「みんなで船を買う」という夢、永久欠番“8”を冠した「MGX-8S “King Monkey”」(奄美テスト編)

怪魚ポエマーの古田です。

気温も上がり、待ちに待った春が来ました。

海水・淡水問わず魚の活性も上がりだす頃ではないでしょうか。

私も花粉症と戦いながら、いそいそと釣り場に足を運んでいます。

モンスターキスの2024年の目玉といえば、「Shinkirow」シリーズ!

……ですが、その裏側でじっくりと「MGX-8S “King Monkey”」のテストも進めてきました。

今回のレポートは、開発ストーリーとリンクさせながら、先月行った奄美大島でのテスト釣行の模様をお届けします。

奄美のGTと言えば有名で装備も整った老舗が思い浮かぶともいますが……僕たちが乗るのは見るからに漁船。

実は昨年、釣り仲間たちと、ちょっとずつお金を出し合って買った船。

船長の暁さんは学生時代に知り合い、日本でバカやったり、世界を釣り歩いたりした旅仲間であり、親友。

ディアモンを手に放浪し、アジアでは理不尽に収監され、パクチーの水やりなど服役作業を経て出所した……等々、ネタに事欠かない男(レンタルバイク屋の指示でパスポートを渡したら、警官にパスポート不携帯を咎められて……皆さんもお気をつけて)。

今は奄美大島に移り住み、ネイチャーガイドや遊漁船業など、精力的に活動しています。

今回は島南部の“開拓”を兼ねた釣行……初めての場所に胸が高鳴ります。

船に持ち込んだのは、昨年、大好評を頂きました「MGX-∞S “G .T .Gorilla”」(以下、GTゴリラまたはゴリラ)と、購入してくださった方々からの意見を参考にテストしている兄弟モデル「MGX-8S “King Monkey”」(以下、キングモンキーまたはモンキー)。

パッと見は同じこの2本。

実際レングスはもちろん、ガイドセッティングやグリップデザインまで、使用感を統一すべく変更する必要がない部分は意図的に揃えました。

ただし、いやだからこそ、中身(ブランク素材)は全く異なるのがゴリラとモンキー。

同じブランクスで、わかりやすくレングスを数インチ変えて……ということはしません。

“素材変化だけ”でこれだけ変わることを感じ、楽しんでもらうため、他一切のレングスは同じにしました。

細麺の豚骨ラーメンと、太麺の味噌ラーメンは、比べるもんじゃないですよね?

同じ醤油ラーメンで、麺(弾性)だけを変えて楽しむような……所作・戦略がシンプルに精錬したビッグゲームだからこその、繊細な“味わい”の差異。

ゴリラと、モンキーと、そんな2本の使い分けることでどんな釣り、どんな旅になるか……今回は、奄美への旅を舞台に、それぞれの竿の特性を紹介します。

ズバリ、キングモンキー(8S)はGTゴリラ(∞S)の兄弟分として、ブランクを高弾化させたモデルとなります。

ゴリラを触った方からは「モチッ」と曲がる安心感を評価いただきますが、今後、モンキーは「シャキッ」とした軽快感をお褒めいただけることと信じます。

「この竿(ゴリラ)自体は完璧なんだけど、現状、システムとしてロッド1本だけで遠征に行くことはないから、遠すぎず、近すぎず、相補しあうようなモデルを何本か出して欲しいな……そうしたら、本当にモバイルロッドだけで海のビッグゲーム遠征という夢が叶うから

そんなご意見を多数いただいて、テスター陣で協力して、全力でGIGASシリーズの開発・テストをしています。

じゃぁキングモンキーを「シャキッ」と高弾性で作ることで、実際のフィールドで何がどう変わるの?ってのが気になるところかと思いますが……これは、魚をかける以前の話、1投目から体感いただけるかと。

竿に張りを持たせたことで、キャストフィールがよりシャープになり、ズバリ、飛距離が向上しました。

私感ですが、GTゴリラは竿全体にルアーの重みを乗せ、ブランクの反発力で投げるイメージに対し、キングモンキーはシャキッととしている分、竿のスイングスピードを使い手次第で上げることができるので、意識的にルアーを弾き飛ばすイメージです。

キングモンキーに関して、ルアーは各メーカーの190mm前後、100g以下サイズがベストマッチとなるように調整しています。

GTゴリラは220mm前後、100g超級ルアーにベストマッチとなるよう設定しておりますので、より軽いルアーへの適応性が上がったということになります。

“ゴリラ”に対して“モンキー”というサブネームは、その辺り、使うルアーサイズをイメージしてもらえたら。

後述しますが、決して狙う魚のサイズを下げ、単純にライト化(ブランクスの強度を低下)したロッドではありません(だからネーミングには、最後まで頭を悩ませました)

さてさて、今回の奄美遠征はポイントを選びから自分たちで行います。

当然、これまでの釣行と違い、ベテラン船長の適格なアドバイスがあるわけでもないので、仲間たち全員で手を替え品を替え、ポイントを変えて、トップウォーターからシンキングルアーまで、スピーディーに釣りを展開していくことにしました。

