こうして「HYDRO」は始まった。SL ? TL ? ジャイアントベイトって本当に釣れるの?初心者が試してみた(後編)

前編」では、乗船2日目の夕マズメ、初のジャイアントベイト・シーバス=自己記録更新の初ランカーを釣り上げたところまでを記しました。

後編では、「ルアーサイズはどこまで大きくできるのか?」という素朴な疑問を検証するため、乗船2日目夜から、自作の特大ジャイアントベイトで挑んでみた事をレポートします。

まずは35cm400グラムから。

現在開発中の20cmのビッグベイトのデータを元に、ジョイント部の特許(申請済み)構造以外はそのまま、シンプルに拡大して作ってみました。

市販の最大クラスのジャイアントベイト(実測SL34cm、内部に水が通る特殊形状故に300gアンダー)と比べると、こんなサイズ感。

小塚「とりあえずは“SL20”、ボディ20cmで作るけど……いずれ、もっと大きく、でも重くなり過ぎないように、“SL20”は内湾曲形状が絶対条件」

これもまた、開発着手段階で小塚さんに言われ、一切ブレていない(ブレさせてもらえない笑)部分、「(将来を見据えた)“内湾曲”縛りで、どうカタチを整えていくか」……1年かけてやってきたことが、遂に日の目をみる時が来た、かも?

ちなみに、しゅうやテスター(以下しゅうや君)が別日、別船で“SL35”まではサクっと数投で結果がでたと聞いています。

「バンニェイロと同じ、形状の勝利。細かいこと気にしないでいいから、自信持って投げて!」と小塚さん。

内湾曲形状は小塚さんがずっと温めていたアイディアだったそうで、他にも様々な意図を持って“縛った”と聞いていますが、それらはいずれ小塚さんから説明があるでしょう。

各種ギミックに関わるので、現状重量(SL35cm)はざっくり400g前後、とだけお伝えさせてください。

中空(?)構造のフレンジーよりは、ほぼ同じSL35でも重たいです。

とはいえ、この重量までなら新作「MX-∞」で安心してキャストし、軽快にアクションさせることができました。

船中なかなかバイトが出ない中、1枚下のレンジで左右に飛ばしていると「ガツーン」とヒット!

「前アタリ」みたいなのがあるので、「ん?なんか触った?……キタっ! 」みたいな感じで中毒性高めです(笑)

あがってきたのは70台中盤の綺麗な個体でした。

35cmのルアーで、あっさりと釣れてしまった……。

まぐれかなと思いながらキャストを続けると、サイズアップ!

あれ…シーバスにとって35cmって余裕な感じ…?

ちなみに、小塚さんはこの日「テストは禾くんに任せるよ。あー同時検証できるよう体が2つ欲しい!」とかなんとか言いながら最後までTL48cm(SL41cm)のラインスルーパイク/サベージギア(800g超級)を「MGX-∞∞“Giant Syndrome” 」で投げ続け……掛けてましたがバラしてました。

シーバスにとって“大きすぎる”のラインってどこなんだ?

この疑問を検証すべく、下船から翌日の乗船までの18時間で、帰宅・設計(デカくしただけ)・印刷・組み立て……SL40cmを新たに用意しました。

40cm、600グラム

ここまでくるとあからさまにボリューム感はフレンジーより大きくなりましたが、TL(全長、テールあり)という概念では、フレンジーより小さいという解釈(誤解?)も生まれます。

ボリューム感で言えば、幅があるぶん小塚さんの投げ続けるTL 48cm(SL41cm)のラインスルーパイク(850g)すらも超えて、ただしウチ湾曲形状により、重量的には軽いのです

流石にこの重量(600g)になると、僕の筋力では「MX-∞+」よりもさらに強いMGX-∞∞“Giant Syndrome” 」の方が投げやすいなと感じました。

とは言いつつも、この日は結局「MX-∞+」を使い続け(当日1本しかなかったジャイシンは「これじゃなきゃデカパイ(ク)は動かんから、すまん」と小塚さんが使用)、下船まで投げ続け、動かし続けてみたことになります。

最終的に「600グラムも『MX-∞+』扱いきれなくは無いな」と思いました。

……改めて、この日の釣りを、時系列を追って。

乗船してすぐの夕マズメ、小塚さんが「究極のヘッドショット」で1本

「メガバスカタログ用にね〜、ナンツッテ」と、「PEAKHUNT」と合わせてライ“ス”ワークをサクッとこなされたという印象(以後、ライ“フ”ワークのパイク48cm縛りに移行)。

自分含め、他乗船者はキャッチなしで暗くなった夕まずめ……けして何を投げても釣れる状況ではなかったことも情報として書き添えます。

すっかり暗くなって、ポツポツ、船で定番のジャイアントベイト(ハイドロのSL25、市販TL30前後……ゴーストVテール、ボルタ330など)に反応が出始めました。

SL35とSL40、長さで5cm、重量で200g程度の差ですが、この一線は結構キツいなと感じました。

ルアーサイズが大きくなると、キャストはもちろん、ルアーを動かすだけでかなり疲れます。

途中からは大型魚相手のときのアワセのように、竿ごと後ろに引いてジャーキングしてました。

そんな自分の様子を「シーバスルアーとして、実用機の上限はSL35くらいなんだろうなぁ……」と横で観察している小塚さん。

流石に小さいルアーに逃げたくなります(逃げました)が、「ここから先は、モンキステスター陣にとっても未到のステージだよ!」と喝を入れられ、またSL40に戻す……その繰り返し笑

