【保存版】釣果の秘密と真髄はココにあり!? 伊藤式フロッグチューニング(これでもまだ標準編)

フィールドテスターの伊藤です。

尋常じゃなく暑かった夏も終わり、雷魚シーズンも終盤となりました。

暖かい地域では今年のラストスパートに、涼しい地域では来年に向け、私なりのチューニング方法をご紹介したいと思います。

フロッグチューニングをやったことのない方からすると未知の世界、謎の作業であるフロッグチューニングの世界。

今回は「バトラクス」をモデルにセッティングしていきます。

人それぞれの流派があるため、門外不出……とまでは言いませんが、あまりその情報がオープンにされていないことが多いかもしれません。

しっかりと自分で仕上げたフロッグは愛着も湧くものです。

世界に1つだけ、“俺のバトラクス”を仕上げてあげましょう!

<用意する物>

・スレッド(もしくはPEライン):太さが2種類くらいあると便利。シンカーとフックの固定に使用する太さはPEなら2〜3号くらい。アイ(鼻先)の固定には1〜2号。

・収縮チューブ:6パイ(径6mm)、8パイ(径8mm)の太細2種類あると便利……釣具店で専用品を購入してもいいですが、ホームセンターでは安く多く買えますよ。

・瞬間接着剤:100円ショップで買えます。

・爪楊枝又は針金:クリップを伸ばして使えます

フロッグ用接着剤:一般に「シーラー」と呼ばれる、乾燥してもボリュームを失わず、かつ弾力性があるウレタン系の接着剤。釣具店に専用品もありますが少量で高価なため、スリーボンド社の「PANDO」という製品がコストパフォーマンス最高で、名指しで推奨します(釣具店でも雷魚系プロショップでは置いているところも多いです)。

シーラー(PANDO)を練る板やカップ

アイ抜き工具:「フロッグ用ニードル」など呼び方も各社いろいろありますが、フロッグ系メーカーが何社か出していて、シンプルなアカシブランド製をMonsterBASEでも取り扱いしてます。裁縫の糸通しの大型版といったところで、複雑な工具ではありませんから、好みの形状に自作してもいいでしょう。何個も作るなら1.0〜1.6mmの針金(ステンレスのバネ線)がおすすめですが、大きめのクリップを開いて形状を作っても、とりあえずは事足ります。

・細い針金:水抜き穴(後述)を開けるために使用します。炎で熱して使うので、金属製であることが条件です。クリップを開いても事足ります。

・ライター

・プライヤー

・測り:あると便利です。

所要時間は15分から30分くらいでしょうか。

まずフロッグを箱から出しフックを抜きます。

バトラクスを測りにのせてグラム数を見ておきます、開封時には13.5g程度でしょうか。

(バトラクスは完成時のトータルウェイトが最大15gから16g程度)

バトラクスは推奨サイズのスロットシンカーまでセットなので、このまま組み付けに入れます。

スロットシンカーがズレないようにシャンクと接触する部分をペンチで潰します。

ここからが伊藤式ではポイントになる作業!

完全にスロットシンカーを固定すること、ダブルフックの開きを防止するため、用意したスレッドもしくはPEラインをシンカーとフックに巻き付けていきます。

こと雷魚とのファイトは、カバーが絡むパワーゲームで、加えてタックルも強靭なためこの作業でフックが開いてしまうことを防止します。

先述のように、フロッグチューニングは人それぞれ、開発者の小塚氏は、この作業は短縮するようですが、伊藤的には必ずやりますね〜。

このスレッド巻きの続きとして、アイの部分(フロッグのボディと接する部分)は必ず巻いておくことをお勧めします。

小塚氏もこの作業は必ずやります。

これはフロッグボディ(軟質プラスチック)とアイ(金属)の硬度差によるズレ(滑り)を防止するためです。

このひと手間で、フィールドでの耐久性と、フロッグ形状によってはフッキング性能が全く変わってきます。

カバーをかき分け(ぶつかり)続ける“鼻先”、投げ続ける際の耐久性はもちろんですが、ライギョがバイト&フッキングする際にかかる負荷は相当なわけで、ここがしっかり固定されていないと、雷魚の口の中でフロッグ(ボディ)が滑らない。

フッキングの際にボディ(皮)がフックポイント側(お尻側)に押し込まれ、フッキングの邪魔になるんですね。

バトラクス」の場合はアイが短く、フックの接合部で引っかかり、フッキングを阻害するほどずれませんが、ロングボディのフロッグ(後で出てくる新作等)ではキモになりますから、これを機に習慣にしておきましょう!