これが功を奏したか、ポイント到着すぐにシンキングルアーにバイトがあり、水中から上がってきたのは念願のGT。

サイズは20kgほどでしたが、キングモンキー(83ロングモード)のブランクパワーでゴリゴリと寄せることができました。

その後は、個人的にはやはりトップウォータールアーで釣りたいと、そこに縛りを設けて釣りを再開。

移動した先では時折、魚が水面でボイルしている状況。

高弾性とはいえ、荒れた水面でもストレスなくダイビングペンシルを動かせるようなパワー設定になっています。

荒れた水面に、ダイビングペンシル……そう、ヒラマサ(キングフィッシュ)で使うにぴったりのイメージ。

“キング”モンキーというサブネームも、ロッド特性を伝えるべくヒラマサを意識したもの。

私のライフワークは、やはりGTですが、今回操船に集中してくれた暁船長と以前旅した別海域では、彼自身がいちアングラーとして釣りに集中し、キングモンキー(83ロングモード)で良型のヒラマサを複数キャッチしてくれました。

……話を奄美に戻します。

1本釣ってトップ縛りに切り替えた自分、ダイビングペンシルが水面に浮き上がる瞬間にひったくっていたのは小型のGT。

このサイズなら焦ることなくランディングまで持ち込むことができました。

翌日には仲間も大型タイビングペンシルで1匹追加。

このGTは、ロッドは兄貴分のGTゴリラでキャッチ。

食い渋った時の逆張りには、(モンキーと比較した時に)大型ルアーに相性がいいGTゴリラ。

隣で見ていて、綺麗に弧を描くロッド、危なげ無いファイトは(モンキーと比較した時に)中・低弾性傾向のGTゴリラの特性。

どちらがいい、ではなく、2本あると助かる兄弟竿。

終わってみれば、今回の奄美釣行では実釣1.5日で3匹という好釣果。

開発テストとしての“迷い”も、結果が吹き飛ばしてくれました。

先述しましたが、“迷い”とは、このモデルネーミングの部分(指さしてます)

僕の希望を汲んでもらい、“MGX-∞SL”というモデル名で開発が進みましたが、最後の最後で「MGX-8S」へとモデル名の変更を決めました。

GTゴリラが10号設定・大型ルアー用の竿で、対してキングモンキーが「8」号設定で、比較的小型ルアー対応だということを暗に示したかったのが1つ。

もう1つは、求めるものを形にした時、決して「L」(ライト化)では無かった事。

小塚さんに相談したところ、「10年前、古ちゃん達が出会った頃のディアモン、シーラカンス用として限定生産した「MX-8」を……以後永久欠番となっているシングルナンバー“8”を、この竿に継承させたらどうかな?」と。

私のプロフィール写真のトルーノ(ジャウー)も、思い出深い「MX-8」での釣果。

実際、キングモンキーは、「MX-8」(限定生産)の後継モデルである「MX-∞」の30tベース・フルカーボンのブランクスを開発の出発点として調整しており、60度強度試験で計測機器の限界突破した強度設計(推定25kgリフト)からブランクパワー自体は落としてはいません。

性能説明上の必須要素としてスピニングリール仕様の「S」だけ添え、“8S”として世に送りだすことは、10年来の仲間たちとの物語も汲んだ粋なネーミングに思えました。

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今回、一緒に船に乗ったのは全員が10年前に出会い、“怪魚”という青春を同じ方向に駆け抜けた最高の仲間たち。

「みんなで船を買う」という“怪”なる夢、挑戦が、ひとつ実を結びました。

何があるかわからないこの時代、今後ライフスタイルが変化しようとも、ずっとオフショア・ビッグゲームを続けていくための布石として、大成功でした。

僕の技術・経験不足で釣果を結ばない釣行、そもそも出船すらできない渡航を重ねてきましたが、東京の20代サラリーマンができる限界値まで、南海の熱波、熱風をあて続けたと言いきれます。

仲間たちと協力しての、“旅的”オフショアゲーム。

今後は奄美を起点に、世界最高のGTフィールド(の1つ)と名高いトカラ列島にアクセスするべく、みんなで協力して経験を重ねていこうと思います。

……さぁ、待ちに待ったGW間近。

ディアモン発売前恒例の“海外の風さらし”、僕はキングモンキー(&GTゴリラ)を携えて、海を渡ってきます!

皆さんはこのGW、どこへ行きますか?

■タックルデータ

ロッド:「Dear Monster MGX-8S “King Monkey”

リール:ステラSW 14000XG 

ライン:バリバスSMP 「8」

リーダー:ナイロン180lb

ルアー:シンキングルアー&ダイビングペンシル(190mmクラスメイン)

<関連ページ・レポート>

高校時代に小塚の著書「怪物狩り」を読み、それきっかけに大学進学後は南米アマゾンのジャングルや、アフリカの大地溝帯、果ては中東イスラム圏まで、計7ヵ国を旅する。学生時代の9回の釣り旅はすべて、行き当たりばったりの“旅的”スタイル(個人釣行)にこだわった。大学卒業後は一般企業に就職。ライフスタイルの変化に対応し、オフショアに目を向け、GTやヒラマサのキャスティングゲームに没頭。直感的に行動した結果、報われてこなかった半生を反省し、「感じるな、考えるんだ」と竿を振る。