このサイズのルアーになると、竿を使って入力してしまうと腕がめちゃくちゃ疲れるのと、頑張ってもルアーに十分に力が伝わっていない気がします。

そして巨大なプラスチック片を(適宜休みながら)投げ続けること数時間、潮が少し動いたタイミングで待望のヒット

ゴリゴリと巻いてくると、あっさりと浮いてきました。

あれ、小さい……。

あがってきたのは68cmのシーバス。

あんた、絶対40cmの餌飲み込めないでしょ!(笑)

正直釣れる気がしていなかったのですが、良い意味で期待を裏切られました。

変に小さなルアーに逃げてもダメな状況。

40cmのルアーは、シーバスにとってまだ“襲ってみようと思えるナニカ”の範疇みたいです

この日はその後、カメラを搭載可能(暗いのでカメラは装着せず)な自分考案形状のジャイアントベイトで1本追加し、大満足な釣果となりました。

このルアーもSL32cm、TL44cmとれっきとした「ジャイアント」ベイトのサイズ感、むしろジャイアントベイトの中でも大型の部類ですが、さらに小型の60cm程度の個体が釣れました。

体長の半分以上の大きさのルアーでも釣れる訳ですから、仮に90㎝相手であれば50㎝のルアーでも可能性はあるかもしれません(笑)

この日はウデ(経験値)では叶うわけもないヘッドショットの仕掛け人・ツネミのOさんも乗っておられて、(時間帯にもよりますが)抜けて自分が魚の反応を得ていたタイミングもあったので、ウデや経験ではなく、ルアー(タックルバランス含む)の差でこのような結果になったのは明らかと思います。

下手クソでも、(規格外の)ジャイアントだから、釣れちゃう……時もある。

下船後、船着場周辺で岸釣りしていたら、もう次の出船時間!

翌朝からはKnot enough号で、毎年恒例のモンキスBBSB便に同乗させて頂きました。

ジャイアントベイトで釣れた感覚(8時間前)が抜けない内に1本取りたいと思い、朝マズメにカメラ搭載型ジャイアントベイト(カメラは故障してナシ)を投げていると、程なくキャッチできました。

もはや釣れたことに対して驚きは無かったです(笑)

ちなみに、このときはコノシロ絨毯ができているのにも関わらず、意外にもボコボコ釣れるほどイージーな状況ではありませんでした。

このタイミングでの船中ヒットルアーは、自作ジャイアント、フレンジー、ゴースト…。

なんとなく傾向が見えてきますよね… (メガドッグにもヒットしてましたが、スイムベイト系ではジャイアントが優勢のように見えました)

もちろんジャイアントベイト特化の船の方が色々やりやすいですが、普通のビッグベイトシーバス船でもジャイアントベイトは通用することがわかりました。

むしろ大型のベイトがたくさん居て、シーバスの活性は高いけれどもルアーを見つけてもらいにくい状況であれば、通常の「ビッグベイト」よりも「ジャイアントベイト」の方に軍配があがるのではないでしょうか?(あくまで初心者考察です)

とはいえ、昨今東京湾のBBSBシーンが簡単でないのは、みなさんご存知の通り。

楽しい時間は早く過ぎ去り、西陽が刺してきました

「今日の夕まずめのいい時間は、自分考案形状のジャイアントだけ投げ切ろう〜」

ジャイアントの魅力に頭がバカになっていた自分に、小塚さんの喝が飛びます

この状況で、開発中のハイドロ、“あえて小さな”SL20サイズで、必ず釣れ! そうすれば……ジャイアントは、あくまで引き出しの1つだと“次”が見えるはず」

そういって、本当に10投もしないうちで自身がSL 20で釣って見せ、プレッシャーをかけてくる恐怖……超プレッシャーの夕まずめとなりましたが、ラスト1流しでしっかり1本出せました

「ここぞ、というタイミングで使えない、投げたいと思えないルアーなら、販売する意味がない!」と小塚さん。

「海外(超アウェー環境)しかり、パワハラ環境しかり、追い詰められた場面でこそ、磨かれるナニカがある……よし、次はアマゾンに行こう!」

がっつり握手して、ちょっぴり涙が出ました笑。

こうして、情報量多すぎた秋の数日間が終わりました……。

……以上が、「初心者目線」のジャイアントベイトの釣りの紹介です。

途中でも述べた通り、かなり恵まれた環境で釣りをしていたので結果が出やすいのも当たり前ですが、それでも適切な環境であれば「初心者が2日投げれば釣れる」ぐらいにはジャイアントベイトは実釣性能が伴ったジャンルの釣りなのかなと初心者ながら思ってしまいます。

これがまたベイトパターンが違ったり、陸っぱりからの釣りだと難易度が大きく変わってきそうですが..….。

「ジャイアントベイト、興味はあるけどなかなか始める気が起きない」という方にとって、この記事が少しでも励みになれば嬉しいです。

それでは!

<関連ページ・レポート>

大学入学時に3Dプリンターを購入、以後3年間ルアー設計に明け暮れてきた頭脳派ルアークリエイター。都心への通学に際しモバイルロッドを導入、机上の空論ではなく、日々のアーバンフィッシングでトライ&エラーを繰り返す。2023年、講義中に閃いた構造アイディアを検証するため、ビッグベイトシーバスの世界へ。先入観に囚われない柔軟な発想と、自ら生み出したルアーの力で、初年度から高実績を重ねている。長期休暇は離島へのロックショア釣行など日本全国へ遠征、在学中に海外への挑戦も計画中。