぎた!
いろんな意味で、久しぶりにホンモノの”怪魚”に出会えた遠征釣行となりました。
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