さてさて。

ここまで来たら、巻いたスレッドに瞬間接着剤を垂らして固定しましょう(ちなみに、アルテコプライマーと呼ばれる硬化促進剤があると直ぐに乾燥しますので便利)

 

ボンドが乾燥したら6パイ(内径6mm)の熱収縮チューブを、1.5センチ程にカットし、まずはフックとアイを固定するべく、そこに被せるように差し込んでいきます。

差し込んだらライター炙るかヒートガンなどで加熱して収縮させ、固定します。

次に、全体を被せる為に8パイ(径8mm)の収縮チューブを6センチほどにカットします(今回8パイは透明な熱収縮チューブを使いますが、色に意図はありません)

フックとアイの連結部分にも、先ほどの6パイの熱収縮チューブ(黒)に重ね、2重に固定するようにして下さい。

あまりアイ(鼻先)側に伸ばすとボディを被せた時に干渉するので、連結部分だけに被る程度にどめるめるのがポイント。

この作業は言わずもがな、アイとフックが曲がらないようにすることを狙っています。 

アイが横振りしてしまうと、フロッグが破れて使い物にならなくなってしまう可能性も高まります。

そこまでする?と言われますが、この2重固定が伊藤式の拘りポイントです。

フィールドで後悔したくない、釣りをする時間をロスしたくないのです!

再度ライターで炙って固定です!

ギブス固定のようにガチガチに固定できれば、フック周りは完成です!

……繰り返しになりますが、あくまで“伊藤式”ですのでね。

この作業を熱収縮チューブを使わずスレッドだけで固める方もおられますし(素材を増やさない)、小塚氏のように全く固めない(塩分混じりの汽水域での使用で、洗浄後の乾きやすさ優先)など、用途に合わせて“自分なり”を模索してください。

そこが、フロッグチューニングの楽しさですから!

小塚氏も、純淡水用セッティングは、2重まではしないものの、いわば半伊藤式!?、熱収縮チューブを1重で使っているようです 。

さてさて、ここまで来てようやくボディ(玄人には“皮”と呼ばれます)が登場しますよ。

アイ抜き工具(フロッグニードル)を鼻の穴から差し込み、お尻のフックホール(成形の際に溶剤を流し出す穴ですね)から出して、先程作ったフックのアイに引っ掛け、引っ張り出します。

そしてアイの方にゆっくり引っ張り出してください、ゆっくりです!

この時に、力ずくで引っ張るとアイ抜きが引っかかりフロッグのボディが破れたり穴が開いてしますので気をつけて下さい。

フックがズレていないか、ボディからフックポイントがズレていないかを確認して下さい。

この時にフックがズレていると完成時のフックのフィッティングもズレてしまいますので要注意です。

(色々な方向から見てチェック!みんなの性格が出ますよ 笑)

大丈夫であればフックホールとシンカー隙間に少量の瞬間接着剤を着けて、仮固定しましょう。

フックがズレたり動かなければOKです。

この際、写真のように熱収縮チューブがフックホールから出る“伊藤式”の長さであれば、ボディ(軟質)と熱収縮チューブ(軟質)で接着しやすいです。

一方、わずか0.5mm程度とはいえ、フックまわりが太くなることで場合によってはボディを変形させますから、熱収縮チューブはフックホール手前に止める、そもそもフックホールを切り広げるなど、この辺りは各人の好みになります。

そしてボディのアイの部分にスレッドや細めのPEライン(1~2号)を3〜5周巻いて結びましょう。

この作業でアイからの浸水を防ぎ、カバーとのハードコンタクトやフッキングの際のボディ(皮)のズレを防止します。

注意としては、強く巻き過ぎたり、縛りを締め込み過ぎるのは、餅を糸で切るようなもの。

フロッグのアイの部分が綺麗にカットされてしまいますから、“程々の力”で縛って下さい。

ここで強く加圧できないので、先述の“下巻き”(摩擦・接着力の向上)が効いてくるわけですね。

さぁ、できましたよ!

いよいよ仕上げに入ってきますよ!

結んだ後の糸端は、目立たないよう巻いた糸に押し込無などして、瞬間接着剤で固めます。

コレで解け防止になります。

接着剤の形状や粘性次第では、直接垂らしてもいいのですが、板やカップに瞬間接着剤を数滴たらして、爪楊枝や針金の先に接着剤を付け、塗りつけると作業がラクで、精度も上がります。

そしてアイが曲がっていないかを確認して、アイ(金属)とボディ(皮、ソフトプラスチック)の隙間にも塗って(浸透させて)下さい。

そして最後の仕上げ作業です!

フックホールとシンカーの隙間をウレタン系接着剤(PANDO)で固めます。

これまたダイレクトに塗ってもことは足りますが(万事簡素化を目指す小塚式)、先程の瞬間接着剤と同じく、板やカップにやや多めに出して、爪楊枝などで空気を含ませる(白濁させる)ように練って使うのが伊藤式です

全体に気泡が行き渡ったら何分か放置、時短するのならばドライヤーなどで冷風を当てて練って下さい。

この繰り返しで、PANDOが爪楊枝が立つくらいの硬さ(粘性)になったら準備OKです。

この作業は意外と時間がかかります。

そしてフックとボディの隙間を埋めるように爪楊枝などで塗りつけていきます。

イメージとしては、“隙間に置いて埋める” という感じ。

PANDOはダイレクトに塗ると柔らかく(粘性低い)、また乾くと収縮します。

割高な専用品(粘性も高い)であっても、少なからず液ダレして、見た目も汚くなってしまいますし、形状の微修正が効きません。

そのために、コスパの高いPANDOを多めに練って(気泡を入れて半乾燥)、ボリュームを粘性を高めて使うのが“伊藤式”なのです。

シンカーの周りは、全体に塗ってあげましょう!

以降の作業は、より半乾燥が進行し、指で扱ってくっつかない粘性段階でやるのがコツ。

指で成形しながらやることで綺麗に仕上げることができます。

「まだ柔らかくて指にくっつくなぁ」と思えば、適宜水を付けてさわると良いですよ!

この写真のようにお尻の角近くまでPANDOを盛り、フック(内部構造)とボディ(皮)の固定度を上げておくと、フッキング時に針先の立ち方(貫通の仕方)が明らかによくなります!

おすすめのひと手間作業です!

最後に、細い針金をライターで炙り、熱で溶かすようにして、エア抜きの穴をフロッグのお尻に開けます

この作業は人によって好みが分かれます。

小さく複数開ける人(伊藤式)もいれば、大きく1つ開ける人(小塚式)もいます。

私は空気の抜けを調節したいので小さな穴を2つから3つ開けます。

場所も人それぞれですが、位置は共通してお尻回りです。

バス用フロッグ(パッケージを開けたままで使えることを謳うフロッグ。見分け方としてバーブ有りフックがついているもの)は、生産工程上機密性が高くないので穴を開ける必要はありませんが、上記のようにチューンしてきたライギョ用フロッグ(バーブレスフック標準、未完成販売がデフォルト。パッケージ開けたまま投げると、ウェイトだけ飛んでいきますよ!笑)は意図的に穴を開けないとバイトがあっても潰れない(中の空気が抜けない)のでフッキングしませんから、ご注意を。

一応再確認ですが、針金はライターで炙るなどして、穴は必ず熱で溶かし開けてくださいね!(熱を加えずただ刺しただけではフッキングで空気は抜けません)

コレで完成です。

最後はしっかりと乾燥させて下さい。

浮角度もウェイトを交換したり、位置を調整することで変化しますよ!

“俺のバトラクス”は世界に1つ、自分の目指すアクションを自分で作っていく……“釣れた”ではなく“釣った”と言える満足感、チューニングの面白さはこの辺りにあります。

ブレードを組み込むと、狙い通りの15g代!

ブレードの1g弱でも浮き姿勢が変わり、またブレードの装着方法(伊藤式はスイベルを介して回転させることが多い)だけでもアクションは変わっています。

ブレードに関してだけでも、直付け(小塚式)や、その種類やカラーなど、無限の組み合わせになりますので……とりあえず今回はここまで。

以上が私、伊藤流の標準的なセッティングとなります。

本当に拘ると更にもう2、3歩工程増え、更に作り込みますが、ココ紹介するにはあまりに長くなりますので、また機会がありましたら追加で紹介させていただければと思います。

もちろん今回紹介したチューニング方法以上にスピーディーにできるチューニング方法(小塚式他)もあれば、更に時間をかけこだわって仕上げる方法(伊藤式・発展型)もあります。

まさに人によって同じフロッグでも千差万別!

パーツだけでもブレードのサイズや形状、ゾンカーをつけるか方、フックを交換したり、浮き姿勢を変える為にスロットシンカーでは無く板錘や糸錘を巻くなどなど……そこに飽き足らずボディを切ったり……とさまざまな方法でフロッグを自分好みに仕上げていく!

「俺“たち”のバトラクス」は、1つとして同じものはない!

コレこそチューニング、ココこそがフロッグゲームの楽しみであり深み……もはや着地の見えない沼!

そう、釣りに行く前から、もうフロッグゲームは始まっているのです。

だから、雷魚釣り、フロッグゲームにオフシーズンは無いのです。

基本的にカバーゲームでフロッグ縛り、釣り方に“進化”が無いゲームだからこそ、釣り具そのものはどんどん“深化”する……チューニングに頭を使ったり、情報を交換するのも、この釣りの楽しみ方なんです。

どうしてもシーズン到来直前になるとバタバタするし、シーズン中はフィールドで過ごす時間が多くなりますから、今期フィールドで楽しんだ熱量や反省点を忘れていない今のうちから、来期に向けチューニングを始めるのがお勧めです!

シーズン終盤ではありますが、「どうしてもすぐ使ってみたい!」となればギリギリまだ出る時期ですし(笑)、このセッティングをベースにトライしてみてください!

そして来期(2023年シーズン)からは、新しい仲間が加わります!!

2019年に発売したモンスターキスオリジナル「Batrachus(バトラクス)」も、2021年に腹違いの弟「BATRA-X(バトラX)」(メガバス製コラボ、オリジナルより5%ほど小さい)が生まれたとはいえ、プロトのテストから含めれば今期まで5年以上、事実上“俺のバトラクス”縛りに近かったわけですが……嬉しい悲鳴、迷いが増える(笑)

千両役者の「バトラクス」が唯一苦手にした状況、どうしても欲しかった先細のすり抜け形状……良い感じに仕上がってきてます!

続報・発売を、楽しみにしていて下さい。

中部地方在住。父の教えによるフナ釣りに始まり、テレビで観たバス釣りをキッカケにルアー釣りに没頭、現在はライギョ釣りとキジハタ釣りをライフワークとする。観賞魚飼育を趣味とし、友人の誘いで行った海外で飼育していた熱帯魚を釣ったことをキッカケに、“怪魚”にまで視野が広がった。雨の日やシーズンオフには、本業である塗装業の技術を活かし、ルアーのリペイントやハンドメイドを楽しむ。とりわけディッピング製法によるフロッグ作りは、自身で「ITO FROG WORKS」を主催し、販売するまでに研究を重ね、そこで得た知見をモンスターキス製のフロッグにもフィードバックしている。